閑話 『ヴァネッサのオススメは、筋トレ風俗!?』
王都・第七区画。そこは、街の片隅にひっそりと存在する“マニア向け風俗”の集まる区域。
名前を《セブンスヘヴン・裏通り》──略して“裏セブン”。
この日、常盤流星は、ヴァネッサの一言でその門を叩くことになった。
「え? オススメの風俗店? あるわよ、超絶いいとこ♡」
「ほう……ついに“ヴァネッサ推薦”っていう新ジャンルか……」
「でもね? 一応言っとくけど──」
「ここ、ちょっと“動く”わよ?」
「ん? 動く? プレイの話?」
「うん。“筋トレ風俗”だから♡」
「……何を言ってるんだお前は」
◆
──そして数時間後。
店名:《マッスル・リラクゼーション『鍛』-KITAERU-》
看板には《癒しと肉体改造の融合♡ ご奉仕型フィジカルトレーニング》の文字。
「こ、ここが……?」
受付の美女(上腕が太い)がウィンクした。
「いらっしゃいませ♡ ご新規様ですね? 筋肉指数に応じてコースをご案内します♡」
「筋肉指数!?」
「本日のお相手は、B97・W59・H96! 懸垂80回の実力派、“ミズホちゃん”です♡」
「懸垂スペックで紹介すんの初めて見た!!」
◆
──そして。
「はーい♡ じゃあまずは、ストレッチ♡ 脚、もっと開いてぇ♡」
「無理無理無理無理無理無理無理!!!!」
完全に体育会系。
というかこれ、柔軟訓練。
なぜ風俗で開脚して股関節を伸ばされているのか、流星には理解できなかった。
「じゃあ次は、ベッドの上で♡ プッシュアップ♡ 一緒に♡」
「腕立て伏せかああああああああ!!」
汗だく。
ゼーハー。
ミズホ嬢は上でカウントを取りながらにこやかに励ましてくれるが、実質鬼軍曹。
「はいっ♡ そのまま腹筋100回♡ 私の太ももに頭乗せていいから♡」
「ぐぬぬぬぬ……! ……天国か地獄か分からねぇ!!」
◆
――1時間後。
宿へ帰還した流星は、全身から湯気を出しながら、扉を開けた。
「……ただいま……筋肉痛で死にそうです……」
リリア「どこ行ってたの?」
アリシア「また変な店でしょ」
ミレーユ「その汗のにおい、ただの風呂じゃない……」
ヴァネッサ「ふふ、行ってきたのね♡ “鍛”、最高でしょ?」
「筋肉風俗とか聞いたことねぇよ!! 癒されねぇよ!! 背筋ちぎれるわ!!」
そしてヴァネッサがニヤリと笑う。
「でも、満足したでしょ? 女の上で腕立てって、ある意味プレイじゃない?」
「違う意味で濃厚すぎたんだよぉおおおおおお!!」
──こうして、流星の“風俗探求の旅”はまたひとつ、未踏の領域へと足を踏み入れたのだった。




