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梅雨の雨の憂鬱 (4)
三十分程度経った頃、俺は下駄箱へ向かった。雨が止んでから帰りたかったのだが、雨足は先程よりも強くなっていてこれ以上待っても悪化する一方だと判断した。靴を履き替え外へ出ようとすると、見覚えのある女の子がいた。……本当に、何故こういう日の嫌な予感というのは当たってしまうのだろうか。
「桜」
ちょっと前までは学園の人気者だったのに、高校生になるのと同時に女優にもなり、現在では国民的人気者へとなった俺の幼馴染、近衛桜。彼女とは昔よく遊んでいたのだが、気づけば遠い存在となっており、今ではすっかり疎遠になってしまっている。学級委員会があったのだから俺が教科書を取りに来た時点で学校にいた事はわかっていたのだが、わざわざ時間を置いたのに鉢合わせるとは思っていなかった。
「あっ」
桜が俺に気づいて小さく声をあげた。
「誠君も今帰り?」
「あぁ」
桜は昔と変わらず笑顔で話しかけてくる。傘も持たず立ち尽くし困り顔で外を見つめる彼女に対し、俺はわざと素っ気なく返す。正直、あまり関わりたくない。




