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劣悪な帝都



「出力全開!目的地、帝都へフルスピードでダイブ!」



私はエクス号のグリップを強く握りしめ、魔力を一気にバイパスさせる。


温泉宿の湯煙が豆粒のように小さくなり、代わりに私の視界を埋め尽くしたのは、地平線の彼方に蠢く巨大な光のグリッド――帝都の全景だった。




「……ふん、相変わらずの外見ね。きらびやかな装飾で塗り固めてるけど、貧困差が隠しきれてないわ」



私はエクス号に跨がり、気流を読みながら高度を維持した。


帝都――それは、ミスティリアム帝国の中心地。

私の出身地である南側諸国――つまりは複数国家の集合体とは、まるで違う。




風を切る音が、まるで戦闘開始のBGMのように耳元で鳴り響く。



「強制チェックアウトされたせいか、予定より早く帝都のデバッグに着手できそうね」



私は加速するエクス号のバランスを保ちながら、不敵な笑みを浮かべて帝都の心臓部を見下ろした。






* * *






「ふん、相変わらずの鉄壁のセキュリティね」


エクス号に乗って帝都に接近したけれど、案の定、宮廷魔法使いが総力を挙げて構築した「高度結界」が上空を完全にブロックしていた。


無理に突っ込めば私の魔力と衝突してシステムダウンしかねない。

私は仕方なく、結界の認証を回避するため高度を下げ、帝都の玄関口「花街」近くへ着地した。









「……あら。ここはまた、随分と色付けが違うわね」



一歩足を踏み入れれば、そこはミスティリアム帝国の厳格な石造りの街並みとは一線を画す、異国情緒あふれる風景が広がっていた。


かつてここは「藍」という名の独立国家だった場所。

今は帝国の植民地として塗り替えられているけど、建物から漏れる線香の香りや、色鮮やかな装飾は、かつての国の名残が残っている。





「あれ、なにこれ……」


私は思わず、立ち止まった。

引いていたリヤカー(エクス号)から、分厚い魔導年代記を引っ張り出す。


周囲の喧騒を無視して、私は高速でページをめくり、この土地の歴史と眼前の光景を照らし合わる。




……やっぱり。

この「藍」という土地に生きる人々の体内には、驚くほど綺麗に魔力が流れていない。




帝国はここを植民地化した際、無理やり魔法教育を義務化したらしいが。

そもそも、魔力という資質がなければ、学びようもないそうだ。


結局、近年になって教育科目から切り捨てられたみたいだけど……

それどころか、そもそも「学校(学び舎)」という概念自体がこの街には根付いていない。





「……信じられない。義務教育から魔法が消えただけじゃなくて、文字の読み書きすらできない人がこんなにいるなんて」



高貴な身分を除けば、ほとんどの人間が言語の解読すらままならない。

古代魔法なんていう高度な概念は、もはやおとぎ話ですらなくなっている。



「……異国風で綺麗だと思ったけど、実態はひどい生活環境ね。文化を奪い、教育を制限して、ただの労働リソースとして使い潰すつもりかしら」




私はエクス号を軽く回し、道行く人々の虚ろな瞳を眺めた。

魔法も字も知らない彼女たちが、帝国の都合のいいように書き換えられていく。




「これは、想像以上に……。もう、私がこの国を変えるしかないわ!」




私は冷ややかな笑みを浮かべ、花街の奥へと進んでいった。


ずっと、書きたかった4章です!!


作者なりに頑張って書いたつもりですので、


「面白い!」

「この回好きかも!」



と思っていただけたのであれば、ブックマックや評価などよろしくお願いします!!


あ、話はズレますが、作者の最近のお気に入りは「薬屋のひとりごと」「社畜系」「白い結婚系」です(`・ω・´)ゞ


そちらの方も、よかったら見てみてください!!


       

             【作者:夜明け前】

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