19「争いの理由」②
レダは、まさか魔族の王である魔王として君臨していたノワールが、人間と魔族の争いの原因を知らないと言うとは思ってもいなかった。
「……それでいいの?」
「いいもなにも我が転――いや、生まれた時には人間と魔族は険悪だった。現在のように完全に別れて生活しているわけではなかったが、当時の魔族は奴隷か、人間の慰み者であったよ」
「――そんな時代が」
「人も、いや、魔族も、違いを受け入れることができないこともある。寿命の違い、出身、種族、肌の色、性別、少し違うだけで大袈裟にしてしまう場合があるのだ」
残念なことだが、人間同士でも同じだ。
生まれ育ち、血縁、才能、様々なもので比較される。
時には、迫害され、虐げられることもある。
人間同士でも、違いのせいで差別が起きるのだ。人間と魔族であれば、違いによるすれ違いは大きかったのだろう。
「我には、力があった。当時の人間にも不満はあり、力があるのにふんぞり返っている一部の魔族にも腹が立った。そこで、長い時間をかけて、力で屈服させていったのだよ。それがよかったかどうかはさておき、魔族は一応はひとつにまとまった。だが、人との争いは終わらなかった」
「……そして、勇者ナオミ・ダニエルズです」
「そうだな。今まで、勇者がいなかったわけではない。我の記憶には、ナオミ以外にふたりの勇者が挑み、殺した。強き勇者だったが、ナオミほどではない。というか、あの子は規格外だ。まさか我が手も足も出ず倒されるとは……あ、漏れそう」
「私もです」
「……真面目な話が続かないなぁ」
だいたいナオミの話は最後に失禁に繋がる。
それだけトラウマなのだろうが、レダとしては張り詰めた雰囲気が弛緩していく気がした。
だが、このくらいでちょうどいいのかもしれない。
「とりあえず、この地を治めるティーダ・アムルス・ローデンヴァルト辺境伯と会えるように話をするよ。ノワール、身元の保証と、万が一の時のために……ナオミを呼んでもいいかな? 信用はしたいけど、あったばかりだから」
「……失禁していいのであれば、私はかまいません。辺境伯とお会いしている間は、常に垂れ流し必至ですね」
「……尿止めの魔術ってなかったっけかな?」
ナオミの名を聞くだけで震えるシェイプに、どうしたものかとレダは悩んだ。
次回は、ちゃんと面会です。
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