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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
三章

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60「異形との戦い」②




 レダは娘たちを、異形から一番遠い場所に降ろした。

 できることなら、冒険者ギルドから離れた場所に、娘たちを隠したい。

 しかし、異形があとを追いかけてきたら困る。

 他の人間まで巻き込むのは得策ではない。


「こっちだ化け物!」


 ヒルデガルダが風の刃と氷の槍を放ち、注意を引こうとする。

 だが、風の刃は異形の身体の表面を軽く切り裂く程度であり、氷の槍はふるわれる腕で砕かれてしまい届かない。


「――っち。理性がなさそうな割には、攻撃されると対応してくるのか」


 今も、異形は床を砕き、暴れている。

 一見すると、理性的ではないのだ。

 しかし、攻撃されると、危機感はあるのか、避け、防御するのだからタチが悪い。


「……困ったな。あれが本当に邪神の眷属を降ろしたものなのかわからないけど、放置はできそうもないな」

「ねえ、パパ。あたしも戦うわ」

「いや、ルナはミナのことを守っていてほしい。いつあれがこっちに向かってくるのかわからない。最悪、俺とヒルデを放って逃げれるだけ逃げてほしい」

「でも!」

「頼むよ、ルナ」

「……わかったわ。わかりましたよ! ミナのことはあたしが守ってあげる。だからパパも気をつけてね!」

「ありがとう」


 聞き分けのいい娘の頭を優しく撫でる。


「ミナ、お姉ちゃんのいうことをちゃんと聞くんだよ。危なくなったらすぐに逃げるんだ。いいね?」

「……うん。おとうさんも気をつけてね」

「もちろんだ」


 ミナも表情こそを不安を隠せていないが、わがままを言うことなく素直に頷いてくれた。

 レダは、ミナの頭をも一緒に撫でる。

 これで憂いなく戦える。


「よし!」


 レダは娘たちに背を向けて、異形に向かう。

 異形はレダの接近に気づき、顔をあげて咆哮を放った。

 耳が痛くなり、背筋が震える。

 体が吹き飛ばされてしまうのではないかという衝撃だった。


「――風よ!」


 魔力を最大に込めた斬撃を放つ。

 唸る風の刃は、真っ直ぐに跳び、異形を捕らえる。


「……そんな姿になっても血は赤いんだな」


 上腕を深く切り裂かれた異形から鮮血が吹き出した。

 だが、痛みを感じていないのか、傷口に見向きもしない。

 ただし、攻撃をされたことはわかったのだろう。

 怒りの声を発し、突進してくる。


「……くっ、面倒な奴だな!」


 巨体の突進はそれだけで脅威だ。

 しかし、単調に突っ込んでくるだけなら、いくらでも避けようがあった。

 地面を蹴って横に飛ぶ。

 異形の巨体が通り過ぎた。


「そのまま落ちてしまえ!」


 無防備の背中に魔術を放つ。

 高密度に凝縮された炎をぶつけ、その勢いで屋上から叩き落としてしまおうとと考えたのだ。


「レダ! 加勢するぞ!」


 ヒルデガルダも続く。

 風の刃を吹き荒らし、異形の巨体を傷つけていく。


「ぎゃぁあああぁあああああああああああああっっっ!」


 異形は悲鳴を上げた。

 が、屋上から落とすには、魔術の威力が足りなかった。

 異形は足に力を入れて、その場でふんばりレダとヒルデガルダの攻撃に耐えたのだ。


「くそっ!」

「おのれ! レダ、まだだ、畳み掛けるぞ――っ!」


 ヒルデガルダが言葉の途中で、声を失う。

 今まで、単調な動きしかしていなかった異形が、地を這うように接近したのだ。


「――馬鹿な」


 今までより早い。

 あっという間に間合いを詰められたヒルデガルダの瞳には、ハンマーのごとく拳を振り上げる異形の姿があった。


「――っ、ヒルデ!」


 レダはなにも考えずに地面を蹴った。

 そのまま腕を伸ばし、ヒルデガルダの身体を押し飛ばす。


「レダ?」


 しかし、ヒルデガルダの代わりに、異形の真正面に体を置いてしまった。


「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!」


 叫んだ異形は、たとえ目の前の人物がヒルデからレダに変わっても、構うものかと拳を振り下ろす。


(――やば)


 迫りくる拳。

 ぶつかればただでは済まない。

 下手をしたら、ひき肉になってしまうかもしれない。


(だけど、ヒルデたちが傷つくより、ずっといい)


 半ば諦めるように、レダは笑った。

 抵抗を諦めたわけではないが、異形の一撃を避ける余裕がなかったのだ。


「おとうさん! おとうさん!」


 娘の声が聞こえる。

 しかし、返事をする余裕はなかった。

 次の瞬間、異形の拳が容赦無くレダに向かい振り下ろされたのだった。





がうがうモンスター(https://futabanet.jp/monster)様にて、コミカライズ連載スタートしております!

原作小説と一緒にお楽しみいただけると幸いです!

どうぞよろしくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[一言] 元々が自己犠牲というより独りよがりで優柔不断という印象が強い主人公 一人で悲壮感を出してしまい話の盛り上がりより以上に話を微妙にしている 何のために家族を戦わせたくなくて守りたいのかもちょっ…
[良い点] 物語自体はすらすら読めると思います [気になる点] 色々表現というか主人公の考え方が行き過ぎていて本当に大切な者失った事が無いのが簡単に理解できてしまう点 [一言] 個人的な考えですが、此…
[一言] あーあ、レダがそんなだから慕われるのはわかるけどー 誰か、この父親を叱りつけるひと、居ないだろうか、居ないなぁ ナオミだけが頼りですが、都合良すぎるかなー?
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