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7-5【Side:???】

これにてモンスター・ファクトリー第4章は終わりです。

お付き合いいただきありがとうございます。

また、書き貯まりましたら第5章を目指して頑張っていこうと思います。

 7-5【Sife:???】


 ここは、アラド王国の王宮の奥。

 その一室で一人の少女が気怠げに窓の外を眺めていた。


「失礼します」

「入っていいわ」


 少女の入室を許可する一言に、侍女服を着た女性が入室する。


「姫様、さきほど陛下と王太子殿下連名の手紙と当事者のご家族からの返事を頂きました」

「ふぅ、やっとね。流石に長すぎないかしら?」


 手紙を受け取り、ざっと流し読みする姫と呼ばれた少女――アラド王国の第二王女は、鬱陶しそうに溜息を吐く。


「真竜には手を出すな。それが絶対条件ね。分かっているわ。陛下と王太子殿下は、真竜に関して静観。お兄様も、派閥の貴族たちへのパフォーマンスのために密偵を派遣して交渉をしたことになっているけど、そもそもまともな交渉すらしてない」


 アラド王国の上層部は、ここ最近はある話題で持ち切りである。


 辺境の町に真竜の卵が現れ、それを保護した騎士がアラド王国の王祖と契約し崇める国の象徴である火竜・アラドと契約したのだ。

 その扱いに対して、様々な話が飛び交っている。


 王都への招集や貴族への爵位、戦争の御旗などの意見が出された。


 真竜・アラド自身が降臨して、警告まで発して大部分は収まったが、一部は暴走すら起こした。

 王族は、頑なに新たに誕生した真竜とその契約者の政治利用を避け、国王の強権すら使い、一切の手出しすら封じ込めた。

 その際に、暴走した一部の貴族や騎士たちが消え、風通しは良くなった。

 これで威張るだけの貴族派閥は減り、平民や冒険者から登用した役人や騎士が活躍することだろう。

 これまでも無為な内部に争いで幾人もの優秀な人材が左遷や民間に流れてしまったのは、余談だ。


「全く、この平和な時代にとんだ危険物が生まれたものよね」


 それでも水面下では未だに、真竜の雛とその契約者を利用しようとする動きは絶えない。 

 それを収め、制御しようと彼女は、時間を掛けて根回ししていた。


「お父様もお兄様たちも渋々だけど了承している。あとは、当事者の家族を味方に付けて、真竜の契約者に逃げられたり、不満を与えないように囲っていかなくてわ」


 そう呟く少女は、今までの気怠げな表情から一点、楽しそうに笑う。

 そして、いいことを思い付いた、と言うように声を上げる。


「ただの名無しの密約じゃあ、芸がないから何かで例えるのはどうかしら?」

「姫様……」


 若干、呆れたような侍女の言葉にも気にせずに顎に指を当てて、考え、思い付く。


「そうね。角の密猟で頭数が減少したユニコーンの保護した話を元に、ユニコーン盟約、とでも呼ぶのはどうかしら?」


 夏は、暑さや恵み以外の物がやってくるのかもしれない。


 

【ユニコーン保護政策】

高い解毒・浄化作用の角を持つ魔物・ユニコーンは、一時期その角目当てで乱獲され、違法で密猟され絶滅の危機に瀕した。

それを回避するために、とある王国がユニコーンを保護しようとしたが、非常に繊細な魔物であるユニコーンは、馬小屋での飼育に衰弱していった。

そのため最終的に、ユニコーンが生息する地域の森全体を柵で囲い、密猟者が現れないか厳重に監視した。

その結果、柵に覆われ、密猟が無くなった森では、急速にユニコーンの頭数が回復。

50年後には、ユニコーンの角は、その国の重要な交易品となる。

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