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29 キング・オーガとの死闘

遥か前方に立つキング・オーガがゆっくりと立ち上がるのが見えた。


さて、どう来る?


そう思った次の瞬間、キング・オーガの巨体が眼前に迫ってきた。


「っ!?」


警戒していたはずだが、キング・オーガの動きに反応が遅れた。咄嗟に<防御壁>を発動し、両手でガードする。


衝撃が来た。


痛烈な痛みとともに、身体が宙を舞う。単純な殴打に見えるが、おそらく<吹き飛ばし>のスキルが付与されている。<大地人>を発動させなかったことを後悔した。<金剛>を事前に発動させていなかったらヤバかったかもしれない。

チャーリーからのサポートが無くなった途端、この体たらくである。

しっかりしろ、俺。


「ちいっ!」


空中で体勢を整えるが、キング・オーガが片足を振り上げて地面に叩きつけるのが目に入った。

地面が隆起し、地を這う蛇のように俺に向かってきた。何らかのスキルによる攻撃だろう。

回避は―――間に合わない!


「ウオオオオオオッ!!」


前方に<防御壁>を展開する。ただし真正面にではなく、自分の前方で三角を形どるように。

しかも三重の多重防壁だ。隆起した地面は、俺の前で割れるように左右に広がっていく。


何とか防いだ!


だが安心している暇は無い。突然、俺の周囲が影にでも覆われたかのように暗くなった。その理由をいち早く察知し、<韋駄天>と<天馬>を同時発動してその場を飛び退いた。

一瞬遅れて、俺が立っていた場所に何かが降ってきた。言わずもがな、キング・オーガである。


手応えが無かったからだろう。キング・オーガは俺を見失ったようで、周りをキョロキョロと見回している。

機動力なら、こっちに分があるようだ。俺は敢えて真正面に姿を現してやった。虚を突かれたのか、隙ができる。


「おらあああっ!」


A級スキル<爆裂拳>を発動させた。

数十発の拳がキング・オーガの全身に打ち込まれる。体勢を崩しながらもキング・オーガは反撃してくるが、その動きは単調。簡単に予測できる。

俺は余裕をもって<天馬>で回り込むと、すかさず<爆裂拳>の連打を叩き込んだ。それを何度も繰り返す。しつこく繰り返す。

キング・オーガは距離を取ろうとするが、俺はそれを許さない。


「ガアアアアアアアアッ!!」


鬱陶しい!

そんな声が聞こえた気がした。

キング・オーガは魔力を高めると、両腕を地面に叩きつけた。するとキング・オーガを中心に地面が爆発し、無数の突起が外に向かって飛び出す。


来ました、大技!


オーガは大地属性に親和性が高いらしい。さっきの<地を這う蛇>のような攻撃が良い例だ。全方向から攻撃していれば、しびれを切らして大地系の大技を繰り出してくると予想できた。

だが、こういった大技には穴がある。周囲を吹き飛ばす攻撃だが、盲点があった。

つまり頭上である。


「くらえぇぇぇぇぇぇ!」


爆心地の真上。

キング・オーガの頭上から、俺はその脳天に目掛けてA級スキル<流星脚>を叩き込む!

その名の通り、隕石にも似た踵落としが炸裂した。


まだだ!


<流星脚>を踏み止まって耐えるキング・オーガ。しかし、そこに隙が生まれる!


「ぶっ飛べぇぇぇぇぇ!!」


魔力を一気に高め、爆発的に放出する。

スキル<閃光拳>の派生スキル<閃光砲>である。イメージは超有名某バトルマンガのカ○ハ○ハだ。


純粋な破壊エネルギーに変換された魔力はキング・オーガを吹き飛ばし、その周辺の木々や岩すらもチリにしながら辺り一面を荒野に変える。

何も無い荒野にキング・オーガが一人立っていた。

あの一撃を耐えたか。流石だ。

しかしダメージは深いようで、方膝を着いた。これぐらい痛め付ければ十分だろうか?



Report.

<暴走>の<解析>が完了しました。

解除可能です。解除しますか?


YES or NO ?



おっと、ナイスタイミングだ。流石は先生。

・・・

ナイスタイミング・・・だよね?



Answer.

キング・オーガクラスの<暴走>を解除するには、相手をある程度弱らせる必要がありました。



知ってるよ!

っていうか、いつ<解析>が完了したんだ?



Answer.

マスターがキング・オーガの攻撃スキル<地裂撃>を防御した辺りです。



<地裂撃>って、<地を這う蛇>のことか?



Answer.

はい。



それって、この戦闘で言うと比較的序盤だよね?

<解析>はやっ!



Report.

ついでにキング・オーガのスキルを複製しておきました。



ぬかりねーな、おい!



Question.

それで<暴走>を解除いたしますか?


YES or NO ?



・・・何故だろう。

チャーリーさんは凄く良い仕事をしてくれているはずなのに、異様に腹が立つ。気にしたら負けな気がする。俺はイエスを選択した。


「グアアアアアアアアアアッ!?」


キング・オーガから黒い靄のようなものが立ち上ぼり、消えていった。キング・オーガの身体は一回り縮み、仰向けに倒れる。

終わったな。

なんかチャーリーさんの一人勝ちなような気がしなくもないが、さすがに俺も疲れた。俺はそのまま、へたり込むように倒れたのだった。




H28.7.26

前話までの内容に合わせて修正しました。

A級スキル<視覚強化><感覚百倍>のスキル記載を削除しました。

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