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望みの彼方  作者: 井口
キラキラ
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光の声

僕には、聞こえない『声』が聴こえる。


それは、誰かの切実な"想い"だ。


僕はその"想い"を伝えなきゃいけない時がある。










僕は、気付いた時から特異体質だった。

一番古い記憶では、3歳の時に家族で行った旅行先で、体験した。


大きな土産物店の前で、キラキラ光る丸い物体を見付けた。

とても綺麗で、僕はその物体を捕まえようと、手を伸ばした。すると、そのキラキラは僕の手をスルリと抜けて、僕の中に入っていった。


「わあっ。」


僕は大きな声で叫んだ。

すると僕の心の中に、僕より少しだけ年上の女の子が浮かんだ。

女の子は僕の中でメソメソ泣いていた。


「どうしたの?」

幼い僕は、少しだけお姉ちゃんの女の子に話しかけた。女の子は僕の問いに答えてくれた。

「パパとはぐれたの。探してもいないの。」

僕はどうしたらいいか分からず、自分の親に説明して、助けてもらおうと思った。


「お母さん、お姉ちゃんがね…」

説明しようと思ったら、女の子は心の中からいなくなった。

その事を何度も母に伝えたが、3歳の僕には真実を伝える事は無理だった。



それから、至るところであのキラキラを見付けた。

交差点、誰かの家の前、学校、病院。そのキラキラに触れると、やはり身体の中に入ってきて、知らない誰かが語りかけた。


僕は小学生になると、このキラキラは幽霊で、僕は霊能力者なんだと思った。そして、少し怖い物だと思う様になった。


しかしある時、何故か気になるキラキラがあった。

怖い物体だと思って、気付かないフリをして逃げていたが、いつも遊ぶ公園のベンチにあるキラキラに、僕はつい触れてしまった。


すると、そのキラキラの正体は僕の友達だった。


生きている友達が入ってきたので、僕は驚いて「どうして?」と友達に聞いた。友達は、いつもの笑顔が消えた。


友達の両親が離婚すると言った。ずっと喧嘩ばかりで辛かったと。

それでも、お父さんと会えなくなる事が淋しいと泣いていた。

いつも優しい友達の涙を見て、僕は初めて、この『声』に応えようと思った。


小学生だった僕は、勢いだけで行動した。

友達の家で、友達とその母親の前で、僕は叫んだ。


「これ以上、こいつを苦しめないで!」


友達は驚いて固まっていた。母親は友達の肩を抱いて「どういう事?」と聞いた。


離婚は仕方ないと思っている事。それでも父親ともう会えなくなるのは辛い事。友達は両親が大好きな事。


僕はさっき聞いた友達の『声』を伝えた。友達は途中から泣いていた。今まで必死で堪えていたであろう涙を、ただただ流していた。

母親も堪えきれず泣いていた。友達の顔を撫でて、「ごめんね、ごめんね」と泣いていた。


そして、父親と会う事は出来ると教えてくれた。それは"面会"という事だが、それでも友達は嬉しそうだった。


僕は満足して帰ろうとすると、友達に呼び止められた。「どうしてわかったの?」と。

僕は公園のベンチで泣いている友達が見えた事をと教えた。普通なら信じてもらえない出来事だが、友達は僕を信じてくれた。そして「オレの声に気付いてくれて、ありがとう」と言われた。




この一言が、今後の僕を変えた。




僕は、自分が出来る範囲で、キラキラの『声』を聞こうと決めた。

そして、僕が出来る範囲で、その『声』を伝えようと決めたのだ。





その『声』で救われる人がいる限りは。


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