prolog
あたたかい日だまり。
そよそよと、私の耳元を掠めるやわらかな春の風。
舞い散る桜の花びら。
あぁ、今日から、きっと何もかもやり直せるんだな、って…
普通の高校生活をして、友達をつくって、恋をして…
人と違うことを隠しながら、平和に普通に暮らせるんだな、って…
そう思ってた。
強い風で、一斉に花びらが咲き乱れ、私の視界を遮る。私は目をつぶり、風が収まるのを待った。
そして、ゆっくり目を開けた。
いつの間にか、すらりと背の高い男の子が前方にいた。
向こうも自分の存在に気がついたらしい。
春の透き通る優しい光で、照らされて、穏やかに微笑む貴方が…
自分と同じように、愛想の良い顔の仮面をかぶって、微笑む貴方が…
そこにはいた。
なのに、その瞳には、何も映ってなんかいなくて…
ただ、真っ暗な闇が広がっているだけで…
自分の頭の中に、自然と流れてくるいつものあの声が聞こえないことがわかったとき、私は気づいてしまった。
あぁ、この人には、心がないんだって…
感情を失ってしまったんだって…
そんな人に出逢ったのは生まれて初めてで、驚きの反面、自分の心の中に恐怖が芽生えた。
出逢ったことのない人種。
聞こえない心の声。
怖いとは思った、関わらない方がいいと思った。でも、何も伝わるはずのない瞳から、心から…《助けて》と、聞こえたような気がしてしまったんだ。
その人の名前は…
平塚千晶…
…これが、私と彼の初めての出会いでした。
ゆっくり更新していきますので、
あまり期待しないでください(^-^;




