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記憶操作 VS 時空操作

不敵な笑みを浮かべたソルドの男を前に、魂が抜けたフーを除く七人は唖然としていた。

さっきまで何をしようとしていたのかわからない。それどころか、今まで自分たちが何をやっていたか、なぜ大きな大坂駅がこんなに寂れているのか、なぜ目の前にソルドの男がいるのか、そしてなぜフーが固まったまま動かないのか、全く検討もつかないのだ。


「ちゃんと説明してもらわないと困るな」

リールが男を睨みながら言う。

「君たちには何も関係ないんだ。お家に帰ってテレビでもつけてみるといいよ」

「お、おい!」

男はまた関係ない、という言葉を繰り返し、くるりと後ろを向き、消えた。


「……で、お前ら、誰だ?」

男を睨みつけながら見送った後、五人を振り返ったリールが最初に発したのは、その言葉だった。

「誰って……私はあんたの妹よ?」

コールがすっとぼける。

「お前には聞いてない!この見覚えのない五人だ!」

「うちらもあんたのこと知らんで?」

ルーがリールに向かって言う。

「なんかわからないけどみんなで手繋いでたみたいだね」

何でだろ、とチェリーが言う。

「さっきまでこの人たちのこと知ってた気がするんだけどな」

アップルがそう呟いた。

「何してたか全然わかんないや」

チロとチイタが同時にそう言った。

「まあまず整理してみよう。多分あの男が来るまで、俺たちはお互いのことを良くは知らずとも知っていたはずだ。それがあの男によって、忘れさせられたわけだ」

「つまり、記憶を操作されたってこと?」

「そうなるな」

なぜ記憶を操作されたのか考えてみたが、全員全くわからなかった。

「まあきっと知ってたと思うけど、自己紹介してみない?」

コールがそう提案した。

みんなは賛成し、ルーからすることになった。

「えーと、ルーっていいます。仕事は……」

いきなり詰まった。

「あれ?何やったっけ?何かやってたのは覚えてんやけど……」

ルーはあれ?と首を傾げる。

「どうなってんだ?あ、俺はリールだ。仕事は……研究をしている。あれ?何の研究してたっけ?」

リールはコールの方を向いてきいた。

「え?えーと……あれ、わからない……ってそれより、兄ちゃんはどこなの?」

コールは兄の姿が見えないことに気付いた。

「ああ、そういえば兄ちゃんがいない…ってちっこいから見えてないだけだと思うけど」

そう言った後のツッコミがないことで、兄が本当に居ないことを知った。

「意味わかんないね」

七人とたましいの抜け殻は、何をしていたのか思い出せないまま、大坂駅の前に立ち尽くしていた。


・→・→・→・→・→・→・→・→


カチャリ

ドアノブに届かないキールと、震えるバナナに代わって、エレベーターの前で待っていたソルドが戸を開けた。

戸の奥には、いかにもお偉いさん、というようなふかふかそうな椅子に座った男が、こちらをじっと見つめていた。

バナナの震えが一層ひどくなる。

早川が口を開いた。

「君たちには聞きたいことが山程ある。全てに答えてもらうまでここから出さないつもりだ。いいな?」

その言葉にキールは、

「ヨクナイ」

ぼそりと呟いた。

「え?何だって?」

早川は耳に手をあてきいてきたが、キールは無視した。



「上手くいってくれ……過去に反映されるまでにちょっと時間がかかるからな……核心に触れる前に早く……」

キャンディーはモニターに向かって同じ言葉をずっと繰り返していた。



「さて何から聞こうか……ああ、そこの黄色いのに、最近よく使ってるにんぽうとやらについて語ってもらおうか」

「ケンキュウナイヨウヲハナスワケナイダロウ」

キールはきっぱりとそういった。

「はっ、こっちには記憶を抹消する薬があるんだ。話さないならお前らの記憶を消して牢屋へ送り込んでやるさ」

「!……」

それを聞いたキールは、はっと目を見開いて、俯いた。

「ワカッタ……」


キールはにんぽうについて語り始めた。その中にはバナナの知らないことも含まれていた。



聞き取りづらいだろうけど我慢してくれよ。

にんぽうとは動物移動手段、いわゆるルワノ専用の場所移動の魔法だ。ソルドには使えない。

30年前、ソルドが来る前までは普通に使われていたんだ。研究の結果、にんぽう以外にも様々な魔法があることがわかった。

ルワノは生まれた時から魔力を持っている。それが微力なのか大きいものなのかは生まれた時に決まるのか後から決まるのかはまだわからない。だが微力でも使える魔法が何種かある。そのうちの一つがにんぽう……これでいいか?



キールは男の顔をはっきり見据えて言った。そうなんだ、と言ったバナナは、少し震えがおさまっていた。

「ほう。では今度は魔法について聞かせてもらおうか…な……?」

早川は二人が居る……いや、居た方をちら、と見、目をしばたいてもう一度見た。

さっきまでそこにいた二人の姿は、どこにもなかった。

「くそ!これも何かの魔法か!?」

二人は、科学という魔法を扱うルワノの研究者二人によって、空間のはざまへと飛ばされたのだった。

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