31、保健室の目覚め
「は!?ここは!?」
急に意識が覚醒する、跳ねるように飛び上がり、辺りを見渡すと…そこは学校の保健室だった。
「おはよう今はもう放課後だよ」
「え?知木?」
声のする方を向くと知木が保健室の椅子に座っていた、学生服の上に白衣を羽織っている、その白衣は確か知木の私服で部屋着だった気がするが、学校に持ってきたのか?
「簡単に状況の説明をすると、半身はまんまと悪の組織の薬の力で放課後まで眠らされていたんだよ」
「まじか…え、スカイホップは!?」
「貴方をここに運んだら何処かに去っていったわ」
「まじか……まじか…状況的に完全に足を引っ張ってしまったな…」
黒い鎧と暗薬博士がいる状態で無防備になってしまった…月凪…スカイホップが保健室に運んだという事は、なんとか切り抜けられたということだろう。
そうだとしても自分が一撃で眠らされたのは間違いない…。
「なあ、知木…薬ごと薬瓶がタワーシールドを貫通されたんだが、どういう技術か分かるか?」
「タワーシールドの貫通?作ろうと思えば防御貫通の銃と作れそうだけど…薬瓶でタワーシールド貫通は難しいわねそれこそ半身の顔面に薬瓶をワープさせているのかも?」
「ワープ…」
そんなこと可能……なんだろうな…実際にタワーシールドで防げなかったし。
「はあ、あの薬に対抗手段欲しくなるけど…薬の種類がわからなければ対策しようがないよな…それに睡眠薬て種類あるから1つ対策しても無駄だよな?」
「そうね、それよりも当たらない事を重視したほうがいいかも」
こちらの言葉に同意してくれる知木。
「まあ、今日はもう帰りましょう?もう放課後だし、これ以上ここに居ても、運動部の怪我人が来た時邪魔になるわ」
「そうだな……月凪はもう帰ったのか?」
「そうね、なにか用事があると言って、私に看病を任せて帰っていったわ」
帰ったのか…なんかマフナ関係で何かあったのかな?
「そうだな帰るか…」
起き上がって、体を確認するが、身体に異常はない、むしろぐっすり寝て目が冴えている…。
「これ今日の夜寝れるかな?」
「心配する処そこなの?」
「まあな、所で保健室の先生は?」
「部活の顧問で外にいるわ、帰る際に挨拶して帰りましょう」
知木とそんな会話をしながら外に出る、そこで会った保健室の先生に挨拶して下校する。
「なあ、悪の組織に捕まっていた生徒はどうなった?俺と同時に運ばれてきた子だ」
「確か早々起きて、学園生活に戻ったみたいよ」
「そうなのか…逞しいな」
「貴方程じゃないと思うけどね、まだ魔法少女と共に戦う意識はあるんでしょ?」
「まあな…妹だけ戦わせて自分が逃げるのは嫌だからな…今回は足を引っ張ってしまったが…次は引っ張らないで見せる」
右手を強く握り、決意を固める。
それを見た知木は仕方ないなと言わんばかりに微笑みながらも口を開いた。
「ねえ半身、短剣をパワーアップさせる方法が出来たんだ…」
「え、強化してくれるのか?」
「だけど強化に必要な素材がいるの」
「素材?俺の小遣いで買える物か…?」
そんな小遣いはないから安い物であってほしいが…。
「そんな小遣いで買えるものじゃないわよ…貴方が寝ている間に持ち物を見せてもらったんだけど…貴方の持っているハート型の石が必要なのよ」
「な!?」
ハート型の石、それはマフナから預かった物だ…いくら何でもそれを短剣の強化素材として使うわけには行かない。
「安心しなさい、別に直接組み込む訳ではないよ、石を解析して、その解析結果を短剣に落とし込む事でより高度な出力のエネルギー刃が出来る短剣が出来るのよ」
「あ、そうなのか……」
でも渡して良いのだろうか?マフナを裏切る事にならないだろうか?
普通に考えても託されたものを勝手に人に貸すのはかなり人道から逸れた行為だ。
「………………ごめん!これマフナからの借り物で預かり物なんだ!だからいくら知木が相手でも無断で貸すわけには行かない!」
「あはは、そんな大声で言わなくてもそういうことなら無理強いはしないよ、別の方法で短剣を強化する方面を考えてみるよ」
「ごめんな知木…お前が絶対悪い事には使わないという確信はあるんだが…俺の人道的な心の問題だ…」
ちょっと気不味い感じになる、知木も少し気不味そうだ。
どうしようと思った時に手の甲が光り輝いた!




