59 勇者、海辺の町に行く(その9)~罠に掛かった兵士目線~
「これからフェンリルを保護しに行く!
皆の者、気を引き締めてことに当たって貰いたい」
隊長が偉そうに訓示しているのを聞いて思った
自分でやれよ
いやね先日も冒険者の家にフェンリルの仔を奪いに行ったんだよ
夜中に行ったんだが見事に失敗したね
「町はずれに建てられた家だから多少騒ぎになっても気がつかれない
だから力責めで行くぞ(意訳)」
そう言って隊長は離れた安全なところに立っていたっけな
オレ達兵士が家に押しかける役だ
家にいる冒険者が気が付けば真っ先に戦闘になる、つまり命の危険があるってやつだな
フェンリルの仔を保護するとか言っているけどやっていることは完全に盗賊だった
まあ貴族に使える兵士なんてどこもかしこもこんなもんんだ
貴族のプライドなり見栄で駒のように動かされて、使い捨てられる
・・・世の中世知がらいな
散開して家に近づいていくと突然足元を掬われた
後で判ったことだが草と草が結ばれているという原始的な罠だった
前に倒れたので思わず地面に手を着いたら、地面が陥没した
そして地面の中に頭から落ちた
そして目に激痛が走った
竹やりや木のやりが多数仕込まれた落とし穴だった
そして槍の部分が見事に目に刺さった
もう痛いのなんの
最悪だった
いやあれは痛いとかそういうレベルではなかったな
なにせ目から頭の中に木の槍が入ったんだ
その上、そこで穴に落ちるはずの身体が止まったんだ
つまり目に入った槍で身体を支えているって訳だ
・・・思い出しただけでもゾッとするな
他の仲間も同じように罠にかかったため、助けがくるまで結構時間がかかった
つまりその間、激痛と絶望を延々と味わったわけだ
ようやく助けられて治癒魔法でケガが治った時思ったね
もうこんな仕事辞めてやる
・・・辞めるって言ったんだけど辞められなかったけどな
貴族な隊長にとって平民の兵士なんて使い捨て、いやただの道具らしい
道具が文句を言うな
そういうことだ
とまあそういう訳でケガをすることがなかった隊長は性懲りもなく再度冒険者を襲撃することにした
そして命令が来た
そんなにフェンリルの仔が欲しかったら自分でやれよと言いいた
・・・言えないけどな(涙)




