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36話 もうドッキドキだよオイ!

「ああ。元から力を貸すつもりだったからな、考えるまでもないよ」


俺の言葉を聞いてホリーの目からは涙が溢れて来た。


「ありがとうございます、カガリ殿・・・」


俺は泣いているホリーを見てスパガーラ戦での出来事が脳裏をよぎった。


あの時、俺はスパガーラに『落勇者』として罵られた。

ホリーにもバレてしまい愕然とさせてしまった。

その時俺は彼女に見捨てられてしまう事を覚悟したのだ。

しかしホリーはそんな俺を信じてくれた。


・・・あの時は嬉しくて涙が止まらなかったんだよな。


今、俺の前で泣いているホリーも悲しみじゃなくて、嬉しくて泣いているって事で良いんだよな?


その時、俺はなぜか、無性にホリーの事が愛おしくなった。


俺はスッと立ち上がってホリーに近づくと、手をホリーの頭へ置いて・・・・・撫でた。


一瞬、ホリーは止まったが、また静かに泣き始める。


俺はハッと我に返った。


・・・はあ?俺ってば何でホリーの頭撫でてんの?!マジか?こんな大胆だったのかよ俺!


そう思いつつも優しく撫で続ける俺。


しかし、ホリーに拒否する気配は無い。


俺は暫くそのまま優しく頭を撫でてから、そっと手を引っ込めた。


正直なところ、もっと撫でていたかった。

でもさ、ふと我に返ってみると、めちゃくちゃ恥ずかしかったからさ。


「・・・・・」


「・・・・・」


沈黙が2人を包んだ。


・・・うう、気まずい空気になった?どうしよう・・・


ホリーは無言のままスッと手で涙を拭った。


そして・・・


「カガリ殿・・・もう少し・・・お願いします」


「はえ?」


「その・・・頭の方を・・・その・・・」


「あ、ああ!」


俺は慌てて手をホリーの頭へ戻した。


・・・うお、びびった!まさかホリーから求めてくるなんてな。夢じゃないよな?


俺はゆっくりと、そして優しくホリーの頭を撫でてやる。

ホリーのサラサラとした綺麗な金髪が、そして頭の感触が手に心地良い。


これは、撫でてる俺もめちゃくちゃ気持ち良いぞ!


ホリーは目を閉じてされるがままだ。


・・・うーん、これってもしかして、良い雰囲気ってやつ?うそ、マジか?!女の子と良い雰囲気になんて、今までなった事ないぞ?・・・まさかとは思うが、今告白とかしたら・・・OKだったりして?・・・そしたらホリーは俺の彼女になっちゃうのか?!・・・何だかめちゃくちゃ夢が広がるんだけどこんちくしょう!・・・な、何言ってんだよ俺は?ホリーとはそんな甘酸っぱいのじゃ無くてもっと固い絆でだな・・・でも、好きな事は変わらないだろ?・・・いやいや無理無理!確かに今は何となく行けそうな気がするけど、それは俺が恋愛経験ゼロだから勘違いしているのであってだな、いざ実行すれば絶対玉砕するから!考えても見ろ、ホリーだぞ?あの超美人だぞ?あの金髪バインバインの元騎士団長様だぞ?くっころだぞ?・・・って何言ってんだ俺?


どうやらだいぶテンパってるみたいだな、俺は。冷静にならないと。


・・・俺の事を慕ってくれてるのは間違いない気がするけど、それはあくまで仲間としてであって、恋愛となると話は別だろ?ホリーだって世の中の女子と同じで、どうせ王子様みたいなイケメンが好みに違いないんだ!・・・それに、さっきホリーに力を貸すって言ったばっかじゃん?そのあとに告ったらさ、ホリーだって嫌でも断りづらいだろ?いや、姫様の身を案じるなら、自分を犠牲にして俺の餌食になる事を選ぶかもしれない・・・おい!餌食ってなんだよ?俺は肉食獣じゃないぞ?どちらかというと、今までの人生、ずっと草しか食って来なかったんだぞ?・・・やっぱり今のタイミングで告白ってのは、ホリーが断れない事を見越した感があって、かなり卑怯な気がする・・・ああもう!どうすりゃいい?!


俺の頭の中はもう、大パニックだった。


それでも手は相変わらずホリーの頭を撫で続けていた。


・・・なんだか撫でてるうちに変な気持ちになって来たんだけど?・・・待てよ?告白はダメでもキスならもしかして・・・


目を瞑って撫でられているホリー。

完全に無防備だ。

その口びるは、ぷっくりとした桜色でめちゃくちゃ可愛らしく、そして柔らかそうだった。


・・・いやいや絶対ダメだろ?キスなんかして拒否られたらその後、ホリーとどう接して良いか分からなくなるし、何より俺自身立ち直れない気がする・・・いやでもさ、もしかするとOKかもしれないし、そんな機会を逃すなんて勿体なさ過ぎだろ?・・・いやいややっぱ無理無理?・・・ああ俺のヘタレ!優柔不断!!・・・そうだ!だったら『おでこ』になら良いんじゃないか?アニメでも、口にキスすると見せかけておでこにするパターンって良くあるよな?・・・いやでもやっぱり・・・いやいやここは・・・まてよ、もしかするとここは・・・よし決めた!俺は決めたぞ!!ここでホリーのおでこにチューっと...


バターン!


「ちゅおでっ!!」


いきなり勢いよく開かれたドアに思わずビクッと変な声を出してしまった。「ちゅおでっ!!」て何だよ?


見ると、アールが帰って来ていた。

相変わらず完璧なる無表情だ。

しかしそのクールさとは裏腹に、首をコキコキしたり、腕をグルグルしたり忙しい。


「ただいまー!あー疲れた。それにしても本スパの手下ってバカばっかりね。ホント、疲れるわー」


「お、お帰りなさいませ!た、大変でしたね。お疲れ様です!」


ホリーも少し慌てて取り繕っていたよ。

俺はどうだ?取り乱してないか?大丈夫・・・だよな?


アールはそんな俺とホリーを見て、


「んー?どうしたの?2人とも慌てて。何してたの?」


「「なんでもない」です!」


ホリーと被った。

なんかホリーと心が通じた様な気がしたよ。悪くない。

けど・・・やっぱり慌ててるのバレバレだったか・・・


アールは無表情で俺とホリーを見比べると、


「ふーん、別に良いけど。さーて、お風呂入ってテレビ見て寝ようかしらねー」


そう言って部屋を出て行った。

これは、怪しんでいたのか、それともいないのか?・・・どっちだ?!


「わ、私もお片付けして来ます!」


ホリーもそう言うと席を立ち、部屋を出て行った。


部屋には俺だけが取り残された。


・・・はぁ〜、ビビった。




≪キスできなくて残念だったわね!≫


「うおっ!」


不覚にも再びビクッとなってしまった。くそっ、アールのヤツめ!


・・・知ってたのかよ?!


≪そりゃ、あれだけ心の中で大騒ぎしてたらね。思わず仕事を切り上げて帰って来ちゃったわよ≫


・・・お邪魔虫かよ!


≪だってカガリあなた、今は子供なんて作ってる場合じゃないでしょ?他にやる事は山積みなんだから!≫


・・・こ、こここ子供って!な、ななななに言ってんだお前は?!


≪そりゃカガリったら興奮してたから。アドレナリンとドーパミンがドバドバ出まくってたわよ?そんな状態で告白、キスとくれば、次は子作りでしょ?≫


・・・違ぁーう!色々とすっ飛ばしすぎてるからぁ!!あと俺の脳内物質の分泌状況は説明しなくていいし!


けれど、アールの一言で俺は気付いてしまった。


・・・頭ナデナデとか告白とかキスとか・・・俺ってば・・・めちゃくちゃ恥ずかしい事してたああぁぁ!!


と、とにかくだ。


子作り云々は置いといて、やる事が山積みなのは事実だ。


うーん、落ち着け俺!


ま、まずは、鉱山をこれからどうするか?


今はアールが運営に支障が出ないように動かしてくれてるけど、ホリーへの助力が決まった今、悠長にはしていられない。


だって時間をかければかける程、ホリーを待たせることになるからだ。


となると、すぐに動く為には、アールの代わりに鉱山を運営してくれる人材を探さないといけないって事になる。


まあ、鉱山なんて放っておけば良いだけなのかもしれないけど、でも、この鉱山だって俺にとっては乗りかかった船だ。

やはり放ってはおけない。


はっきり言ってこの鉱山は地獄だ。

まともな人間ならこんな所で働ける訳がない。


俺はこの地獄をより良くしたいと思っている。


俺が考えている改善箇所はいくつかある。


まずは、ここにぶち込まれている無実の人達。

彼等を救い出し、ここから解放するのが1つ。


そして、俺がここにぶち込まれた初日、若い女性達が俺たちとは別に何処かへ連れて行かれていた。

恐らく彼女達は別の形で酷い目に遭わされているのだろう。

彼女達も解放したい。


・・・まてよ、これって今すぐにでも救わないといけないヤツじゃん!最優先事項だろ、こうしちゃいられないぞ?


≪ああ、それなら一旦、誰にも手出しさせない様に命令しておいたわ。破れば殺すって伝えてるから大丈夫な筈よ≫


・・・おお!やっぱり流石だな、アールは!・・・てか今風呂入ってるんじゃ?


≪そうよ、一緒に入る?≫


・・・は、入らないに、き、決まってんだろ?!


≪入りたい気満々じゃない!≫


・・・うるせー!こちとら思春期真っ盛りだぞコラ!

ふ、風呂はさておきだな、聞いてるなら一緒に考えてくれよ?


・・・あとは、労働環境も良くしたいんだよな。俺なんて10日も保たずに死にかけたからな。そんなめちゃくちゃな働かせ方は廃止にする。


≪良いんじゃない?≫


・・・それと、鉱山内の全労働者と、全職員に聞き取りをして、犯罪者かそうでないかを選別しよう。それで無実の労働者と善良な職員は解放するなり優遇するなりして、犯罪者には、罪の重さ別にそれに見合う量刑を科す。俺のイメージ的には、日本で言う『刑務所』みたいな場所にすれば良いって思うんだけどさ。


≪刑務所ね。悪くないんじゃない?手間はかかるけどね・・・≫


確かに手間だよな。


そんな大役をアールに変わって任せられる人材って見つかるかな?


ラングレーはどうだ?それとも鉱山四天王か?・・・・・無理そうだな、アイツら脳筋ぽいし。


それにそもそもアイツらが真っ当な人間かどうかも分からないしさ。


なら政治犯はどうだ?政治犯ってくらいだから思想とかなんとか、とにかく頭は良さそうだしさ。


・・・なあ、どう思う?


≪そんなの、AIに管理させるわよ?≫


・・・え、AI?それって、SFで良くある、アレ?


≪そう、それよ≫


・・・宇宙人ぽいの来たああぁぁ!


≪別に宇宙人ぽく無いわよ。AIなら地球の科学でもあるじゃない≫


・・・あるけどさ、まだまだ鉱山の管理とか任せられるレベルじゃないんだよ!そうか、超科学ならそういうのあるよな当然。なら後の事はAIに全部任せて、明日にでも出発出来るんじゃないか?


≪少し待って。まだ準備しておきたい事があるから。出発まであと数日は時間が欲しいわね。カガリだって目覚めたばかりだし、もう少し休養が必要な筈よ?≫


・・・確かにそうだな。でも、鉱山の事に何となく目処がついたし、なんだか安心したよ・・・あ、そうだ、めちゃくちゃ重要な事を1つ忘れてたよ


≪大事な事?何?≫





・・・ここの職員全員、モヒカン禁止!!


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