162話 菜綱に起きた出来事って?オイ
すいません、昨日、寝ちゃって投稿出来なかった分です。
菜綱の口から話された事実は、思ったよりもずっとハードな内容だった。
彼女に起きた出来事を順を追って話すとこうだ。
召喚されてすぐの頃・・・
訓練初日、俺はみんなを遠目にしながら、ブルーネルとは違う訓練官に連れて行かれた。
そこで俺は奴からハードな訓練と称する拷問を受けた訳だが、菜綱は、俺が謎の訓練官に連れられて遠ざかっていく様子を目撃していた。
それを最後に俺が居なくなった事を不審に思い、事情を聞く為、菜綱はその訓練官を探したらしい。
そしてある日、そいつを見つけて後を追った所、奴が若い女性に拷問している場面を発見した。
菜綱は怒りに任せて奴を痛めつけ、俺の事を聞いた所、奴は全てを自供したのだ。
どうやらその時に偶然、委員長がその場に入って来たらしい。
そして2人で奴の自供を聞いた所、衝撃の事実が判明した。
奴の名前はギボルグ、なんと奴は訓練官じゃなくて拷問官だったのだ。
そして、俺を拷問して城から逃げるよう仕向けたのは王女の命令だった。
拷問でボロボロの俺に王女は甘い言葉を投げかけ、魔王討伐を断念する書面を書かせた。
書面は有効になり俺の魔王討伐契約は破棄されてしまった。
それを確認すると王女は手のひらを返して俺を鉱山送りにしたのだ。
・・・覚えてるよ。あの時、王女は、討伐を断念しても元の世界には戻れるって嘘をつきやがったんだよな・・・やっぱりあの時の仕打ちは全部王女の筋書きだったんだな!しかもあの男が拷問官だったなんて・・・最初からマトモな訓練なんてさせる気無かった訳だ。
全てを知った菜綱と委員長は、ギボルグを連れて王女を問い詰める為、王宮へ王女に会いに行った。
そこで王女は、いきなり騎士団長のラクロアにギボルグの首を刎ねさせた。
そしてギボルグの話はデタラメだと抜かしたのだ。
俺は鉱山送りになどなっておらず『今頃何処かで心安らかに過ごしているだろう』なんて言いやがったらしい。
・・・王女の野郎、本当に腐り切ってやがるな!
委員長も菜綱と一緒になって王女を責め立てたが、王女が一枚上手で、結局、全てはぐらかされて終わってしまった。
それどころか、菜綱と委員長は、魔王討伐そっちのけで勝手な行動をしているって事で『クエスト』という王女だけが発動出来る試練をやらされるハメになってしまった。
その『クエスト』は強制で、拒否すれば失敗したとれみなされ『落勇者』に落ちてしまう。
勿論、普通に失敗しても同様だ。
菜綱と委員長はそれぞれ『魔族に占領されている街をたった1人で奪還せよ』なんて無茶振り過ぎるクエストを与えられて城から放り出された。
こうして菜綱は委員長とも別れ、たった1人で街の奪還に向かうハメになったのだ。
・・・だから委員長を巻き込んだって言ってたのか。そんなの菜綱のせいじゃ無いじゃん。全部クソ王女のせいじゃないか!
菜綱が向かった街リンケルは廃墟同然だった。
魔族も既に引き揚げていて、留守番の魔族がたった1人居るだけだった。
しかしソイツがとんでもなく強くて、全く歯が立たなかったのだ。
ソイツにボコられ今にも殺されようという瞬間、突如謎の老人が助けてくれた。
その老人は、菜綱を助けた後、魔族に殺されてしまう。
しかし老人のおかげで菜綱だけは魔族から逃げ延びることに成功したのだ。
その後、菜綱は老人の遺体を埋葬したのだが、その際、老人の持ち物から、古びた学生証を見つけた。
それが何と、ウチの学校の物だったのだ。
老人は菜綱より5代前の生徒だった。
何でたった5代前なのに老人なのか?
それに、それが本当なら、召喚された後、残された世界では謎の失踪事件として大ニュースになっている筈なのに、そんな話は一切無かった。
・・・確かに、そんな話は聞いた事無いな・・・どういう事なんだ?
菜綱は、この謎について『パラレルワールドから来たのでは?』と考えたらしい。
つまり、老人は俺達の世界と似て非なる別の世界の住人だったって事だ。
・・・そんな世界、本当に存在するのか?
≪ええ。普通に存在するわよ?≫
・・・マジ?・・・じゃあそのジイさんはパラレルワールドの住人って事?それで俺達と同じくこの世界へ召喚されたって事か?
≪でしょうね。カガリとは別のタイミングで召喚された勇者じゃない?老人って事は、この世界に来て既にかなりの年数経ってるんだと思うし≫
・・・て事は、100年前の勇者とか?嘘だろ?
謎は深まるが、菜綱の話は続いた。
その後、一旦、リンケルから離れるが、それがいけなかった。
クエスト対象の街の奪還を諦めたと判定され、菜綱は失敗ペナルティーで落勇者へ落とされてしまったのだ。
そして行く先々の街や村で住人から酷い仕打ちを受け、追い立てられた。
絶望に暮れた菜綱は、城の前まで戻って来たが、その時ラクロア団長に会ったのだという。
団長は、菜綱の話を聞くと、その老人を埋めた場所までの案内を求めた。
そして、案内する間に、団長の口から驚くべき事実が語られたのだ。
その老人は100年前の勇者召喚で呼び出された勇者だったのだ。
そして既に落勇者に転落していた。
実はこのスピーリヒル帝国は、勇者を意図的に落勇者に落とす事で彼らを縛り付け、魔王討伐後も帝国の戦力になるよう仕向けていたのだ。
つまり、菜綱と委員長に無茶なクエストが出されたのは、最初から落勇者に落とす為だったのだ。
一度、落勇者になったら、人類全てから敵視されるので居場所がなくなり、しかも急激な老化も始まる為、遅かれ早かれ、それを止める薬を持っているスピーリヒル帝国に泣きつくしか無くなるって仕組みらしい。
他の勇者に真実を告げようとしても『落勇者の呪い』によって話を聞いてもらえないどころか、攻撃される危険さえある。
・・・流石に悪辣過ぎるだろスピーリヒル帝国!そして王女!!
菜綱もラクロア団長から真実を聞かされた際に勧誘を受けたけど、あまりの悪辣さに恐怖してしまい、断ったらしい。
すると団長は、
『まあいいさ。いずれ君の方から泣きついて来るだろうから、待つ事にするよ。じゃあ何処へなりと行ってかまわないよ』
そう言って、老人の埋葬場所に着いた途端、放り出されてしまった。
行き場の無い菜綱は、とにかく委員長に合流しようと彼女のクエスト先であるパルチの街に向おうとしたが、場所を聞こうにも街や村の住民から追い立てられ、教えてもらうどころじゃなかった。
街に立ち寄っては追い立てられ、それを繰り返す内に、菜綱はどんどん精神的に追い詰められてしまった。
そして途方に暮れ、あてもなく彷徨った挙句この砂漠まで辿り着いて、遂には意識を失ったのだった。
これが、菜綱に起きた出来事だった。
全てを語り終えた菜綱の顔は辛い記憶を思い出した為か、暗く沈んでいた。
「大丈夫、今は俺がいるから。これからは全ての理不尽から俺が守ってやるよ!」
そう言って菜綱の頭を優しく撫でた。
「ダーリン・・・本当に?」
「ああ。もうお前は俺の身内になったからな。出来る事は何でもしてやるよ」
「ありがとう!・・・じゃあ、ずっと一緒に居てほしい」
「分かった。ずっとピッタリくっついてる訳にはいかないけど、夫婦として、一生寄り添っていこうな?」
「うん!ダーリン・・・好き!」
そう言って抱きついて来た。
俺は菜綱をしっかりと抱きしめてやった。
すると・・・
ガシッ!
背中に何かが密着して来た。
「ずるいぞ!私も混ぜろ!」
ブルーネルがそう言って俺の背中に抱きついて来たのだ。
背後から腕が回され、背中には、むんにゅりと2つの大きな膨らみが押し付けられた。
菜綱から深刻な話を聞いた後なのに不謹慎だとは思うが、俺は幸せを感じてしまった。
だって、超美人2人に前後から抱きつかれてるんだぞ?
・・・これが・・・ハーレムの力なのか!?・・・やばい、幸せ過ぎるぞ!!
この幸せにどっぷり浸かり過ぎて、なんかもう全てがどうでもよくなってきたよ。
・・・けど、委員長は早いとこ救出しなくちゃな!
俺は心を鬼にして2人を引き剥がしたのだった。




