横難横死と笑えない雑魚。 その⑧
「そ、そんな……」
「ふっふっふ、もう泣いて謝ったって遅いぜ」
「どうしてもダメ?」
「謝られたって、僕が君の力を見切ったことに変わりはないからね」
「そっか、じゃああきらめるんだよ」
ふっと、ツヴァイちゃんの雰囲気が変わる。
戦意をなくしたのだろうか。
いや、とにかくチャンスだ。
あの不死身の体をどうにかして攻略して――。
「スキルだけでお兄様を殺すのは、あきらめるんだよ」
「ん?」
あれ、なんかおかしいぞ。
「【樹】!」
ツヴァイちゃんが唱える。
同時に、地面から生えてきた枝に僕の体が貫かれた。
「ぐっ……」
「あたしはお兄様とはちがって、魔法もつかえるんだよ。たとえスキルをやぶられたとしても、お兄様を殺す方法はいくらでもあるんだよ」
「……優秀だね。だけど、今ので分かったよ」
「なにがなんだよ?」
肺に穴が開いたらしい。呼吸が苦しい。
「君のスキルは……スキルじゃない。魔法で再現されただけの別物だ」
「!」
「【貫通】は土魔法の応用、【切断】は風を操ったんだろ。原理は僕には分からないけど」
「そ、それが分かったからってなんだっていうんだよ!」
「いや、別に……ただ僕は、今は死ぬだけさ」
そう、死ぬだけだ。
そして、ツヴァイちゃんの殺し方を考え直すだけ。
意識が遠のいていき、僕は絶命した。
再び気がついた時、僕の前にはツヴァイちゃんが立っていた。
「そっか、じゃああきらめるんだよ」
「……僕を君のスキルもとい魔法で殺すのは?」
「な、なんで分かったんだよ」
「君の考えなんて僕にはお見通しさ!」
というか、ツヴァイちゃんの言うスキルだって元は魔法なんだから、考えてみれば僕はずっと魔法で攻撃されてたことになる。
だから、ツヴァイちゃんの言ってることは微妙に間違ってるんだけど、まあいいか。
あそこまで応用された魔法は、実質スキルみたいなものだしな。
「そうか、お兄様……いきかえったんだね?」
はっとしたような顔をするツヴァイちゃん。
「というと?」
「かくしたってムダなんだよ、お兄様。お兄様のスキルが死んだあとに発動するってことくらいこっちはわかってるんだよ」
「じゃあなんで僕を殺そうとするんだ?」
「さあね、それはあたしの考えることじゃないんだよ。あたしはただ、お兄様を殺してほんものになりたいだけなんだよ。【樹】!」
地面から木の太い枝が突き出す。
僕は咄嗟に空中へ逃げた。
そこにツヴァイちゃんの追撃が来る。
「!」
「そこに逃げることもよそくずみなんだよ!」
ツヴァイちゃんの蹴りで、僕は地面に叩きつけられた。




