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7話 新しい友達



「てわけで、皆が見た渦は風魔法で水の流れを操作してたってこと。中心に追い込まれた魚を待ち伏せするだけでいい!」


「なんで風? 水魔法でも良くない? 水中だし」


「風のがイメージしやすかったから。どうしても水を回すってなると重いって思っちゃって」


「重い?」


「うん、想像してみて。水の入った鍋をかき回すのと、空っぽの鍋をかき回すの、どっちが疲れそうか」


「なんとなく分かったかも」


「ただ、やっぱり水の中で使うなら水魔法の方が相性はいいと思う。あたしは感覚で判断したし」




 あれから、リオがアンナとお話ししている間。


 魚をヨウスケが鑑定し、テンが鋭い石で下処理と棒に刺して準備、ノノカが火の番をしつつお話あいを見守っていた。


 料理が完成すると、リオは解放され痺れた足をヨタヨタさせつつ駆け寄る。


 焼き上がった魚串をテンに渡され、頬張っていると、川での珍光景について質問されたので、リオは説明下手なりに頑張って回答していた次第である。


「緊急事態で天は水魔法発動したし、三谷も風魔法ぽいの使えそうだったんでしょ?」


「不発だったけどねー」


「基本的にみんなに魔力は備わってるってこと?」


「そもそも、魔法と魔力がこんがらがってる」


 テンの疑問に、用語って似てると混合して使っちゃうよね分かる、とリオは同意した。


「魔力を消費して生み出したものを魔法って解釈してるかなぁ。


 例えば、魔力を1万円札として考えてほしいんだけど。その1万円だったら、食べ物も買えるし、ゲームでも、本でも買える。


 その1万円という魔力で、食べ物という形の魔法にも、ゲームや本という形の魔法にも変えられる。


 魔力という無属性を、火、水、風の魔法として外に見える形に放出してるって感じだと思ってるかな、今のところは」


「なるほど。なんでそんな解釈できてるの?」


「異世界あるある」


「またかい」


「なんだろう。分かったけど、例えが生々しい、、、」


「えー、、、」


 まさかのダメ出し意見にリオも反応に困る。


「あとは鑑定とか収納とかある時点で、ありえるなと思ってる」


「誰目線なの?」


 リオがノノカからのツッコミに笑っていると、アンナとヨウスケに見つめられていた。


「え、収納?」


「何それ?」


「え? 三谷か天から聞いてない?」


「 「聞いてない」 」


「おい、2人」


「、、、言ってなかったっけ?」


「ソーリー」


 所持者本人であるテンに説明を丸投げし、リオは目の前の料理を食べることに集中した。






    ***






「骨とか、この食べられない魚どうしよう?」


 腹も満たし、早々に森を出ようと片付けを開始した5人。 森で一晩は勘弁したい。切実に。

 

 行く当てもないのだが、ここで留まるよりは進むことを選んだ。


「埋めるしかないんじゃない?」


「莉緒ちゃんが乱獲したんじゃん、、、」


「乱獲してないわ!」


「毒じゃなくて食用不向きの魚で良かったね? 下手したら死んでたかもよ」


 ヨウスケからの自己申告で“食用の可否のみでなく、対象の状態が簡単にだが分かるようになった”という嬉しい報告があった。


「マジでシャレにならんよな、今後気を付ける」


「そうしてそうして」


 チクリとノノカに痛いところを突かれ、反省する。


「食用じゃないて言ってもね、素材にも向いてなさそうだし」


「まとめて埋めるしかないかー」


 骨のみ残った残骸の尾の部分を持ち上げ、ノノカは掘りやすそうな地面を探す。


「掘るのに石か棒を探してくるね」


「よろ~」


 リオがノノカの傍を離れる。他の3人も、薬草の整理や火消処理など分担して動いていた。



 ぷるるんっ



「へ?」


 ノノカの視界の端に、何やら見慣れない生物が映り込んだ。思わず目で追いかける。


 そこには、半透明の色をした「スライム」がいた。


 地面に置かれた魚などを狙っているのか、地味にノノカへ向かって詰め寄ってきている。


「、、、」


 目の位置など分らないが、ノノカは見つめる。ひたすら見つめる。


「いい感じの木の棒ゲットしてきたよ~、え?」


 片手に木の棒を握り、楽し気に帰還したリオが、固まるノノカの背後から前方を覗き込む。


「はぁぁぁ? スライムじゃん!」


「あ、やっぱり?」


「やっぱり、じゃなくない???」


「どうしたー?」


 リオの叫び声に、3人も寄ってくる。


「スライム、だね」


「定番の魔物だね」


「倒す? 武器ないけど」


「スライムはなー、ピンキリの振れ幅がすごい」


「なんのピンキリ?」


「最弱から最強までの格差がエグい」


「異世界あるある?」


「異世界あるある」


 ノノカ以外の4人が話す中、ノノカのみスライムから目を外さず見つめ続ける。


 とうとうスライムは地面に放置していた魚や残骸に辿り着くと、その柔らかそうな体で覆いかぶさり、取り込んでいく。


「あ」


「何?」


「スライムが食べた」


「え」


 ノノカの報告に、一斉に4人がスライムへ視線を向け、誰も動かずに捕食の様子を観察する。


「え、溶かして食べるんだ」


「体内はやっぱり酸性の液体かなー?」


「溶かしてるしね。でも、体表は違うっぽいな。ほら、通り道の草は溶けてない」


「捕食するしないを自分で選択してるとか? 脳みそぽい臓器見当たらないけど。意思も少しはあったり?」


「なんでこの2人、ガチめの考察なんて始めてるの?」


 ヨウスケとリオの反応に、テンが思わず一歩引いている。


 飽きもせずスライムを見つめ続けるノノカも、スライムが消化を終えると4人の方を振り返る。


「埋めるもの、無くなっちゃった」


「手間省けたね」


「そろそろ行くぞー」


「どっち行く?」


「下流じゃない?」


 ノノカが満足したことを察し、それぞれが動き出す。


 ぷるるんっ!


「! 、、、なぁに?」


 足元に触れた感触に、歩き出そうとした足を止め、ノノカは優しい口調で足元のスライムに話しかける。


 ぷるるんっ!


 柔らかいボディを揺らして反応を返すスライムだが、ノノカにはよく分からない。ただ___、


「この子、連れて行ってもいい?」


 ただ何となく「連れていけ」と訴えているように感じた一瞬を、ノノカは受け入れた。


 動き出していた4人は目をぱちくりさせると、お互いの顔を見合わせる。


「いいんじゃない?」


「三谷が世話すんなら別に」


「やった! 残飯処理班ゲット!」


「、、、沢村さん、せめて環境保全委員にしない?」


「陽ちゃん、ツッコむとこ、そこじゃない」


 アンナとテンは許可し、リオとヨウスケは違う方向に話が飛んだが、承諾といえる反応だろう。


「あなたは『スラちゃん』。スライムだから『スラちゃん』ね。よろしく!」


 座り込んでスライムに声をかけると、スライムの表面が光り輝く。


「え?」


「え」


「光った!?」


「おお」


「あ、これあれだ」


 数秒もしないうちに発光は収まり、そこには変わらずの姿をしたスライムが鎮座していた。


「一人だけ分かったような反応してたけど?」


「沢村さん、説明プリーズ」


「あー、陽ちゃん。まず、スラちゃんを鑑定してくれない?」


「え? 了解」


 リオのお願いに、ヨウスケがノノカの横に並び、スライムへ意識を集中させる。


「『状態が見える』になった今の鑑定スキルなら、分かると思うんだよね」


「何が?」


「『【個体名:スライム】【状態:少し空腹】』、、、と『【テイムモンスター】』?」


「ビンゴ」


「え、つまり、、、!」


 全員が顔を見合わせる。


「そのスライムは三谷の『従魔』であり、三谷は魔物を使役できるジョブの『テイマー』てこと確定です! 拍手!」


 パチパチパチ、と4人からノノカへ拍手が送られる。


「ちなみに従う魔物て書いて『従魔』ね。別に無理に従わせる必要はないけど、他人にケガさせないように躾は必要だと思われる」


「ペットじゃん」


「、、、これからよろしくね」


 ぷるるんっ!





 

    ***






 早速出発した一行は、川岸を下流に向かって歩いていた。


 抱えていたスライムがノノカの腕から飛び出し、頻りに反対岸へ行きたそうに跳ねている。


「この子が、こっちだって言ってる気がするんだけど」


「えー、急いで森抜けて村とか街を探したいんだけど」 


「スラちゃーん、私たち、森を出て人に会いたいのー!」


 リオとアンナがスライムとやいのやいのしていると、ノノカがスライムに近づき抱え直す。


 そのまま引き返すことなく、石を足場に反対岸へ渡っていく。


「ちょっ、三谷ー!」


「一人で行くなー」


 慌てて追いかけようと動く4人へ向けて、ノノカの大きめの声がかけられる。



「街みたいな大きな建物があるー!」



「「「「はぁ???」」」






___________________


ノノカ【ジョブ:テイマー 解放】 


ジョブ解放による効果で 


ノノカ【スキル:使役Lv1 獲得】   

___________________



___次回、第2章へ


(更新は不定期です。作者の筆次第←)



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