1話 巻き込まれ転移
「ステェェェタス! オープンっ!!!」
興奮気味の少女の声が、森に高らかと響き渡った。
___時は遡る。
「ほらー、2件目に向かうよー」
先頭を行く佐々原杏奈の声かけに従い、4人がぞろぞろと道の端を移動する。
「あー、、、ハズレたぁ」
悲壮な声を上げ、スマホと睨めっこしていた沢村莉緒は項垂れる。運は無常である。
「何? またガチャ爆死したの?」
画面にはプレイ中のゲームが表示され、それを覗きつつ隣を歩いていた 三谷ののか が問いかける。
「なんでかなぁ、当たるときは当たるのに」
「皆そんなもんでしょ」
「うるさいよ、あたしは人運に振ってるから、爆死はしゃーなしなの」
軽口を叩きながら、酔いの余韻が残る体で道を行く。
「次は何の店?」
最後尾に横並びで歩く男性の1人である空野天がウキウキした様子で尋ねる。
「さっきは焼き鳥だったから、海鮮系。て言っても、チェーン店だから何でもあるんじゃない?」
「さっき食べ過ぎたから、漬物とか食べたい」
前を向いたままの杏奈が答え、天と共に最後尾を歩く守崎陽介が言葉を返す。
幼い頃からの幼馴染である5人。
飲み会を開くようになったこの付き合いは、気づけば数年も続いている。
皆が28歳のアラサーを迎えつつも、定期的に集まれている。といっても、遊ぶようになったのは社会人なってからだ。
ふと、自分たち5人の前を歩く学生たちに気が付いた莉緒がスマホから一瞬だけ顔を上げた。
本日は土曜日の夜19時。部活帰りだろうか、制服で荷物を背負っている学生が数人。
一方こちらは、私服で酔っ払い。早い時間から飲み歩いている大人である。悪いことはしていないのに、なんだか申し訳ない気持ちと同時に、青春だなぁと感慨深くなる。
「ここの角を右に、」
「うわぁぁぁっ___」
スマホで道を確認しつつ進んでいた杏奈の声を上書きするように、辺りに叫び声が響く。
___前を歩いていた学生たちだろうか?
前方、曲がり角の先。T字路の右側から正体不明の発光が確認できる。
悲鳴に反応し、誰ともなく咄嗟に駆け出すと、全員が右折する。
目を刺すような強烈な光に足を止めたが、すでに遅く。
「誰かいる!? 大丈ぶ___」
「うわっ!? 眩しい!」
「え。ちょっと待って___!」
誰かの叫び声を最後に、光に包まれた5人の意識はぷつりと溶かされた。




