-復讐する星は禍々しく輝く-
「もーすぐ冬か・・・」
自宅で若林大志はそー呟いた。
今日も俺は仕事をしなければならない。
あまり気は進まないのだが・・・
俺は玄関の収納から『仕事に必須の物』を取り出して、ギターケースに入れ、外へ出た。
外は予想通り冷えきっていて、厚着をしてきたが、寒かった。
俺は目的地である『廃墟になったマンション』の階段を登り、屋上に向かった。
屋上に着いた時、時間は8時で、学校には学生が登校しているところだった。
俺は屋上の端に移動し、ギターケースを開けた。
もちろんこんな所でギターを引くわけがない。
中に入っているのは別の物だ。
俺はギターケースから『スナイパーライフル』を取り出し、弾を込めて、伏せ撃ちの体勢をとった。
そう、俺は依頼された人間を殺す殺し屋だ。
今回のターゲットを見つけた俺は、心を落ち着かせ、スコープを覗き込んだ。
狙いを『中学生の男の子』に定め、引き金を引いた。
サプレッサーを付けていてもうるさいほどの爆発音が響き、銃弾は少年の胸を見事に貫いた。
今日の仕事はこれで終わりだが、まだ明日、明後日もある。
俺はスナイパーライフルをギターケースにしまい、何事も無かったかのようにその場を後にした。
明日葉との買い物から1週間後、事件が起きた。
ただの事件なんてものではない。
殺人だ。
殺されたのは田中。
死体の左胸にはなにかに貫かれたような穴があった。
ありえない。
ここは日本だから、銃器など存在するはずがないのだ。
それに、なぜ田中が殺されたのか。
その事件以降、彼女であることりは不登校になった。
「みんな知っての通りだけど。田中が殺された。」
静まり返った研究室で山本はそー言った。
「これはきっと『力』に関係ある問題だ。次は俺たちが狙われるかもしれない。」
俺は何を言っているか全くわからなかった。
田中には『力』を持っている疑惑があったが、本当に持っていたかはわからない。
それなのに次は俺たちが狙われるとはおかしな話だ。
「それはおかしくないですか?田中くんと私たちは関係ないじゃないですか。」
明日葉は不安そうな顔でそー言った。
「ここにいる俺たちには大事な共通点がある。それは大切な誰かを失ったことがあるってこと。調べたところ、田中は大好きだった弟を事故で亡くしてる。きっとその時に『力』に目覚めたんだろ。内容がわからないのが残念だけどね。」
なるほど。
それは確かにありえる話だ。
俺は幼馴染みの未来を。
山本は兄を。
明日葉は両親を。
真結は姉を亡くしたそうだ。
みんなその事件以降『力』に目覚めている。
田中も同じだということか。
「それじゃあ、私たちも殺されるってこと?」
「あくまで可能性の話だけどね。」
「それは嫌だなぁ。私まだやりたいことあるのに。」
「それはみんなそうだろう。」
「私たちで解決するのはどーでしょう?」
明日葉の突然の提案にみんな驚いた表情を浮かべた。
「あ、明日葉ちゃん。それは難しくないかなー?相手は殺人犯だよ?きっと武器持ってるし・・・」
「私たちにも武器はあります。」
「え?」
「私たちには『力』があるじゃないですか!」
確かにそうだ。
だけど・・・
「そうだけど!俺たちの中に戦える『力』を持ってるやつなんていないよ?」
そーなのだ。
みんな時間に関係する『力』で、とても戦えるものではない。
「それはまかせてくれ。」
そー言ったのは意外な事に真結だった。
「私が未来を変えてやる!」
真結の目はいつにもなく輝いていた。
「よし、やるか。」
真結は自分のベッドに寝転び、目を閉じた。
私がどーにかしないと、とんでもない事になりそうだ。
私は真っ暗な世界の中で、ひたすらに平和を願った。
「おつかれさま。」
研究室で山本は真結に言った。
「うーん。なんだか疲れちゃったよー。」
「さーて。未来はどー変わったのかな?」
「もーちょっとねぎらってやれよ。」
「おつかれって言ったし!」
「それもそーだけど・・・」
「気にすんな!私はそんなことじゃビクともしない!」
「さすが真結さんは元気で強いのです。」
「だろだろー?」
今日も4人で平和だった。
「そーだ!4人で遊園地行かない?」
「お、いいねー!」
そーゆーわけで、俺たちは遊園地に行くことになった。
「ひゃっほーーー!」
当日、山本と真結は延々とジェットコースターに乗り続けていた。
俺と明日葉は2人でベンチに座っていた。
「遊園地は少し前に行ったばかりですね。」
明日葉は少し照れたように言った。
「ん、そうだね。」
「あの時はごめんなさいなのです。つい・・・」
「気にしないでいいよ。」
「ありがとうございます。」
明日葉は話せば話すほど顔を赤くしていった。
すると突然、明日葉は何かを決心したように顔を上げた。
「じ、実はですね!私、楓太くんの事が・・・」
明日葉がそー言った瞬間、事は起きた。
明日葉が体をビクッとさせたかと思うと、俺の方に倒れてきた。
「明日葉?どーした・・・の・・・」
俺は明日葉を抱き寄せた時に見てしまった。
明日葉の左胸から血が出ていることに・・・
「あ・・・あぁ・・・!」
俺は声にならない声を出していた。
明日葉は吐血し、体は冷えてゆき、軽くなっていった。
「ふ・・・楓太・・・くん・・・す・・・き・・・でし・・・た・・・」
明日葉は今にも消えてしまいそうな声でそー言った。
「な、何言ってるんだよ明日葉!喋るな!すぐ助けてやるから!」
助けられないのはわかっていた。
けれど、電話をすることもなく、俺は明日葉を抱きしめた。
「私・・・最・・・後・・・に・・・・・・楓太くんの・・・腕・・・の・・・中に・・・いれて・・・・・・と・・・ても・・・幸せ・・・で・・・す・・・」
「最後とか言うなよ!お願いだから・・・お願いだから死なないでくれ!」
「ご・・・ごめん・・・なさ・・・い・・・・・・」
明日葉はそれ以上、何も話さなくなり、体の力も抜けていた。
「あ・・・明日葉・・・うわああああああ!」
俺は泣くことしかできなかった。
そこに、よーやく山本と真結が来た。
「あ、明日葉ちゃん・・・?」
「明日葉・・・?」
2人とも目の焦点が合っていなかった。
「い、いやああああああ!」
真結の叫びは夕暮れ時の空に虚しく響いた。
警察や救急車が来たが、明日葉は助からなかった。
犯人も手がかり1つ見つからなかった。
「嘘だ・・・こんなの・・・夢か何かだ・・・」
俺は明日葉の冷たくなった手を握りながらそー言った。
「楓太・・・」
「わ、私が未来を変えたから・・・私のせいだ・・・私が明日葉を・・・!」
真結はそー言って病院から出ていった。
俺は泣くことしかできず、胸の中は空っぽだった。
明日葉が死んだ。
誰かの手によって殺された。
俺は泣き疲れて、そのまま寝てしまった。
「ふー。」
若林は少女の胸を撃ち抜いた事を確認し、観覧車から、周りの景色を見た。
スナイパーライフルをギターケースにしまい、空薬莢を拾った。
俺は空薬莢を指で弾いて、ふとあることを思った。
俺は今までに何人もの命を奪ってきた。
5人を殺した頃から、人の命を奪う恐ろしさがなくなってしまったように感じた。
きっと捕まれば終身刑は免れないだろう。
まぁ、死んでしまっても構わない。
俺はそれくらいの事をしたのだから。
観覧車を降り、遊園地を出た俺はコンビニに寄って、タバコとお弁当を買った。
タバコを吸いながら、夜風に吹かれていると・・・
「君もなんだか嫌なことでもあったような顔をしているね。」
見知らぬ男。というか少年だった。
「子供が大人に言うことじゃないだろ。お前には関係ない。」
俺はあえて冷たく言い放った。
そーしたほうが早くどこかに行くと思ったのだ。
「おじさん、冷たいなぁ。だから人を殺せるの?」
「なっ・・・!?」
気づけば、激痛が走っていた。
自分の左胸からナイフが生えている。
いや、刺されたのだ。
「明日葉を殺した罰だ。地獄に堕ちろゴミが・・・!」
遠のく意識の中、最後に見たのは、美しい夜空と、それに合わない少年の怒りの顔だった。
そーか・・・こいつ、あの少女の隣にいた・・・
俺はそこまでが限界だった。
視界が暗くなり、命の灯火がまた1つ消えた。
お待たせいたしました!
第9話です!
初めて颯太以外の視点で書きました。
これからもがんばるので、よろしくお願いします。