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先生と小咄  作者: かなん
3/3

3 先生と生徒のそれから

「先生、海はなぜあんなに大きいのですか」

「馬鹿野郎と叫ばれて受け入れる心の広さが必要だからです」






「先生、ドライブに行きませんか」

「自転車の荷台を示されても困るのですが」






「先生、体力測定をしてきました」

「あなたと握手をするのは止めようと思います」






「先生、修学旅行が楽しみです」

「お土産に竹刀はいりませんからね」






「先生、リア充爆発しろって何ですか」

「あなたがいつもカップルを見る度に舌打ちするその気持ちです」






「先生、お弁当を作ってきましょうか」

「あなたのお母さんが作るなら可哀想ですからやめてほしいですし、あなたが作るなら私が可哀想ですからやめてください」






「先生、料理は愛だと思いませんか」

「失敗作を作った人から言うべき言葉ではありません」






「先生、何故洗剤を隠すのですか」

「あなたがお米を洗うと言い出したからです」






「先生、上手に嘘がつけません」

「あなたがまだ大人ではないという証明ですね」




 * * * * * * * * * *



「先生、卒業したら」


 生徒は聞きました。


「私は先生にとってどのような存在になるのですか?」

「それは難しい質問ですね」


 先生はいつものように答えてはくれませんでした。


「その答えを探すのは時間がかかりそうです」

「では」


 生徒は再度問いました。


「その答えが見つかるまでは傍にいてもいいですか?」


 先生は答えました。


「見つかるのに一生かかるかも知れませんがいいですか」

「一生傍にいてもいいのですか」

「はい、いいですよ」

「……」

「……何で泣くのですか?」

「私にもよく分かりません」

「あなたは分からないことが多いですね」

「えへへ、はい」


 生徒は微笑みました。


「だから先生がいなくては駄目なんです」

「そうですか」




 卒業式の前日の、先生と生徒。




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