外伝① 陽向と武田が和泉に出会うまで
1話目の後半部分に置いていた陽向と武田が和泉に出会うまでの話しです。
本編から切り離し外伝としてみました。
目が覚めると知らない場所だった。辺りを見渡すと隣で知らない男が寝ている。
どこだここ?
陽向が最初に思ったことだった。
昨日パソコンをいじってたくらいからの記憶が曖昧だが……自分の部屋じゃないことは確かだが、さてどうするか?
陽向はとりあえず隣のベッドで寝てる男を起こす事にした。
「すみません。あの。もしもし」
「zzzz」
声かけたら起きろや、ったく
「もしも~し、起きてください。もしも~し」
なかなか起きないので少し強めに揺すってみる事にした。
「ん~……」
起きたか?
「zzzz」
寝るのかよ! あ~いいや叩こう。言ってもダメなら実力行使だ
「おい! いい加減起きろや!」
いくら声をかけてもいっこうに起きないため言葉使いが荒くなっている。頭をはたきながらさらに声をかける。
「zz・・・痛いぞ陽向」
おい、なんで知らない奴が俺の名前を知ってるだよ
「あんた誰だ? なぜ俺の名前を知っている?」
陽向はさらに叩きながら問い詰める。
「あ? 何言ってるんだ? その声は陽向だろ? てか叩くのやめろよ。いい加減痛い」
「声だと?」
叩くのをやめてた陽向が聞き返す。
「ああ……あれ? 陽向じゃない……すみません。友人と声が似てたもので」
「いや、俺は陽向だぞ?」
「え……あ~同じ名前の方でしたか」
どうも向こうも混乱してるようだ。
「あんたは誰なんだ?」
ついついキツイ感じで問い詰めてしまう。
「俺は武田って言います」
「武田だと!! 言われれば声がそっくりだ」
「?」
「?」
「おやぁ目が覚めたようだねぇ」
扉の方から声がしたと思えば婆さんが一人立っていた
「あんたらぁこの家の前で倒れてただよ~? 覚えてるかぁ?」
何のことだ? 俺は昨日は自分のアパートにいたんだぞ?
「隣に寝かしてる娘子もあんたらの連れかえ?」
婆さんはこっちの話を聞かずにどんどん自分からしゃべっていく。
「他にも人が倒れていたのですか?」
武田と名乗った男が婆さんに質問している。
似てる、いや、似てるなんてもんじゃない顔や体つきは全然違うのにこの声はたけぞーのものだ。
「そっだよ~昨日“どさっ”って音がしたらから何かと思って表ぇ出てみれば。あんたらが倒れていただよ」
「そうだったのですか」
武田(仮)と婆さんの会話は続いている。
「助けていただいてありがとうございます。」
「いいってことだよ~困ったときはお互い様だぁ。ただこの後色々と話を聞きたいと村長さんが言ってるで~ちょびっとばかし付き合ってもらうだよ」
「ええ、かまいません。俺たちも色々と知りたいと思っていたのです。」
「さて、わしはもう一人の方も見てくるで。服はそこに置いてあるのを好きに着てもらって構わないだよ」
二人ともパンツ一枚だった。
いつまでもパンツ一枚で過ごすわけにはいかないと、二人はとりあえず着替えることにした。
二人がそれぞれ服を手に取ろうとした時、隣からすごい悲鳴が響いた。
「ひゃぁぁぁ~ごめんなさいごめんなさい。こんな運動不足と脂肪でブヨブヨの僕は食べても美味しくないです。きっと生け贄にしたら神様も嫌がると思いますので命ばかりは御容赦を~」
何をそんなに慌てているんだ? バカなのか?
隣から聞こえて来た声はとても慌てていて、言ってることの意味がわからなかった。
しかし、声を聴く限りいずんちゅじゃないな。あいつどこ行ったんだ?
「隣の人は女の子のようですね」
武田(仮)が話かけてくる。
「そうみたいですね……」
なんか、友人の声で敬語を使われてるとこそばゆい。
相手も同じようなのか少し照れ笑いしている。
その時また叫び声が響く
「なんじゃ~~~こりゃ~~~~」
“なんじゃ~こりゃ~~”って「太〇にほえろかよ」古過ぎるだろ
ツッコミを入れてると部屋の扉が開いた。
「なんか隣の娘子また寝ちまったで、先に食堂に行っててくれや、この部屋を出て右に行けばすぐ着くで」
「わかりました、では食堂で待たせてもらいます」
そう武田(仮)が答えると婆さんは隣の部屋へ行ってしまった。
「とりあえず移動しますか」
「そうですね、落ち着いて話したほうがよさそうですし」
二人は婆さんに教えてもらった通りに食堂へ行く。
食堂らしき広い場所に出ると二人は身近な椅子に座ることにした。
「……」
「……」
沈黙が続く。
う~ん、このままじゃ埒があかない。ここはひとつ腹割って聞いてみるか
陽向が声をかけようとすると武田(仮)の方から話しかけてくる。
「改めまして、武田涼といいます」
「あ、新山陽向です」
「……」
「……」
また沈黙である。
「あ~間違ってたら悪いが、あんた“神”か」
『神』というのは俺達三人だけで通じる武田のあだ名だ。なぜ神と呼ばれるかいずれ話すことになるだろう。
「そのあだ名で呼ぶってことはやっぱり陽向か」
「おいおい、本当にたけぞーだったのかよ、全然別人に見えるぞ」
「陽向こそ、どうしちまったんだ?」
二人は昨日和泉に誘われたアルバイトのホームページを記入していたことを話し合う。
「やっぱり、そのあと急に眠くなったんだよ」
「俺もだ、武器を選んだくらいまではしっかりと覚えてるんだが」
「この国の名前らしきところを読んだ辺りから記憶が曖昧でさ」
二人は状況を確認しあっていく。
一人で考えるよりはだいぶマシである。
「おい、たけぞーホームページで入力した身体的特徴言えるか?」
「大体は覚えてると思うが、それがどうした」
「ちょっと言ってみてくれ」
「ああ」
武田は設定したことを項目ごとに話だす。
「その特徴だと今俺が見てるまんまだな」
「マジでか」
「ああ、ちなみに俺が入力した特徴は……」
「見たまんまだな」
「そうなると、あの記入はこの姿の事だったのか」
二人の答え合わせは続いていく。
「そうなるといずんちゅも一緒にここに来ているはずだが」
「さっきの女の声がそうだったりして」
「あ~いずんちゅ“ネカマ”やってたもんな」
「でも、俺らは“声”は変わっていないぞ」
「いや、俺達は“声”だけじゃない」
「ん? どこだ? 他の見た目は変わっているけど」
「見た目はな、でも俺らは性別は同じだ。身長もほぼ一緒みだいだしな」
「なるほどな、となると和泉さんは全部変えたのか」
「ああ、どうせゲームだと思って今迄通り変えたんだろう」
後先考えないからなぁいずんちゅは
「となると、確かめないといけないな」
「そうだな、廊下から歩いてくる女が、いずんちゅなのか違うのか」
二人の視線の先には婆さんと歩いてくる小柄な女の子が写っていた。




