プロローグ
僕の名前は宇江原和泉、普通の大学に通う普通の学生だ。
まぁこれといって特筆するような特徴はないが、アニメや漫画が好きでゲームやパソコンをこよなく愛し平均体重よりも重いくらいか?
まぁ簡単に言えば典型的なヲタクだ。
「あ~また死んだよ~」
操作をミスった僕のキャラクターは敵の攻撃を受けHPゲージを空にした。
「はぁ? 早すぎるだろ! いずんちゅ」
厳しい言葉をかけてくる彼は新山陽向。僕に今遊んでいるゲームを教えてくれた張本人である。言葉使いは悪いが結構いい奴である。
「和泉さんないわ~」
彼は武田涼。高校からの友人で付き合いは長く、結構お調子者の気がある。
僕と武さんの二人は大学のサークルで陽向と知り合った。地元を離れ独り暮らしをしているなど身の回りの話してみるとなんと地元が同じと言うことがわかり僕たちは早々に意気投合した。
その他にも趣味などで共通点が多くあり、気が付けば僕の部屋に集まりゲームをするのが習慣となってる程仲良くなっていた。
今僕たちが遊んでいるゲームはモンスターを『狩り』その素材を使いキャラクターを強化させていくハンティングアクションゲームで数年前に発売したのをポータブルゲーム機に移植したものらしく、結構人気があるらしい。
「いずんちゅさ~少しは練習しろよ」
「さっきからずっと報酬減らしてるやん」
耳が痛い言葉である。このゲームはHPがなくなればその時点でアウトではなく、一度基地に戻りHPなど全回復した状態で再スタートとなる。しかし、回数が決められており、1回アウトになるたびにクリア報酬が減るのだ。ゲームはそれなりに得意だと思っていたが、どのジャンルもオールマイティにやっていたためか「広く浅く」の状態になり、得意な人とは少し技量に差が出てしまうのである。
「面目ない。それより、次は何狩る?」
素直に謝り次のクエストを選ぶことにする。
「いずんちゅが死なないの」
「和泉さんが報酬を減らさないの」
どうやらこの友人は家主に気を使うということを知らないらしい……ひどい。
そんな会話をしながら数時間遊べば外は暗くなり、そろそろ夕飯を作る時間になる。
「腹減ったな」
ジャストのタイミングで陽向が言う。
「コンビニ行くか?」
「いや、食べ行こうよ」
「何処?」
「ラーメンな気分」
「「ええ~」」
声を揃えて渋られた。ラーメンいいじゃない。美味しいのに…
「じゃあラーメンだな」
「行くか」
「おいィ?」
よくわからない会話をしながらラーメン屋に行くのだった。
そんなゲームありきでの日常が僕たちの生活スタイルだった。
夏休みを控えたある日、珍しくみんなで集まることはなく1人でパソコンをいじっていた。せっかくの大学生の夏休みだ、バイトの1つでもしてみようかと思い色々と調べていたのである。
そんな時あるバイト募集の広告を見つけたのだった。
~冒険者になってみませんか?~
そんな書き出しの広告だった。
冒険者って……アルバイトで募集するものなの?
少々疑問に思いながらも内容を読んでみる。
~冒険者になってみませんか?~
当方、冒険者になってくださる方を募集しています。年齢、性別問いません。
「我こそは冒険者だ!」て方是非ご応募下さい。一人から申し込めます(最大3人)
★長期間できる方歓迎
★報酬:月20万+出来高
1人で申し込まれる方は下記のURLを、複数で申し込まれる方は下記空欄へメールアドレスを記入してください。
URL:http://www.……
メールアドレス【・・・・・@・・・・・・・】
・
・
月給20万って……泊まり込みなのかな? でも先輩がバイトで月30万稼いだって話も聞いたことあるし、まぁ内容はちょっと普通のバイトではなかったけど……。
とりあえず三人まで大丈夫って書いてるし、奴らにでも聞いてみるか? 一緒にやればいざって時になんとかなるし、3人よれば何とかの知恵って言うし……うん、誘おう。
ということでメッセンジャーソフトを起動する。
●和泉:チャオチャオ
●陽向:どうした?
最初に反応したのは陽向だ。さすがのレスポンス、暇だったのかな?
●和泉:バイトしない?
●陽向:いいが、内容は?
●和泉:http://www.……
口で説明するより見てもらった方が早いと思い、とりあえずURLを送りつける。
●陽向:これ大丈夫か?
当然の反応だよね、20万は怪しと思うもん。
●涼:よ
●陽向:いよ
ようやく武さんも会話に参加してきた。何かやっていたのかな?
●涼:何の話?
●陽向:いずんちゅがバイトしないかって
●涼:ふーん、内容は?
●陽向:上のURL
●涼:……怪しくね?
二人とも同じ反応だ~まぁこんな怪しいバイト普通はやらないよね。
●和泉:でも、月20万って魅力的じゃない?
●陽向:そこが一番怪しいだろうが
ですよねー正論過ぎて反論が出来ませんね。
●涼:大体、「冒険者」の意味がわからん
●和泉:きっとあれだよ?
●陽向:どれだよ
●和泉:ゲームのテスター? みないな?
●涼:それにしても20万は怪しすぎる
やっぱりそこが怪しいよね~どうしよう、別のバイト探そうかな?
●和泉:じゃやめる?
●涼:う~ん
●陽向:とりあえず、やるとするならもっと詳しい情報がほしいな
おや? 少しは気になっているみたいだよ?
●和泉:じゃ、ちょっと問い合わせてみる?
●陽向:頼む
●和泉:アイサ-、しばしお待ちを
僕は件のHPに掲載されているメールアドレスへ仕事の内容を確認するメールを送る。本当は武さん辺りにやらせようかと思ったけど、言い出したのは僕だし……渋々ながらも返信を待つ事にする。
げ、もう返信きたよ。反応早すぎじゃない?
待っている間に何しようかと思っていたら数分もしないうちにパソコンがメールの受信を知らせてきた。
●和泉:返信きた
●陽向:早すぎだろww
●涼:おいおい、本当に大丈夫?
僕もそう思う。が、今はメールの確認を優先しよう。
~この度は私共の冒険者募集に興味をもって下さり、誠にありがとうございます。~
~詳しい仕事の内容は登録された方にしか申し上げられませんが~
~簡単に言えば私共の用意したもののテストをしていただきたい~
~そんな感じでしょうか~
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~また「報酬が高くて心配だ」と申される方も多いと思いますが~
・
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~最後になりましたが宇江原の登録を心よりお待ち申しております~
まぁ要約するとこんな感じのメールが送信されてきた。
とりあえずメールを添付して、2人の話しを聞いてみる。
●涼:なんか余計に怪しいな
●和泉:でも住み込みのバイトだと思えばよくない?
●涼:それでもなぁ……
思いのほか武さんが渋っている。でもこの感じは芸人が良くやる『押すなよ』的なやつだと直感する。
●和泉:夏休みは暇でしょ?ちょっとでもお金が入ればいいじゃん
という事で後押ししてみた。
●涼:そうだな……やってみようかな?
●陽向:マジでか
●涼:ああ、実は免許や車で結構貯金を使っちゃったしな
やっぱり芸人の『押すなよ」状態だったか。怪しいと思いつつ20万の魔力には逆らえなかったようだ。
●陽向:……2人がやるならじゃあ応募してみるか
ひなぞーも折れた~男のツンデレは需要ないよ?w
●和泉:じゃあ登録しちゃおう^^メアドはこのアドレスでいいかい?
●陽向:いや、捨てアドとるから待ってろ
●涼:オレも
●和泉:あ~了解。僕はさっき問い合わせでこのアドレス使っちゃったからこのまま登録かな?
しまった……こういう時は捨てアドを取る方が良いんだったなぁ……。
ちょっと後悔していると2人からの返事がきた。
●陽向:とれた。これで登録よろ、xx***△□@--.CO.jp
●涼:オレはこれね △△□□〇〇@--.CO.jp
●和泉:アイサ-、なんかこれもすぐ返信きそうだねw
バイトへ申し込む旨と全員のメールアドレスを記入して再度メールを送る。すると先ほど以上の速さでメールが返ってくる。
~宇江原様、登録誠にありがとうございます。~
~さっそくですが、下記URLより私共のHPへ行き詳細の登録願います~
~お友達のメールアドレスにも同様のURLを送付させていただいておりますのでご安心下さい。~
~URL:http://www.・・・
なんか今更ながらヤバイのに引っかかったかな……とりあえず登録してみますか
僕はそう考えながらもURLをクリックした。
パソコンの画面が今まで開いていたメールソフトから切り替わり、登録用のHPが表示される。シンプルな作りをしているHPで見るからに事務用と言った感じのHPだった。
~あなたの氏名を記入し「次へ」を押して下さい。~
宇江原 和泉
~あなたの氏名のフリガナを記入し「次へ」を押してください
ウ・エ・ハ・ラ イ・ズ・ミ
改めて自分の名前を見ると名付けてくれた親には悪いのだが、女の子みたいな名前だからあんまり好きになれない自分がいる。
~年齢を入力して「次へ」を押して下さい~
20歳
あ~夏休みといえばもうすぐ誕生日だなぁ。夏休み中の誕生日だから友達にお祝いしてもらった記憶がないけどw
~あなたの性別を選択し「次へ」を押して下さい。~
男
なんか意外と簡単な内容だな。
~ありがとうございます。次にあなたの身体的特徴を記入して下さい。~
~入力されたデータは今後の仕様に反映させて頂きます。~
今後の仕様に反映って……何に反映されるんだろ? やっぱりゲームのテスターか何かだったのかな?
~あなたは性別を選択出来るならどちらを選びますか?性別を選択し「次へ」を押して下さい。~
何かいきなりな質問が出てきたぞ。
実を言うと僕はゲーム関係のキャラで「男」を選択したことがない。オンライゲームでは女のキャラを使い「ネカマ」を演じてきたし、みんなでやっているゲームもキャラは女キャラだ。
別に「男のキャラが嫌だ」とか「実は女の子に生まれたかった」なんて考えはない。「どうせゲームだ、リアルじゃできないことをやってみようぜ」ってな感じでやってきた。
少し悩んだが『どっちを選びたいか?』と言う事なので今回もいつもと同様に女でやってみようと思い女を選択する事にした。
~あなたの選択した性別を教えて下さい。~
女
~あなたの身長を入力して下さい。~
身長か……選択式ではなく入力式なんだ。ゲームに使うのだから「高・中・低」ではダメだったのかな? まぁいいや、僕が今175cmだから女では高すぎるし……。
ここでふと思い付く。
『小さな女の子が大きい武器を持ってモンスター相手に無双……』
これは今やっているゲームのキャラを作る時に思い立った事なのだが、今回もこれでいってみようかな? それも思いっ切り小さくして。
~あなたの身長を入力して下さい。~
140cm
その他にも「体重」「髪の毛」「瞳」などなど数種類の項目を記入していく。
なんかオンライゲームのキャラ作りみたい。しかし体重なんて必要なのかな?
各種問い合わせに答えていくと最後にこんな文が出てきた。
~以上でデータの入力は終了です。一度登録してしまうと変更ができません。この内容で登録してよろしいでしょうか?よろしければ「OK」を押して下さい~
特に問題はないかな?
入力したデータからのモデルが表示されていたがなかなかの上出来だった。
OK
~ありがとうございます。それでは最後にあなたが使用する武器を2つお選び下さい~
武器って……おいおい物騒だな~でもゲームならそれもありなのかな?
武器の種類は、
・近接系:片手剣・大剣・ハンマー・ランス
・遠距離系:ボーガン・弓
か、まんま僕たちが遊んでいるゲームみたいだね~これはあれかな? 他のソフト会社があのゲームを真似て作りたいから現在遊んでいる人を対象にリサーチをして、さらに改良して売り出そうって魂胆かな? それにしては後釜に乗りすぎな気もするけど……。
深く考えては時間の無駄と思い、いつもゲームで使っている「ボウガン」を第一武器に「片手剣」を第二武器として選択した。
~選択ありがとうございます。以上で初期登録は終了です。それではムスペルでの冒険者生活を心より応援しております~
ムスペル? 国の名前かな?
そんなことを思いながら最後の文章を読み終わるくらいに僕の意識はホワイトアウトしていった。
読んで頂いてありがとうございます。
かなりその場のノリで書いてますので、まだまだ拙いですが
これからもがんばっていきたいと思います。
ご意見などもらえればうれしいです。




