Lastname.サプライズ計画の行方
※タイトルおよび一部演出に、有名作品のパロディ・オマージュが含まれます。独自設定のオリジナルストーリーですが、苦手な方はご注意ください。
愛:「着いたね!遠かったけど」
翔:「旅行はこんなもんだろ」
メ:「早く行こ。日が暮れちゃう」
新:「メルさん待って!」
今日は、この4人で旅行という名のWデート。連休を利用して、1泊2日の予定。こんな日が来るなんて夢にも思わなかった…。
受:「予約の村田様ですね。ごゆっくりお過ごしください」
愛:「ありがとうございます」
翔:「荷物持つよ、貸して」
愛:「重いでしょ。ごめんね」
翔:「このくらい朝飯前だぜ」
恋人になってからしばらく経つけど、雨の日の告白以降、手繋ぎデートやそっと抱きしめる程度しか進んでない。俺としてはこの旅行でもう少し進みたい。プールや温泉でハプニングを期待してるww
メ:「お兄さん、通報しますよ!」
翔:「なんでだよ。お前らの方が進んでるのに」
新:「顔に出てるからw」
愛:「他のお客さんもいるのにやめて」
翔:「へーい」
最近のウチらは少しマンネリ化している。ペースが早くてキスまで進んでるから、その先までいくと飽きそうで怖い。愛にゃんたちはゆっくりだから少し羨ましい…。
新:「メルさん?大丈夫?」
メ:「…考え事してただけ」
翔:「倦怠期か?気の毒にw」
愛:「からかうのはやめなさい。罰が当たるわ」
翔:「お返しだよ」
昨日、僕たちはケンカした。理由は呼び方について。僕はずっと『メルさん』、彼女は『牧野くん』だから、『新』って呼んでって言った。そしたら彼女は、先に『メル』って呼んだらいいよって言ったけど、『メルさん』の方がしっくりくるから呼べなかった。『じゃあ、まだ変えない』ってなって気まずくなった…。
愛:「気分転換しに来たんだから、楽しもう!」
新:「なんかごめんね…。2人きりのほうがよかったよね?」
愛:「皆で行きたかったから気にしないで」
メ:「ありがと、愛にゃん大好き」
翔:「羽伸ばそうぜw」
荷物を部屋に運び、施設内を散策する。1日では回りきれない程、娯楽が充実している。プールに温泉、映画館、カラオケ…。私がこの旅行を企画したのは、気分転換だけでなく、彼との関係を進める為。私を大切にしてくれるのは嬉しいけど、少し先の世界も見たい。わがままかな。
メ:「プールの種類すごくね?流れるやつあるよ!」
愛:「ほんとだね!写真で見たより豪華」
メ:「浮き輪借りに行こ」
翔:「サメとかあるかなw」
新:「僕は普通ので」
私たちは浮き輪やビーチボールを借りて、流れるプールで遊んだり、ウォータースライダーではしゃいだ。
新:「少し疲れたね。皆でアイスとか食べたい」
翔:「俺らで買ってくるからお姫様たちは待ってて」
メ:「愛されてるね〜」
愛:「相変わらずチャラいのよw」
休憩後、水着のまま入れる温泉に行くことにした。そこでちょっとした事件が起きた…。
翔:「ワイン風呂だって!再現度高くね?」
新:「入浴剤の色もそれっぽい」
メ:「セレブだねww」
翔:「入って写真撮ろーぜ」
愛:「映えそう」
翔:「もっとくっつかないと画面に入らない」
メ:「…これでどう?」
新:「あっ…」
愛:「メルちゃん、紐ほどけてる!」
メ:「愛にゃん直して!!」
翔:「新、鼻血出てるぞw」
僕は見てしまった。メルさんのポロリ姿を…と言っても少しだし、すぐ顔をそらしたけど、刺激かお湯にのぼせたのか鼻血が出てしまった。
新:「お見苦しい所を見せてごめん」
翔:「気にすんな。それより血は止まったか?」
新:「うん。でも、少しお湯に溶けたかもしれない」
翔:「だとしても、ワインレッド色だからなw」
メ:「カメラに入るのに移動したら緩んじゃった…」
愛:「きつくない?またならないようにしたけど」
メ:「大丈夫!ありがと」
俺たちは気を取り直して写真を撮った。皆にとってある意味忘れられない思い出になったと思う。
愛:「ビュッフェスタイルはいいよね」
翔:「全種類制覇してやるぜ!」
メ:「『残して罰金』に賭けまーすww」
新:「同じく賭けまーすww」
翔:「愛は俺を裏切らないよな?」
愛:「無理しないで食べるのが美味しいの」
翔:「へーい…」
こういう所で個性が出て面白い。好きなものを好きなだけ食べるの考えた人天才じゃん?全てを考えてここにした愛にゃん分かってるね!
新:「たくさん食べたね。動けないや」
メ:「部屋で休も」
翔:「俺らは散策しようぜ!」
愛:「いいよ」
2手に別れた俺たちは、ゲーセンを見つけた。最新機種が揃ってて昔のなんか無かったけど、ふと小さい頃を思い出した。
翔:「お父さん、何やってるの?」
父:「お前もやるか?中々シブくてな…」
母:「交代したら当たるかもよ!」
翔:「やる!!」
両親が健康ランド好きでよく連れて行ってくれた。そこにあったゲーセンには、一大ブームを起こした某韓国ドラマのパチンコがあって、それが衝撃だった。
翔:「ねぇ、なんで会えないの?」
父:「設定が厳しくて、めったに会えないんだ」
母:「悲しくなるよね…」
リーチになると女性が恋人に会えるかどうかの画面になって、当たれば彼に会える。はずれると会えない。もし、ゲームのキャラに意思があって、ひたすら会えない場面を繰り返し経験してたらと思うと、子供ながらになんて残酷な世界なんだろうと感じていた。
愛:「…翔太郎くん!?どうして泣いてるの?」
翔:「昔あったなって。健康ランドに残酷なパチンコ台が」
愛:「!?」
翔:「愛の顔見たら、そんな世界じゃなくてよかったって改めて思った」
愛:「話が見えないけど、とりあえず涙を拭いてあげる」
そう言って彼女は俺を慰めてくれた。初めて向こうから抱きしめてきた事に驚きつつ、優しく抱きしめ返す。現実では、良くも悪くも全く同じ場面には戻れない。だからこそ、失敗しないように彼女を大切にしよう。部屋に戻ったら泣いてたのばれるけど、それ以上に少し進展したのが嬉しかった…。
新:「メルさん、話があるんだけど」
メ:「なあに?」
新:「昨日の事だけど、やっぱり『新』って呼んでほしい。だめかな?」
メ:「それさあ、先に『メル』って呼ぶならいいよって言ったよね?」
新:「じゃあ、『メルちゃん』だったら?少しずつ砕けていく感じで」
メ:「なら、『新くん』って呼んであげる。あくまで対等がいいの」
新:「よかった!いつまでも『牧野くん』じゃ嫌だから」
メ:「恋人なのに呼び方硬かったかも」
新:「メルちゃん、触れてもいい?」
メ:「新くんにならいいよ♡」
翔:「ただいま」
愛:「まさか、お取り込み中!?」
メ:「2人の事忘れてた」
新:「見なかった事にしてください…」
ウチらの呼び方の件は進展したけど、キス以上はまだお預けでした。とにかく、2人が戻って来たのでカラオケ行きまーす!
メ:「夜はこれから、歌うぜeverybody!」
翔:「どんどん入れてけ、切らすなsongs!」
愛:「なんかラップみたいね」
新:「特に韻は踏んでないけどw」
最新曲からシブいものまで各々が歌いたいものを流す。笑いあり涙ありのカラオケ大会は深夜まで続いた…。
翔:「歌いすぎてのど死んだ…」
愛:「のど飴なめる?」
メ:「ウチも欲しい!」
新:「笑い過ぎて疲れたね」
愛:「今日はもう遅いし、寝よう。起きられなくなる」
明日、彼に本名を話そう。近々お母さんに彼を紹介したいから。認めてくれるか分からないけど。
新:「皆起きて!チェックアウトぎりぎり…」
メ:「眠い」
愛:「ヤバッ!私とした事が」
翔:「愛でも寝坊とかあるんだな」
なんとか起きた俺たちは、急いで部屋を出た。どうやら時間には間に合ったみたい。それより、彼女の様子が変だ。
翔:「そわそわしてない?忘れ物したのか?」
愛:「違う…。こ、今度お母さんに翔太郎くんを紹介しようと思うの。でね、本名を教えたくて」
翔:「いいの?嬉しい!じゃあ俺も言うよ」
愛:「私の」
翔:「俺の」
本名はね-。
愛:「仮名と全然違うんだね。本名もかっこいいね」
翔:「照れるぜ」
愛:「そう言うと思った」
翔:「君の本名だと、またいじめられる可能性はあるな。でも、俺はどっちも受け入れたい」
愛:「ありがとう」
彼の言葉で本名を少しだけ好きになれたけど、今はまだ『仮の名』のままで-。
完
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