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無能と追放されたはぐれテイマー、実は【古のテイム】の継承者でした ~ブラックギルドを捨てて美味しい手料理を振る舞ったら、伝説の神獣たちが懐きすぎて世界最強のギルドができました~  作者: たくみ
第四章 レア食材探求〜腹が減っては厄災は防げない〜

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第66話:消滅する国家と、黒龍完全復活計画

 その日、世界は初めて『それ』を目撃した。

 王都から遠く離れた西方の大陸。豊かな緑と豊富な魔力資源に恵まれ、難攻不落と謳われた城塞国家『ガレリア』。

 その巨大な国が、たった一夜にして地図から「消滅」したのだ。


 生き残った者の証言によれば、突如として空に巨大な亀裂が走り、そこから星の空を覆いつくすほどの巨大な『あぎと』が現れたという。

 古竜たちを創り出したとされる神話の存在であり、星の魔力と生命そのものを喰らい尽くす原初の暴食。


 『それ』が息を吸い込んだ瞬間、ガレリアの豊かな大地は瞬く間に干からび、極上の農作物は灰となり、堅牢な城壁も人々も、あらゆる魔素を吸い尽くされて砂のように崩れ去った。


 国の上層部がひた隠しにし、震え上がっていた厄災の正体。

 それは、世界から大地の恵みを根こそぎ奪い去る、最悪の捕食者だった。



 そんな絶望的なニュースが世界を駆け巡るまでには、まだ少しの時間を要する。


 一方その頃、迷宮都市にある俺たちのギルドハウス。

 世界の危機など露知らず、俺たち『白竜の翼』の朝は、ベーコンの焼ける香ばしい匂いと共に平和に幕を開けていた。


「よし、カリカリベーコンと、黄金バターキノコのオムレツの完成だ。みんな、朝飯にするぞー」


「ニャァ!」

『待ってたニャ! アタシはベーコン多めでお願いするニャ!』


「ブルルル!」

『ぼ、僕も僕もーーー!!』


 俺の掛け声と共に、ノワールとシリウスが尻尾を振りながらダイニングに駆け込んでくる。ソファからはハクビが「コォン(朝からいい匂いじゃん)」と優雅に伸びをしながら降りてきた。


「見事な手際だな、エルヴァン! これぞ真のテイマーが為せる業……俺も早くその境地に達したいものだ!」


 スオウが感動の涙を流しながら大仰に頷いている。こいつ、料理の腕とテイム能力を完全に混同してないか?

 俺は苦笑しながら、腰の龍玉をテーブルの上に置いた。パカッとハッチが開き、中から寝癖のついたファルが目を擦りながら這い出してくる。


『ふぁ〜あ……。エルー、おはよー。ファル、おなかすいたー』

「おはよう、ファル。ほら、冷めないうちに食えよ」


 俺はファルの前に、特別製の『特大オムレツ・ドワーフ牛の挽肉入り』を置いてやった。ファルは『わーい!』と短い腕を挙げてかぶりつく。


 平和だ。平和すぎる。

 だが、昨晩のユリウスの言葉が、俺の頭の片隅に引っかかっていた。


『世界の魔力のバランスが、劇的に崩れ始めています。……恐らく、近く何か起きますよ』


 国の上層部が隠蔽しているという、得体の知れない厄災。それがいつ、どこで起きるのかは分からない。もしかしたら、俺たちのすぐ足元まで迫っているのかもしれないのだ。


「……何が起きるにせよ、戦力を高めておくに越したことはないよな」


 俺は呟きながら、もう一つの龍玉――『黒龍玉』を取り出し、テーブルの端に置いた。

 トントン、と指で叩くと、黒い霧が噴き出し、ミニチュアサイズ……といっても大型犬ほどの大きさの黒龍ゼノスが姿を現した。


『……む。人間のテイマーよ、朝から我を呼び出すとは何事だ。我は今、外に出るだけで著しく体力を消耗するのだぞ。あと三分で戻るからな』


「分かってるよ。お前のその『数分しか外に出られない』っていう超絶燃費の悪い不完全状態。これ、どうやったら治るんだ?」


 俺の問いに、ゼノスは黄金の瞳を瞬かせた。


『……本来ならば、大気中の魔力を数百年かけて集めねばならん。だが……もし、純度が高く濃密な魔力を宿した「幻の霊薬」や「神代の食材」があれば話は別だ。

 例えば、大地の脈から直接湧き出る『星の雫』や、千年に一度しか実をつけない『世界樹の果実』などをそのまま吸収できれば、肉体の再構築は劇的に早まるだろう』


 なるほど。要するに、超高カロリーで魔力たっぷりのレアアイテムを取り込めばいいわけだ。


「よし、分かった。それを見つけてきて、俺が極上のフルコースにして食わせれば、完全復活できるんだな?」


『……は? フルコース? いや、そのまま吸収すればいいだけであって、わざわざ調理など――』


『くろいトカゲ、なんにもわかってない! エルーのごはんは、そのまま食べるより、もっともっとちからが湧くんだよ!』


 オムレツで口の周りを汚したファルが、ビシッと短い指をゼノスに突きつけた。

 ハクビやノワールも「そうそう」とばかりに頷いている。


『う、むぅ……白竜にそこまで言われると……』


「決まりだな。ゼノスの完全復活のために、その『星の雫』やら『世界樹の果実』やらを探しに行こう。

 どんなヤバい厄災が来るか分からない以上、うちのギルドの戦力は少しでも多い方がいいからな」


 国が怯える厄災の正体を知る由もない俺たちは、来るべき危機に備えるため、そして純粋な探求心から、新たな伝説の食材を求める旅に出ることを決めたのだった。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆


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