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安息の眠りへ

 皆様こんにちはこんばんは、遊月奈喩多と申すものでございます! 今年もこの季節がやってまいりましたね。私にしては珍しくオーソドックスに童話っぽい童話を書けたのではないかなと思っております。


 前置きが長くなりましたが、本編をお楽しみください!

 これは、まだ魔法が人々にとって身近だった頃のお話。


 ある王国で、姫君が生まれました。

 長らく子どもの生まれなかった国にとって、姫君の誕生は大変な慶事です。王様も大層喜び、すぐさま国中の賢者たちを呼び寄せて娘の誕生を盛大に祝いました。ところがこのとき、賢者をもてなすための特別なお皿がひとつ足りないことに気付きました。困った王様に、お妃様が言いました。


「それなら、辺境の森に住む賢者は招かずにおきましょう。あの者はいつもひとりで、何を考えているかわかったものではありません」

 その言葉に、王様は大いに納得しました。

 というのも辺境の森は王国にとって夜が最初に訪れる場所で、いつでも闇が立ち込めているような場所なのです。人々に病や悲しみをもたらすような、目に見えない魔物たちもそちらからやって来ると言われていて、そんな場所に住む賢者はきっと夜の闇のように底知れず、見通すことのできないものであると昔から言われていました。

 だから、お妃様の言葉を王様は聞き入れて、辺境の賢者を除いた賢者を城へ招いて宴を催すにしたのでした。


 招かれた賢者たちは口々に王様やお妃様に祝いの言葉を述べて、おくるみに包まれた姫君に祝福を授けていきました。


 並ぶもののない美しさを。

 世の全てを見通す知恵を。

 けして穢されない名誉を。

 尽きることのない幸運を。

 持てるものに驕らぬ心を。


 そうして11人の賢者が思い思いの祝福を姫君に与えて、最後の12人目が慈しみの目で姫君を見つめていたときのこと。広間の扉が静かに開き、招かれなかった辺境の賢者がやって来たのです。賢者は宴席に目を向けて、「おや」と近付いてきたかと思うと、姫君を見るや顔色を変えて言いました。


「なんということか。この姫君は……」

 そこまで言ったところで口を噤んでお妃様へといぶかるような目を向けた後、また姫君を一瞥して「きっとこの姫君は長くは生きられますまい。きっと15年の(のち)、命を落としてしまうことでしょう」と口にして去っていきました。

 なんとも恐ろしい賢者の言葉に、宴席はざわめきました。

 きっと招かれなかった賢者の呪いに違いない──そう思いながらも、ほとんどの賢者が既に祝福を授けてしまった後です。招かれざる賢者の残した呪いを打ち消すことなどできはしないと誰もが顔を曇らせたとき、まだ祝福を授けていなかった賢者が口を開きました。


「私が、この姫君にかけられた呪いを打ち消しましょう」

 そう言ってお妃様に向けて微笑みかけてから、賢者は静かに言いました。


「姫様が死ぬことはありません。15年の後、100年の眠りに就くのです。何物にも妨げられない眠りの果てに、姫様は目覚めて、生き続けるのです」

 こうして、姫君にかけられた死の呪いは解かれました。

 宴は再開され、姫君の将来が明るいものとなることを祈りながら幕を閉じました。


 そして15年後、姫君は賢者たちが祝福した通りの徳を抱えたまま、100年の眠りについたのでした。

 前書きに引き続き、遊月です。皆様今回もお付き合いありがとうございます! お楽しみいただけましたら幸いです♪


 今年もいよいよあと半月ほどですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私は抱えていた大きな荷物を最近ようやく下ろせたような心地で過ごしております(といっても家の片付け等もあるわけですが)。気兼ねせずに過ごせる自宅っていいものだなと改めて思っているところなのです。


 閑話休題。

 まるで前日譚のような書き方をしているわりに、今のところはある童話そっくりの内容になってしまっていますね……いえいえもちろん、お話はこれからなのです。

 次回をお待ちいただけましたら幸いです。


 またお会いしましょう!

 ではではっ!!

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