第9話 木登り
「ちょ、ちょっと待って??なんで2人とも石に?」
このヘビ、チヌがケモミミの体?になった時、
目の前にいたニルとキュラがなぜか石になっていた。
「ワタシの能力だね。」
「え?!待って、ん?なんで能力のこと知ってるの?」
「あなた、本読んだでしょ?あの本、ワタシの元主人のモノよ。」
「えぇぇぇ…?!ってどうやって石から
戻すの?!」
「水かけるだけでイイ。」
「水…いや川遠いな…」
イヤイヤ言いながらもちゃんと全力疾走で
水を汲みに行きました。
ちなみにキュラが石でバケツ作ってたから
それ使いました。
…いや物理能力有能やな…
*
「全部聞いてたよ。」
「まさかお前の元主人のものだったなんてな…」
あの後、上から水をドカーンとかけたら
石のコーティング?みたいなのが剥がれていって
元に戻った。
というか石化してても耳は聞こえるんだね。
「そういえば、チヌの能力って…」
「ワタシの能力は岩の能力。」
チヌの瞳の色を見てみると、灰色っぽいけど、
キュラの瞳の色とは違って、気持ちザラザラ
している。…何でいえばいいんだろう。
「そして謎にヘビということもあって、
見たものを石化させてしまう能力になった。」
「いや不憫すぎでしょ。」
そういえば、チヌの見た目はかなりあいつだ。
大昔の神話とかに出てきそうな神殿にいる
髪の毛がヘビのあいつだ。そのまんまだ。
服は少し汚れた白いドレスっぽいのを着ている。
「ワタシの主人は元々この場所に住んでいて、
この大きな木の上で生活していました。」
「「「え!?この上!?」」」
私たちが今いる真隣に大きな木がある。
(私たちの家がある場所)
大体高さは40mぐらいだろうか、
しかしこの上に住む…?そんなこと可能なの?
「ワタシの主人の仲間は大体飛べる動物が
ほとんどでした。」
「そっか、仲間にする動物によっても住む場所を変えたりもできるんだな。」
飛べる仲間が多ければ、より外敵に襲われにくい場所に住めたりもする。それはわかったのだが…
「その元主人はどうやって木の上に登っていたの?」
「…力ですね…」
「「「え?」」」
「ワタシの主人も、キュラさんと同じく物理能力だったんです。なのでその能力を駆使して、
この木の側面を地面のように走ったりして
笑いながら登ってた記憶があります。」
…いやチヌの元主人こわぁ…
笑いながら木の側面を走ってる…?
なんて狂人なんだ…
「そういえば思い出したのですが、
この木の上にまだ物資がありますよ。
…のぼります?」
「…おいなんで3人とも俺の方を見るんだよ?」
*
「俺ほんとに高いところ無理だってぇ…!!!」
今現在、キュラを木の上調査団として派遣し、
(強制的に)
木の上に「自分から」登っている。
決して晩飯を人質にして脅したりとかは
していないぞ。断じてな。
「大丈夫だって!何かあったら私が
丁寧にお墓を作ってあげるから!!」
「もうそれ殺す気だろ…!!!」
そしてそれから2時間後。
ついにやっとキュラは40mの木を登り切った。
「やったぞぉぉぉぉーーーー!!!!!」
いや叫びすぎ、ライオンキングみたいになってる。
…そういえばキュラ虎だから完全なるライオンキングじゃん…!
「上には何があるー?」
「…っ?!」
なにやらキュラの顔色が変わった。
あれはちょっとヤバい方の顔色だな…
「…なにもない。
死体以外はな…」