始まりから終わりに
それからしばらくしてやってきた学園の卒業式。
俺は、桜蓮学園を卒業することになった。
正直授業単位が足りないと思っていたがそうでもなかった。
「アーサー、卒業おめでとう!!」
「お前もな」
「いやぁーアーサーが最後までいるとは思わなかったよ」
「あぁ俺もだ。実際、退学届けを出したこともあったしな」
「けど、卒業してよかっただろ?」
「さぁな。これは結果でしかない」
「まぁたまたそう言う事を言う。つか、これからどうするの?」
「会社に勤めるもよし、大学に行くもよしって感じだな」
「曖昧だなぁ。まぁそれもいいかもな」
「剛!! 卒業おめでとぉぉ~~!!」
「あれ? 朝美ちゃんじゃん!! どうしたの? 朝美ちゃんも今日卒業式でしょ?」
「ん~~まぁそうなんだけど、こっちに来ちゃった♪」
「アーーーサーーー!! こぉぉの幸せ者めぇぇ!!!!」
「やめろって!!」
あの出来事から、俺は変わった。
死人だった心は徐々に取り戻し、人との会話が普通に出来る様になっていた。
それと変わったことが他にもある。
俺の名前が〝剛〟に変わったと言う事だ。
それを知る人間は少ないが、ここにいる立花と朝美はそれを知っている。
ちなみにここにいる少女、朝美だが結局自分の世界に帰らなかった。
と言うか帰れなかった。
片道切符、そう言う事だ。
事が終われば元の世界に帰れた俺とは結果が違ったようだ。
しばらくはどうすればいいか互いに悩んだのだが、しばらく俺の家で生活しているうちに朝美の存在が社長―――朝山誠一郎にバレた。
そして家を持たぬ少女、戸籍を持たぬ少女として誠一郎に紹介すると、「なんとかしよう」と返してきた数日後、常盤朝美として生きる事になった。
戸籍上、俺の妹。血の繋がっていない、同年代の兄妹となった。
どういった方法で戸籍を手に入れたかはわからない。
だがあの人のことだ。
金でどうこうしたのは明白の事実。
そして常盤家にいる性別の違う二人の〝朝美〟。
ややこしいことこの上ないので俺は名前を変えることにした。
それが、親父の名前である〝剛〟だ。
立花は未だに俺の事をアーサーと呼ぶが……。
「アーサー、今日社長さんが呼んでたよな?」
「あぁ、俺とお前、そして朝美、全員で会社に来いとか言ってたような?」
「〝パパ〟の事だし、何かあるんじゃない!?」
朝美の事は立花に施設で育った子だと説明し、俺の妹になったと的確に説明した。
初めこそ大ブーイングだったが、元々人柄は悪くないヤツだ。
すぐに朝美の存在を認めてくれた。
「ねぇ剛、パパのところ、行く?」
「そうだな。実はその辺に車を隠してある。乗っていくか」
「あのボロベンツね!!」
「ボロ言うなゴラァ!!」
「事実じゃん!! ほらっ早く行こうっ」
俺の手を引っ張りながら先を急ぐ朝美。
俺の車の場所知っているのか?
「おぉい!! 俺は!?」
置いていかれまいと着いて来る立花。
「なぁ朝美?」
「なに?」
「いいのか、自分の世界に帰らなくて?」
「うん、いいよ。帰りたくないし帰れない。それに」
「それに?」
「剛が心配だっ!!」
「有難きお言葉で……」
二つの世界を比べて。
俺たちは互いを知りあった。
とてもくだらなくて、ありえない経験をして知り合った。
SFの世界での話しだ。
別の世界に行って別の自分に会う。
それがどんなにありえない話だろうか。
だけど、そんな事はどうでもいい。
俺たちは新しい世界で生きる事を決めた。
互いに死を向かい入れようとした仲だ。
だったら共に生きるのも、また一つの世界。
平行世界がどうとか、わからない。
結局、朝美の世界の平行世界は無くなったのではないだろうか。
それと同時に朝美から見る俺側の平行世界もなくなったのではないだろうか。
二つを比べたからこそ、新しい世界が生まれた。
これが結果である。
「ねぇ剛」
「ん?」
「これからも、一緒に頑張ろうね」
「あぁ」
END
製作を開始して3ヶ月。
更新スピードがぐだぐたになりながらもどうにか完結まで持っていくことが出来ました。
一話から通して読んでくださった読者様には本当に感謝いたします。
そして、これからもよろしくお願いします。
何か、感想、質問等ありましたら何でも書き込んでください。
もう一度、この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。




