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11話

夜間であったが、直ぐに登城して直に報告を求められ、ギルドマスターも、役職上同席することとなった。

王城の個室に通されて、事のあらましを報告。

ギルドマスターは、

「魔法ですと?」とお決まりの疑問を浮かべたので、再度の実演

「ひゃぁ」と

頭や眉をそって、口角から頬に傷を持つ、強面の筋肉の塊と言った風貌からは想像できない、かん高い悲鳴を上げて驚いていた。


陛下は、

「時期尚早であると判断し、其方には黙っていた、許せ」

ギルドマスターに詫びていたが、口角が上がっていたのを俺は見てしまった。

そして、王城に報告されていた虎であろうと判断され、番いなどは居ないだろうと言うことで、その日はこれにて解散となった。


またしても陛下は退席する際、悪戯好きそうな笑みを浮かべ、

「5歳ではちと早いが、勲章を与えねばなるまいなぁ~」

と、天井を見上げながら不穏なことを言い、俺に向き直り満面の笑みを浮かべ、

「のう、虎殺しの小さな英雄殿よ」

そう話し、高笑いを上げて退席していった。


うそでしょ?

あの王様、魔法に関して箝口令を敷くなんて言いながら、隠す気さらさらないじゃん。

えぇ?


呆然としている俺の肩を、先生は優しく叩き帰宅を促す。

帰路についても、未だ茫然としている俺を、連絡を受けて迎えに来た父上に預け、自分はカチヤを送り届ける事にしたようだ。


その日は何も聞かず、ベッドに送り届けた父上も、翌日になり、興味津々で母様と一緒に、息子の武勇伝を聞くつもりだったのだろう。

経緯を説明している時は、両親も目を輝かせ聞いていたが、武勲を称える勲章を与えると言う話になると、顔が青くなり狼狽えていた。


「流石に勲章はないですよね?」

と、確認してみるが、虎の単独討伐は過去幾度かあり、その度に勲章が授与されているそうだ・・・・・・。

まして、現国王はこういった武勇伝は大好物で、絶対逃れられないといい含められた。


いやぁ、そんなまさか・・・・・・ないない!

ないよな?

・・・・・・ここにある授賞式の案内も、陛下の冗談だよ!

そう冗談だ!

冗談だよな?

・・・・・・冗談であってくれ・・・・・・。


案内の日付になると、王家の紋章が掲げられた馬車が、自宅に付けられていた。

もう、そこからの記憶はない。

なんか、人の多いところに連れでされ、指示通りの動きをして、最後に揉みくちゃにされた断片的な記憶が、残るのみである。

数か月後、隣国で吟遊詩人たちによって、小さな弓使いが虎を狩る歌が、流行ったことは俺とは無関係であってほしい。

そう、願わずにはいられなかった。


幸いなことに、魔法も身体強化のみしか語られず、魔法は弓矢に変換され、人々に伝えられたので、魔法自体は変わらず秘匿状態を保つことが出来ている。


不幸なことは、王都の広場での受勲であったため、王都民に広く顔が知れ渡り、父上の命で、街での自由行動(7歳から許可が出るはずだったのに)が、当分お預けになったことぐらいだろうか・・・・・・。

・・・・・・まぁ、訓練と魔法開発、でほとんど引きこもりですけどね・・・・・・。


そう、訓練と言えば、あんなことがあったのに森での討伐訓練が増えていた。

カチヤは、あれ以来先生の忠告をよく聞くようになったし、俺は実践の中で魔法の実験を行えるようなった。


カチヤも先生も、ギルドマスターまでもが、魔法のことを知ることになり、成人後はカチヤとパーティーを組むことが決められている。

そのため、魔法を交えての連携などを試すことにしている。


虎との戦闘の時にできた連射型の火球は、何故かうまくいかないことが多い。火事場の馬鹿力と言う奴だったんだろうか?

上手くいっても2発しか出ないし、時差を付けて撃ちだすことにはあれ以来成功していない。


ただ単発であれ、前衛がいてくれることで、魔力の充填は容易に行えるし、相手の牽制・誘導には効果的であった。


順調に思える訓練だが、問題が一つ。

カチヤが、前にもまして目を合わせてくれない。

魔法を黙っていたことを怒っているのだろうか?

交友関係が極端に無い俺には唯一の同年代の友達なんだけど

・・・・・・寂しいなぁ・・・・・・。


思い切ってどう思っているのか聞いてみるか?

いや、謝罪から入ったほうが好印象だろうか?

子供の時の友達との仲直りって、どうしてたっけ?

・・・・・・前世に友達って居たよな?

いや、いないわけ・・・・・・? いや?

んー?


考えていても分からないことってあるよね?

もう、率直に聞いてしまおう!

これからもパーティーメンバーとして長くやっていくわけだし、放置してたら聞きずらくなってしまうことあるよね?


よし!

「カチヤ? 今いい?」

森での探索の休憩中思い切って声を掛ける。

視界の端に映る先生がニヤついているのが見えるが、それよりもカチヤだ。

「なに」

短く返された、こっち向いてくれないし。

「あのさ、・・・・・・最近顔見て話してくれないよね?」

「見てる」

「でも、今もこっち向いてないよね? 俺なんかしたかな? 出来れば仲良くやって行きたいんだ。ほら、これからも(冒険者として)一緒に生活していくんだしさ」

顔を赤くしてこちらを向くカチヤ。


やっと向いてくれた、よかった・・・・・・。

思わず笑顔になってしまう。

感情が表情にでないカチヤでも、あんなに露骨に避けられたら

やっぱり悲しい、だって唯一の友達なんだもん。

あ、ヤベッそんな事考えてたら、涙目になってきちゃった。


「私なんかでいいの?」

何を言いだすかと思ったら・・・・・・友達に良いも悪いもないよ!

寧ろ

「カチヤがいいよ!!」

頼りになるし可愛いし、長いこと訓練で一緒に行動してるんだもん。

今更友達じゃないなんて、悲しいじゃないか!


「カチヤ、魔法のこと黙っててごめん。多分これからも似たようなことあるかもしれないけど・・・・・・。俺を信じて! 必ずカチヤには本当のことを、話せるようにするから」

技術の開発は、色々秘匿しないといけないこともあるかもしれない。

けど、パーティーの仲間には出来るだけ情報を伝えていかないとな。

お互い命を預けることになるんだから。


「分かった・・・・・・」

俯けてしまったカチヤの顔に、短く切りそろえた金髪の髪が掛かってしまい表情を読み取ることがさらに難しくなる。

でも、雰囲気は柔らかくなった気がした。


先生は遠くで、笑っているような驚いているような微妙な表情をしている。

まぁ、2人しかいない生徒の仲が悪いなんて居た堪れないし、仲直りしたことを喜んでいるんだろう。


そこからの道中は、少しだけ連携が今までよりかみ合ってきたそんな気がした。


短い行軍が終了し、王都の門が見えてくると、数人の大人が待ち構えていた。

ギルドマスターや王宮で働いてるって紹介された人、俺とカチヤの両親までいる。

何事かと思ったら、

「この前の虎の件で、正式な報酬額の算定が済みましたのでご報告に来ました」

王宮勤めの人は、先生・両親たちにそう告げる。

財務関係の人なのかな?

そう思うが、今は子供の身なりだ、余計な口は挟まない方がいいな。


冒険者ギルドの一室に案内された、一同の前に金額が提示される

「先ず、探索・討伐に使用される予算が、大きく削ることが出来ましたこと、上司に変りお礼申し上げます」

一礼し、

「それでは今回支払われる金額ですが・・・・・・、討伐依頼をギルドに依頼した際の正規の金額である、金貨300枚。また、探索依頼使用されるはずであった金貨60枚」

父上の月の禄が金貨20枚、一般人が王都で生活するのに月平均金貨2枚程度、それを考えると莫大な報奨金だ。

「それに加え、受勲の祝い金として、ヴェルマー家に金貨50枚が進呈されます」

貰いすぎじゃないですかね?

報奨金は3組で割っても120枚・・・・・・一財産だな。


 ギルドマスターが立ち上がり

「ギルドからは、素材代として金貨200枚が支払われる」

頭が残っていれば500枚は行ったんだがな。なんて軽く言われた・・・・・・。

カチヤの家、リーベルト家は少し話し合いを行い

「当家は辞退させて頂きたいのですが」

と、カチヤ自身は戦闘行為を行っていないことを理由に、辞退を申し出る。

表向きはそうしたいようだ。

裏では、他家からのやっかみを回避したいらしい・・・・・・聞こえてますよー!


 ヴェルマー家も話し合いを行う。

「何とか祝い金だけにできないものか・・・・・・」

父上も、貴族社会からのやっかみを避けたいようだ。

「もったいないですが、周囲のことを考えますと、その方が宜しいかもしれませんね」

母様も同意見だ。

無理だとは思うが、

「教会に寄付してしまう手はどうですか?」

将来を考えると俺も、もう目立ちたくないし。

「アドルフ、教会と親密すぎるのもやっかみの種になる。気を付けなければ」


 そんな事を話していると、ダグラス先生は

「自分も戦闘に参加していませんし、虎を運んできただけなので運搬料だけで十分です」

妥当な意見に逃げていた。


 早い話が、みんな周囲の目が怖いのだ。

誰も受け取ろうとしないため沈黙が訪れる。

すると、ギルドマスターが提案してくる。

「では、アドルフくんとカチヤ嬢が成人するまで、ギルドの預かりということにしますかな」

財務関係の人も

「そうですな、祝い金はヴェルマー家に早急に届けるとして、虎殺し殿とそのお仲間個人に支払うと言うことで」


 こうして、俺とカチヤは子供にして財産を手に入れた。

幼少期の大事件は、こうして幕を閉じることになる。


 余談として、何故かリーベルト家・ヴェルマー家で婚約の儀が行われた。

俺とカチヤは、何でか婚約者になったらしい。

・・・・・・なぜ?

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