表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『裏切りの魔法少女、魔王軍で真の救世主となる』  作者: たい丸
【第5部:最終決戦・新世界の夜明け】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/90

第90話:黒衣の救世主

平和特区『ベルンシュタイン・サンクチュアリ』の最上階。新世界の最高指導者の部屋の鏡の前で、私は新しい衣装の袖に腕を通していた。

かつての禍々しい魔法少女衣装でも、旅を続けた魔女の外套でもない。それは、魔王ゼノスから世界の法を託された証――深く厳かな漆黒に、金の刺繍が施された魔王軍の軍服だった。

かつて前世で、私は白金の衣装を纏い、人々の歓声を浴びながら「正義の味方」として戦っていた。しかし、その光の裏で裏切られ、孤独の奈落へと突き落とされた。今の私は、人間たちから見れば恐怖の象徴である「黒衣の支配者」かもしれない。

だが、軍服の襟を正し、鏡に映る自分の瞳を見たとき、そこには冷徹な魔女の影はなかった。

「……ふふ、案外、悪くないわね」

その瞳に宿っていたのは、前世のあの頃に抱いていた、純粋に「誰もが傷つかない世界を創りたい」と願った、本当の正義の味方としての優しく、澄んだ光だった。形は変わってしまったけれど、私はようやく、あの頃の自分を肯定し、本当の意味で世界を救うことができたのだ。

「お姉様! 準備はよろしくて? 皆がお待ちかねですわ!」

扉が勢いよく開くと、豪奢なドレスに身を包んだリリスが嬉しそうに顔を出した。その後ろからは、いつものように呆れた顔をしたルナリエが続く。

「こら、リリス。アリシア様のお部屋に勝手に入るなど不敬ですよ……。ですがアリシア殿、その軍服、息を呑むほどにお似合いです」

「ありがとう、二人とも。さあ、行きましょうか」

私が微笑みながら部屋を出て、サンクチュアリの中央広場へと向かうと、そこには溢れんばかりの笑顔が広がっていた。

広場では、人間も、亜人も、魔族も、種族の垣根を越えて一つの大きなテーブルを囲み、新時代の到来を祝う宴を開いていた。そこには、これまで私をどんな時も信じ、支え続けてくれた大切な家族や仲間たちの姿があった。

「アリシア、こっちだ! お前の大好きな料理をたくさん用意しておいたぞ!」 前魔王ゼノスが、上機嫌に酒杯を掲げて笑っている。

「アリシア様、新しい世界を創ってくださり、本当にありがとうございます!」 集まった特区の民たちが、親愛と敬意に満ちた瞳で私に手を振る。

かつて裏切られ、すべてを失い、孤独に震えていた魔法少女・聖良。 血の滲むような復讐の旅路の果てに、私が手に入れたのは、力による破壊ではなく、この温かな絆に満ちた景色だった。

「ええ、今行くわ!」

私は黒い軍服をなびかせながら、大切な仲間たちが待つ輪の中へと歩み寄った。私の顔には、偽りのない、心からの幸せな笑顔が咲き誇っていた。

形を変えた黒衣の救世主は、最高の仲間たちに囲まれ、今度こそ本当の幸せを掴み取ったのだ。新世界の夜明けの光が、彼女たちの未来をどこまでも明るく照らし出していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ