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第2章の4 彼女が被っていたのは猫は猫でも化け猫でした

タイトルがちょっと長い。でもこれが今日のテーマ。

 

 翌日、勇輝は朝から喧嘩を吹っかけてきた自称この町の番長を地面に沈めてから学校へ登校した。


(ん~朝からいい運動をしたな)


 おかげで脳はすっきり、心もすっきり。


(そういや最近喧嘩ふっかけられる数が増えたな)


 しかも以前のような他区域の不良では無く、やくざの末端のチンピラにからまれるようになった。この間は刺青男に絡まれたので即刻逃げた。やくざとやりあえばろくなことにならない。

 もちろんその他の人々には眠ってもらった。

 

 可愛い容姿をしているが喧嘩はめっぽう強いのが勇輝だった。

 童顔をからかわれてはその相手を殴り飛ばし、ひ弱と侮ってカツあげしようとしてきた奴は、返り討ちに合わせて財布を川へと捨ててやる。

 そうしている内に地元の不良の間に広まった言葉があった。

 曰く。


『人を見かけで判断するな。チワワにだってかまれりゃ痛い』


 もちろん本人は知るはずもない。

 チワワと称された勇輝は屋上に上るとテントの布を引いた。明るい室内。

 勇輝はきょろきょろと人を探す。ホールには秀斗しかいなかった。


「おはよ~。今日は秀斗だけ?」


「まぁな、つぅか五人がここに同時にいることの方が珍しいって」


 勇輝は秀斗の向かいのソファーに座った。

 いつ座ってもこのソファーはふかふかだ。寝転んだらすぐに寝られそうだ。


「へ~。そういえばこの屋敷ってどれくらいの広さがあんの?」


「さぁ、詳しくは知らねぇけどけっこう広いぜ? なんなら歩くか?」


「行く行く! 探検してみたい」


 じゃぁ行くか、と秀斗が立ちあがったとたん、覇動が体を貫いた。ぴたりと動きを止める。

 覚えのある覇動。

 研ぎ澄まされ、凛とした刃のような覇動だ。

 もちろん人間である勇輝は何も感じず、不思議そうな顔で秀斗を見ていた。


(こいつは……まさか)


 秀斗は勇輝の腕を掴むと強引に扉の前に引っ張って行った。

 テントへと繋がる扉だ。

 そしてその扉を開けると勇輝を押し出す。


「悪い勇輝。探検はまた今度だ」


「は? なんで?」


「あと三日間ここにはくんな。いいな」


 突然の宣告に勇輝は戸惑う。


「え、なんで?」


「俺にもまだわかんねぇけど、ここにいたらやべぇかもしれねぇ。少し様子を見るから三日経ったら来い」


 秀斗は早口で一気に言い切ると扉を閉めた。それと同時にテントも消える。


(え~何があったのさ)


 呆気に取られる勇輝に北風がからかうように吹きつけた……





 秀斗に言われた三日間を勇輝はぶーたれて過ごした。

 その他諸々も一緒にぐちっている勇輝に歩は適当に相槌を打ちながら報告書を作る。

 今回の潜入先は大手会社とあってなかなか身動きが取れない。


(これはじかに行くよりハッキングでもしたほうが楽だったか~?)


 歩はパソコンの画面に文字を叩きこみながら思案していた。

 ちなみにここは空き教室だ。

 いい加減屋上が寒くなったので使われていない教室に入り込んだのだ。


「よし、絶対明日問い詰めてやる」


 勇輝は決意を新たに、翌日を向かえるのであった……




 そして翌日、勇輝は一段飛ばしで階段を上がっていた。

 今日は三日間の交流禁止がとける日だ。

 屋上のドアを開けると緑色のテントがあり、勢いよく布を引いた。


「おはよ~」


 手前のソファーにいた秀斗が、やっぱり来たかという顔で迎える。


「早ぇよ」


「ちゃんと説明してくれよ」


 秀斗は頭をかくと、立ち上がって勇輝へと近寄った。

 そしてその肩をがしっと掴んで勇輝の顔をじっと見た。緊張した面持ちに勇輝は息を飲む。


(やべ~、俺やっぱり殺されちゃう?)


「いいか、落ち着いて聞け。実はよ……」


「そこで何をしている」


 秀斗の言葉を遮って、冷ややかな声が上から落ちてきた。

 聞いたことがあるような声なのに、知っているものとは質が違う。いつものご飯に一味をかけたような……


「秀、なぜここにそいつがいる」


 見上げると、二階の廊下に弥生がいた。

 こちらを見下ろす目は鋭く、冷たい。


「あ、弥生。おは……よう?」


 勇輝もさすがに弥生の雰囲気が違うことに気がつく。


「弥生、覚えてるよな。春日勇輝だ。昂乱の時に協力してもらった」


「知っている。不愉快だ、消えろ」


 口調も以前と変わっている。

 柔らかさや優しさは無くなり、表情も乏しい。


「俺の友達だ」


「そのような者が友だと?」


「あぁ、手ぇ出したら許さねぇからな」


 秀斗は勇輝を守るようにその前に立った。


「ちょ、弥生? どうしたんだよ!」


 勇輝は弥生を見上げて叫んだ。


「私に話しかけるな下等種が。約束は違えないが覚えておけ。貴様が私たちの邪魔になることがあれば即刻斬る」


「おい弥生!」


 秀斗の呼びかけにも答えず、弥生はその場を去ってしまった。呆然とする勇輝を残して……



 第一章を手直し中ですが、直したいところが次から次へと出てくる。

 こういうのをモグラたたきっていうんだなぁ、としみじみ。


 彼らの容姿を細かく入れてみました。前はひどくざっくりしていたので。

 勇輝、歩は制服を追加、第1章の1話目へ。

 転校生の服装および容姿は10話目へ。

 気になったら覗いてください。

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