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「魔法装備は売っちゃったけどいいのか?」


「んー、初めて取った物だから惜しいけどアレス王子の買い出し依頼のためだ仕方ない」


「俺達の我儘で稼いで買い出しになっただけだぞ?」


「そうなんだが、俺もアキラに同意したからな。それに……迷宮楽しい!」


「楽しいよな!戦闘もそうだが宝箱が楽しみすぎる!!」


「だよな!」


(男の子ですねぇ)

(解る)

(おっと、ここにも少年とは呼べない男の子が!)

(ふふふ)



 晶とイェンは町の魔導具屋で魔法装備を売った。

指輪三つに腕輪一つ、それからネックレス一つ。

魔力増強、魔力回復速度上昇などの補正がかかっていたが弱い補正らしく高額にはならなかった。

それでも金貨十枚にはなった。

およそであるが、日本円換算で百万円相当。

二人での稼ぎなので十分ではある。

宝石の買い取りもそこでしてくれるという事で宝石も売っていた。

ルビーが四つとサファイア二つで、これも金貨十枚を超えた。

これは儲かっている。

だが他の冒険者で同じ事が出来る者がどれだけいるか……人数も二人だけだし、特殊な例であろう。


 因みに武器防具は売っていない。

全てタマギへ持ち帰り誰かしらに使ってもらう予定だ。

南の大陸で鉱物資源が確保できるまでは売るつもりはないようだ。

イェンの強い希望だった。


 冒険者ギルドにもいっていた。

地下五階のボスゴブリンの魔石、それぞれ二個づつあれば冒険者ランクがあがると聞きランクを上げていた。

別に迷宮のでなくてもいいとも言っていた。

同じサイズの魔石ならオッケーらしい。

それが提出出来るならば青銅の札、一人前として認められるらしい。

お金で買い集めればいいんじゃないか?確かにそうだがランク相応の仕事を回される事もあるらしいので身の丈に合わない無理はしない方が得策だろう。


 青銅の札、その上の鉄札はベテラン扱いで、ここからはテストがある。

黒鉄札は上位冒険者と言われていた。

他にもあるようだが割愛。

そして鉄札からは討伐系、護衛系、採取系と細かく分類されている。

それぞれ鉄札一種、二種、三種と言われている。

要求される得意分野が解るようになっていた。

テストに合格すれば全ての分野を統合した特種というのもあるらしい。

それを持つ人は趣味人か変人くらいだとも。


 晶とイェンは青銅の札をもらい、ニヤニヤしていた。

それを見ていたであろう、受付嬢や周りの冒険者達から暖かい眼差しを向けられていた事を二人は知らない。

クエストを受けて外へ行こうとしていたが、討伐系ならば事後報告でも良いとの事でクエストは受けなかった。

何に出会うかは定かではない。

だからそれが正しい。



 そして晶とイェンは魚や肉の串を買い食いしつつ都市の外へ出た。

隣町には港があり、ここ迷宮都市とも近いようで魚も新鮮で美味かったようだ。

ゼロとぴよこ用に結構買っていた晶であった。

ブラック主ではない模様。







「ぴよこー、あんまり俺達から離れるなよー!」


「ぴっ!」

(ちゃんと振り向いてる……いいなぁ。私も挨拶されたい)


「元気一杯だな」


「だな。まだ小さいから心配だけども」


「でも魔力多そうだぞ?」


「まぁな」



 ゼロに会うために森を歩いている晶とイェン。

ぴよこは森に入ってすぐにアキラのフードから飛び出した。

人の気配が無い事を理解しているのだろうか?

お利口さんである。

今も晶の視界から外れずにテテテッと土の上を走っている。

たまに地面を嘴で突いていたり。

何か食べている様だが何を食べているのやら……雑食ひよこは石でも食べる。


 ぴよこは魔力を多く持っている。

将来が楽しみである。



「イェン、魔物の気配が少なくないか?」


「んー、そうかも。前に野営した時は結構いたのにな」


「俺らが狩りつくしたとか?」


「それはない」



 森を歩きながら索敵もしている。

晶は戦闘力が高いがそれほど索敵が上手くない。

晶とイェンだとイェンの方が索敵能力が上だ。

歩いている森に魔物は少ないらしい。


 晶はタケマツに才能がないと言われて使っていなかった剣鉈を嬉しそうに振り回している。

枝を払い、藪を払っている。

迷宮では出番がなかった武器だ。

使いたくて仕方がなかったのであろう。

使っている相手は魔物ではないが……。




(ゼロー!来たぞー!)


(空を飛びますので見つけたら教えてください)


(おう)



 晶がゼロに念話を飛ばす。

使役している相手のいる方向は解るが木々の多い森だ、見つけにくい。

ゼロが見つけやすいように空を飛ぶという。

晶から得た知識だけでなく利口になっている。

力の強さ、空を飛べる利点、それに知恵も加わるとか……末恐ろしい。




「……お、発見!」


(ゼロ、左下にいるぞー!どこか開けた場所があったら教えてくれ)

(はい。マスター確認……マスター、そのまま真っ直ぐ行くと広い場所があります)

(おっけー。先に行っててくれ)

(承知)



「いたな」


「おう。行こうぜ」



 お互いの位置を確認し合い、落ち合う場所を決めた。

ゼロのいる位置も解るので迷うまい。

イェンも空にいたゼロを見つけていたようだ。

二人で歩き出す。

お、ぴよこが晶を追い越して先導している。

ぴよこにもゼロのいる方向が解るのであろうか?

いや、ただ単に晶の目の前を歩きたかっただけに違いない。

時々振り返って晶を見ている。

小さな子が親を気にしているようで可愛らしい。



(うぅ、何て可愛さ……持って帰りたい)

(どこにだよ……)



 カヅキを魅了しっぱなしなぴよこであった。


 警戒しつつ森を進む晶とイェン、そしてぴよこ。

人の目を気にしないで動き回れるのが嬉しいのか元気いっぱいなぴよこ。

みんなの癒し担当である。




「お、いたいた!ゼロー!!」


(マスター)


「いたな……って何だか一回り体が大きくなってないか?」


「そんな馬鹿な。ってそんな気がするな……」

(んー確かに)

(こんな短期間で成長したりするのかのぅ……魔物は謎が多い)


「ぴ」



 晶達が広場に着いた。

木がない空間に是尾が鎮座している。

ゼロも念話で答えている。

そしてイェンがゼロを見て疑問を口にしている。

晶が見事な二度見を披露。

晶から見てもゼロが大きくなっているようだ。

カヅキ、タケマツもゼロを見ている。

どうも本当に大きくなっているらしい。


 そんな事はどうでもいいと、ぴよこがゼロの元へ駆けだした。

ぴよこにとってゼロはどういう存在なのか?

少なくとも駆け寄る程度には仲良しらしい。

ゼロの鼻先へ行って嘴で軽く突いていたり。

挨拶のつもりかな?

ゼロも大人しく突かれている。

ちょっと微笑ましい。



「ゼロ、お前でかくなったな……」


「やっぱりでかくなってるぞ……」


(ここら辺の魔物を狩っては食べたせいですかね?)

(もしかして魔物の気配が少なくなってたってのは……)

(そのようじゃな……)

(頑張り過ぎましたかね?マスター)

(ま、まぁいいんじゃね?)

(はい)



 みんなでゼロを眺めるのであった。

生命力に溢れている。

霊体に憑依されているアンデッドの一種のはずだが、これ如何に。

晶はゼロが強くなって嬉しそうでもあり、やり過ぎだとも思っていそうだ。



「ここら辺で面白いモノはあったか?」



 晶がゼロとぴよこにお土産の串焼きを出しつつ尋ねている。

食いしん坊のぴよこ、ゼロより先に食べだした。

晶とゼロが念話で意志疎通が出来る事はイェンに教えてある。

ゼロに乗りながら行く方向を指示し、それを直ぐに実行していたゼロだ。

隠すような事ではなかった。

面倒だったというのもある。



(地竜が番でいましたね)


「地竜!でかいのか?」


「おいおい、竜がいるのかよ!都市は結構近いぞ」


「いたらしい」

(獲物を襲う前に気付いたので放っておきました)


「マジか……」



 ゼロが危機感のない声で念話を飛ばしてくる。

地竜がいたとか、おおごとだと思われる。

少なくとも迷宮都市にとってはだ。

イェンもそう思ったようで顔を引き攣らせている。



「ゼロ……お前が地竜と戦ったらどうなる?」


(今の私ならいい勝負が出来るでしょう。勝敗については戦ってみない事には解りません)

(ゼロは凄いんだね)

(飛べない竜とはいえ竜だ。強いぞ)

(私も強いです)

(ワシだって強かったのじゃぞ)

(なに対抗してるんですか……)



 晶は地竜の強さが気になるようだ。

当然ではある。

ゼロは負けない自信がありそうだ。

カヅキに褒められ、タケマツに心配されている。



「ゼロと同格か……それが番とは厄介そうだな」


「アキラ、厄介で済ませるなよ……」


「そうは言ってもなぁ……会ったことないし」


「それはそうだが、竜だぞ?」


「戦ってみたいよな!」


「無茶いうな!」


「えーっ」



 イェンが晶の言動に呆れている。

アキラは地竜に会いに行きそうだ。

付き合わされる事になるであろうイェンは不幸かも知れない。



「ぴ」



 ぴよこは状況を解っているのか嬉しそうに小さな羽をパタパタさせている。

緊張感とほんわかに支配された空間、カオスである。




 地竜の素材を持ち帰ったら冒険者ギルド、迷宮都市のお偉いさんは仰天するに違いない。

胃薬の需要が高まったりして……。



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