*極めろ!
「こいつ面倒ね。殺しちゃおうか」
理絵は笑いながら銃口を時弥に向ける。
「調子に乗るな!」
杜斗は一端、体勢を低くして素早く駆け寄り女のハンドガンを蹴り飛ばした。それと同時に時弥は黒スーツの腹を殴り他の3人も蹴り飛ばす。
「きゃっ!?」
理絵は驚いて手で顔をかばった。
しかし──時弥はグイッ! と理絵の右腕を掴み上腕部を両脚で挟んで固定し、同時に親指を空に向かせる形で相手の手首を掴み体に密着させた。
「いたたたたたたた!?」
「悪い子にはおしおき!」
時弥は理絵に腕挫十字固を極めた。相手の肘関節を逆に伸ばして極めるアームロックの一種だ。
理絵はその激痛に左手でコンクリートの地面をバンバンと叩いて無意識に痛みを分散させようとする。
「──っ」
フラフラの黒スーツと青年たちは目を吊り上げて構えたが杜斗はそれを制するように発する。
「女の腕が使い物にならなくなってもいいのか?」
「なんだと?」
「このまま技を強めれば靭帯を痛めるか断裂する」
技をかけている時弥をあごで示した。
これは時弥と杜斗にとっては「賭け」だ。犯罪者に仲間意識などあるのかどうかは疑わしい処だが、共に行動してきた者たちには「連帯感」というものが生まれる。
それを刺激する事で、この圧倒的な数の差を乗り切ろうというのだ。
「……」
しばらくの沈黙が続く──
「!」
しかし、その耳に微かにサイレンの音が聞こえた。それは徐々に近づいてくる。
「この音……」
「警察車両のサイレンの音だ」
「!? パトカー!?」
杜斗と時弥の2人以外は一斉に青ざめた。
「どうやら」
「助かったようだな」
時弥は技を緩めて微笑み、杜斗はそれを見下ろして同じように笑った。





