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自転車に乗った月英さん~女子高生、孔明の妻始めました~  作者: イチロウ
3章 今の自分ができる事

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37話 ……バカぁぁああああ~~!

「……お願いします」

「…………困ったわねぇ」


 私の土下座を見ながら、困ったようなため息をつくお義母様。

 まあ、無理もないだろう。

 休憩時間を超オーバーして戻ってきたら、ちょっと弓を作りたいので、礼儀の練習時間を少しだけ削っていいですか? と言ってきたのだから。


「月英。ひとつ聞くけど、その弓は本当に必要なものなのかい?」

「……国に潤いをもたらすようなものではないです。でも、私はどうしても作りたくて」


 そう。これは『どうしても』なのだ。

 あの弓は絶対に、文長さんの役に立つから。


「……だったら、言うことはないかな」

「お、お養父様!」

「私は言うことがあるわよ?」

「で、ですよね……」


 お義母様は、いくら義理の娘とはいえ時間を割いて私に教えてくれている。

 怒って当然なのだ。


「……月英の好きにさせてあげてもらえないでしょうか?」

「え……」

「孔明君?」


 孔明様の意外な言葉に、私だけでなくお義母様も驚く。


「月英が、無作法なのは知っております。作法の知識だけでなく、足は平気で開くし、肌が見えていても気にしない、しかも、必要ならばと自分から肌を見せようとする時がある」

「ちょ、ちょっとそれ、初耳なのだけど!? というか、本当なら別の意味で監禁して、四六時中教育しないといけないぐらい大問題なのだけど!」

「そ、そんなに大問題なんですか!? それこそ、私も初耳なんですが!?」


「「「…………」」」


 え、なにこの空気!?

 いや、おしとやかじゃないし、礼儀正しくないということは、さすがの私にも分かる!


 でも、そんな監禁されるぐらい大問題だったの!?

 りょ、隆中の人たちは……田舎仲間のみんなはやってたよね?

 やってたと言ってくれ、私の記憶の中の隆中のみなさん!


「……まあ、この通りの有様ですが……」


 あ、有様……。

 私、そんなに終わっていたのか……。

 ふふっ、もう人であることを諦めて、ぽんぽこ言いながらタヌキの真似して歩くか……


「……ですが、彼女を『こちら側』の事情に巻き込みたくありません。本来ならば、彼女は気兼ねなくその智を披露するべきなのですから」

「……孔明様」


 急であり、意外な言葉が私の心に刺さる。

 

 なんと言えばいいか分からない。

 ……今の自分の気持ちが分からない。

 

 照れる? 嬉しい? 感謝? そのどれでもあって、どれでもない。

 そんな不思議な気持ちだ。


「……はあ、私の負けです。許します」

「お義母様……!」

「ただし、条件付きです! ひとつ! 作業中以外、誰に対してもちゃんと教えた礼儀で接すること!」

「は、はい!」

「……守れなかったら、当日に最終手段を敢行します」

「さ、最終手段? それは……」

「……恐ろしくて言えません。それぐらい、禁断かつ最後の手段ということです」


 あ、あんなにいつもニコニコなお義母様が、そんなに恐れるもの!?

 いや、想像もつかないんだが……! 


「ふたつ!」

「は、はいっ!」


 ま、まだあった!

 最終手段のあとのものだから、とんでもない内容で……


「この城で起きた、月英ちゃんの青春記録を、私に提出してくださーい♪」

「お断りしまーす♪」


 ……もしもの時のための最終手段。

 ゆるゆるお義母様が言うってことは、大したことないかもしれない。


////////////////////////////


 その後、隆中に戻る孔明様を入口まで送る。

 だが、孔明様は言葉を発してくれない。


「……あの、孔明様。勝手しちゃって怒ってますか?」

「……弓についてなら、怒っていたらあの時助け船を出さないし、お前の注文も受けたりはしない」


 その手には、私が隆中で手に入れて、明日もってきてほしいと頼んだものが書いてある木簡。


「えっと、じゃあ……」


 ……何を言っていいかわからない。

 なにか言わないとと思うんだが……


「もう一度言うが、お前は好きにその知を振るえばいい。だがな……」

「え……!?」


 孔明様に抱きしめられる。

 もう、なにがなんだか分からない。

 されるがままだった。


「……矢を射られた。事故だった、認識違いだった、理由はあるのだろうが、そう聞かされる『夫』の気持ちを考えろ」

「……」


 ……また、言葉がでなくなる。

 なんだか、心臓がドキドキする。

 うまく、孔明様を見られない。こんなの、初めてだ……。


「あ、あの、孔明さ……」

「……お前に何かあったら、見てこいと言った私の目覚めが悪いからな♪」


 まさに、イタズラ成功とばかりの孔明様の顔。

 

 …………やられた。

 謀られた、騙された、からかわれた、もてあそばれた……!!!


「…………バカぁぁああああ~~~!!!!!!!」


 私は全力で叫ぶ。

 もう、二度とあの陰険どS軍師の言うことに騙されない!!!

 そして、全力で走り去る。


「……我ながら、上手くやれないものだ」


 私が去った後の、孔明様の呟きを聞くこともなく。

おお、なんかラブコメ展開になってる!

連休中、概ね誤字やら、分かりづらい描写直しました。

たぶん、見やすくなってるはずです…!

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