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自転車に乗った月英さん~女子高生、孔明の妻始めました~  作者: イチロウ
3章 今の自分ができる事

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35話 大型犬?

「……えーと、それでですね」

「はい! なんでも言ってください!」

「あ、はい。さっき、武器を振り回していた文長さんを見て、思ったことが……」

「おお、見てもらえましたか、俺の演武! お気に入りいただけたようならば、もう一度舞いましょうか!?」

「いや、必要ないです。それより私の話をですね……」

「はい! 聞いております!」


 ……おかしい。

 ようやくまともに、兵士の人……魏延文長さんと話ができると思ったのだが、会話が成立している気がしない。

 というか、無限ループしてないか?


「さあさあ、お話をお続けください!」


 なんというか、超大型犬みたいになってる文長さん。

 ずっと跪いたままのせいか、なんかお座りしているように見えてきた。


「えーと……少し黙りなさい」


 そう言いながら、軽くチョップしてみる。

 お隣で飼われていた犬はこれで静かになるんだが、どうだろうか。


「…………今のは?」


 うわ、マズい!

 さすがに男の人にいきなりチョップはマズかったか?


「い、いやあの……さっきのはですね……」

「たしか、黄月英様、ですよね? 月英様とお呼びしても……?」

「は、はい! なんだったら呼び捨てでも、好きにお呼びくださ……」

「うおおおおおおぉぉおお~~!!!!」


 え、ちょっ、どういうこと!?

 いきなり担がれたんだけど!?


「……軽い! 先ほどの手刀といい、軽すぎます! まずは、飯を食いにいきましょう!」

「いや、自分で言うのも何ですが、私、結構重いですよ!? というか、さっきちょっと軽く食べたばっかりで……」

「兵舎にご案内いたします! では、掴まっていてください!!」

「いやだから、人の話を聞いてください! ていうか、見える! 見えちゃいますから~~!!」


 そのまま、とんでもない速度で走り出す文長さん。

 いやこの速度、自転車を軽く超えているんだが!?


 とりあえず、必死に着物を押さえる。

 この時代の下着は、見えたら洒落にならんやつだから絶対死守だ!

 ……くそ! こんなことなら、着替えさせてもらった時にそっちも変えるべきだった!

  使い慣れたものがいいとか言わなければ、お高い下着……かなりちゃんとした下着だったのに!!


「……ふう! 到着です!」

「え、もう!?」


 なんか、必死に着物抑えていたら一瞬で着いたんだが!?

 しかも文長さん、息ひとつ乱してないし。

 フィジカルの鬼すぎるだろ。


「さて、では食糧庫の方に……」

「あ、文長さん。食料より先に、鍛冶関連の施設とかありません? 武器を作る、もしくは調整してくれる、みたいな」

「あります! では、ご案内を!」

「はい、お願いしま……いや、その前に降ろせ~~!!」


 見てるから! 残っている人がこっち見てるから!

 タヌキだってなぁ! 恥じらいってものがあるんだよ!


 あと、胸が思いっきり当たってるだろ!

 私の唯一の取り得なんだから、少しは反応しろ!

 傷つくだろ!!


「到着しました!」

「あ、はい……ありがとうございます」


 そんなこと考えてたら、相変わらず一瞬で到着する。

 思いっきりローキックでも入れてやりたいところだが、やったところで「……軽い!」とか言われて、また食糧庫の方に直行する可能性がある。

 それで食糧庫に到着、また鍛冶施設にと、無限ループに……もうこれ、文長さんの固有スキルとかだろ。


「それで、俺はここに焼いた肉でも持ってきたほうがいいでしょうか?」

「いや、食べ物はいいで……肉!? い、いや、今はいいです。とりあえず、職人さんに会いたいのですが……」


 周りを見ると……おお、まさに鍛冶って感じだ!

 小さな炉に、金床とふいごと、RPGで見た憧れの光景。

 武器を調整したり、その場で制作したりしているようだ。


 そして奥には……お、服装的に職人さんと思われる人がいる。

 いわゆるイケオジな人と話しているが……ん?

 なんか急に、いなくなって…… 


 ――ガキィィイイン!!


 鍛冶施設内に響く、金属がぶつかる音。


 私の後ろで、文長さんといつの間にか現れたイケオジさんが、互いの剣をぶつけている。


「……誰だか知らないが、いきなり人の後ろに回るのは失礼じゃないか?」

「……ほう。まさか、私の動きについてくるだけでなく、一撃入れてくるとは。驚きました」


 な、なんか、私のすぐそばで、少年誌みたいなバトル空間が形成されてるんだが!?

 ていうか、文長さんが言う『人の後ろ』って、私の後ろってことだよね?

 ということはこのイケオジさんも、『人の後ろに勝手に現れて、私を驚かせる一族』か。

 ……もう何人目だよ。バケモノじみた人たちの間で流行ってるのか?

 普通にビックリするからやめてほしいのだが。


「……旦那。それぐらいにしときな。そっちの若いのも」


 奥から現れる職人さん。

 お、珍しくちょっと背が低い人だ。

 ……まあ、私よりは全然高いが。


「失礼いたしました。女性が、しかも噂の黄月英様がこんなところに来るとは思わず、ついからかってしまいました」


 剣を収めながら、私が今勉強中の拱手をするイケオジさん。

 ……むう。姿勢も綺麗だし、なんか不格好な私のと全然違う。

 というか、シンプルに佇まいが綺麗というべきか。

 白髪交じりでイケオジ……なんか、アニメとかゲームに出てくる執事みたいな人だな。


「……ふん」


 文長さんも剣を収める。

 それにしても、いくら後ろに回ろうとした人とはいえ、いきなり抜刀したのか。

 ……文長さん、大型犬ではあるけど、どちらかというと狂犬系かもしれん。


「それで、何か用かい? 武器の調整なら、こっちの旦那が終わってからになるぜ」

「えっと、調整とかじゃなくて……ちょっと作ってもらいたいものがあるんです」

「だったら、他の職人に頼みな。さっきも言ったが、俺は今、旦那の弓の調整をしていてな。今、手が空いているやつは……」

「ああ、私のは後で結構ですよ。それに、『あの』月英様が何を頼むか気になりますしね」


 ……『あの』って、やたら強調したな。

 私って、どんな噂になってるんだ?


「いいのか旦那? 今回を逃したら、また長沙から来ることになるぞ?」

「ええ。お気になさらずに」

「ならいいけどよ。それで、俺は何を作ればいいんだ?」

「作ってもらいたいのは、弓です」

「おいおい、それなら頼む場所を間違えてるぜ。ここの倍以上ある弓専用の工房があるから、そっちに行って……」

「いえ、お願いしたいのは、そういう形ではない、別の弓です」


 職人さんが受け取っていた、おそらくこのイケオジさんの弓を指さす。

 ……やはり、魏延さんが使っていたのと同じタイプで、小さい弓だ。


「……別の弓、だぁ?」

「今、軍で使われている弓ではない、まったく新しい弓ということですか」

「はい。作ってもらいたいのは、その弓の倍ぐらいの大きさのものです」

「「ば、倍!?」」


 職人さんと、文長さんが同時に驚き、イケオジさんは、ほお……とばかりに眉をあげている。

 そんな3人に、私は近くの木簡を借りて簡単な絵を描く。

 

 それは、人の身長を超えた大きさを持ち、上下非対称の形をした弓――

 

「私の国で『和弓』と呼ばれている世界最大級の大弓……その制作をお願いします」

コンテスト用の突貫制作! のつもりが、書きたいところまでは書こうということで、いつの間にやら長編に。

それで、そろそろちゃんと見返そうと思ってしてみたら、まあ、誤字とか消し忘れとか言いまわしとか、もろもろ酷いことが……本当に、読んでくださった方、大変申し訳ありません。


現在、時間見つけては修正しております。

なんか、内容微妙に変わったりしますが、ご容赦ください。

というか、こんな状態の文章を見ていただき、本当にありがとうございます……!

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