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刃血鬼  作者: Omsick
五章 [死生朱雀]
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シンジュ

 [白虎十字軍]の面々は人間、それもまだ未成年の子どもである。爆発に対する耐久力などある訳がない。仮に成人男性だとしても、だが。

〈シンジュ、これで良いんだな?〉

「ああ、問題ないよ」

 つまるところ、彼らは最初から爆弾でしか無かったのだ。

「さて、と。君達はどうするつもり?既に軍は殆ど壊滅状態。[爆賛會]程度なら頑張れば潰せるだろうけど…君んとこの団長含める区代表の解放は難しいんじゃない?」

 挑発する青年を完全に無視し、血走は考えていた。

(…今、通信でこの男を「シンジュ」って呼ぶ声が聞こえた。本当なんだとすれば、こいつは…[四柱]最強、育月真樹(いくつきしんじゅ)。そりゃ団長とも渡り合えるわけだ)

 相対する青年のオーラは確かに、血走の勝てる域をとうに抜け出しているように見える。

「だからって…信念を捨てる気はさらさらないけどね」

「へえ、つまり?」

「今分かるよ…特殊刃技:速走加輪(そくそうかりん)ッ!!」

 特殊刃技。沸血を習得したものが次に覚える、刃術の発展型。主に、能力に拡張性が生まれる物と、完全に新たな技として追加される物の二種類が存在している。

 例えば震奮は「仕掛けた血刃で刃術を同時発動させ、強い揺れを起こせる」。心做は、「吸収した喜怒哀楽を、それぞれ回復、爆発、ソナー、バリアとして使える」。


 血走の特殊刃技は――「リングを通過する度、速度が青天井に上乗せされていく」。

「舐められたもんだね。刃術使えば、君なんて――あれ?」

 ほんの一瞬だけ目を瞑った瞬間、血走は砂煙だけを残し消えた。

「面倒だな…とりあえず」

 青年は交河に接近する。

「特殊刃技:連飛刃(れんひじん)!!」

 交河は一度の斬撃で、複数の真空波を飛ばす特殊刃技を使用。

「鬱陶しいね」

 青年は無視して更に距離を詰め、「邪魔」の一声とともに、逆袈裟斬りの後に蹴り飛ばした。

「ゔぁぁぁぁ!」

 交河の悲鳴が響き渡る。

「ま、筋は悪くないんじゃ…あれ?」

 余裕綽々だった青年を、刃が貫いていた。

「場は整ってる。倒せずとも、足止めが出来れば問題は無い!」

 刺さった血刃をリングに変え、先程ばら撒いた別のリングに向けて射出。衝突した別のリングの加速方向は地面に向かっており、青年は地面に勢いよく叩きつけられた。

「そのまま固まっててよ!」

 血走は青年と同様の経路を辿り、超高速の攻撃を行おうとした。

「面倒だな…」

 直後、何かが血走の攻撃を妨害。彼女は上へと打ち上げられた。

(…あー、やっぱりね)

 彼女は、はっきりと視認した。

 枝の無い巨大な樹が、大通りのど真ん中から突き抜けている。

 彼女の予想は、間違っていなかった。

「育月…真樹…!」

「あーあ、バレちゃった」

 真樹は、高らかに宣言した。


「そう、僕が育月真樹。君らのリーダーを幽閉した張本人だ」

「離れて!交河さん!」

「遅いよ」

 真樹が血刃を交河に向けた。

(木で貫くつもりだ…速走加輪なら間に合うけど、発動が間に合わない!)

 血走の読みは、完璧に当たった。

「ゴフッ…」

「交河さん!!」

「うるさいな…」

 真樹はターゲットを空中の血走に変更し、血刃を向けた。

「速走加輪!」

 5本の血刃を自分に刺し、真樹の方へ加速するように設定。音を置き去りにする速度で、真樹の生成する木へと突っ込んだ。

(切れ味に何ら問題はない!これだけの速度なら…)


「甘いんだよ。君のそれで、僕が倒せるとでも思ってるの?」

 速度による力を上乗せして振り下ろした血刃は、いとも簡単にへし折られた。

(…え?ほぼ垂直に力を加えたのに?)

「面倒だな…とりあえずどっか行ってもらうよ」

 真樹は、生成した木の幹をバットのように振り、血走を彼方へと飛ばした。

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