[死生朱雀]:3
〈生存者全員に告ぐ!!できる者は被害者を回収、それ以外は即刻、全力で退避せよ!〉
「系糸!生きてっか?」
「かすり傷です。それより早く――」
「だから今手を差し伸べてんだろうが!とっとと行くぞ!!」
「はい!」
収川の手を掴んで立ち上がった系糸。彼らとその仲間の耳を貫くような勢いで、血走の悲鳴が聴こえた。
〈爆発に備えて!!!!〉
(もう間に合わない…なら)
系糸は血刃を投擲し、収川を捕縛。
「はぁ!?何してくれてんだ系糸!」
「そのまんま捕まっててください!」
その場でジャイアントスイングのように回転し、刃術の解除と同時に、遠心力で収川を投げ飛ばした。
「なっ…」
「あなたは銀製の武器を持ってる!あなたが死んだらどうなるのかは知らないが、戦力的にも生き残っていたほうがいい!」
「系糸…」
「短い間でしたが、どうも―――」
一人の死体から生じた爆発は、人間である[白虎十字軍]の面々を葬りながら、連鎖的により大きい爆発へと変化した。
「系糸!チッ…」
―――
〈血走!問題が発生した!〉
本陣で控えている血走に、怒りと悲しみを含んだ収川の声が響いた。
「何ですか?タイミング的に相当まずいと予想してますけど」
〈系糸が爆発に巻き込まれた!療病を呼べ!〉
「…詳しく説明してください」
〈系糸が俺を捕縛した後、ぶん投げて爆風の外に逃がした。そのまんま系糸は爆発に――〉
〈楽しそうな話ししてんじゃん〉
通信の途中。何者かの声が割り込んだ。
「…!?」
余裕そうな声に冷や汗をかく血走。
〈あーごめん、割り込んじゃったか。ま、いいさ。通信続けてて、僕はそっちで直接話すからさ〉
「指揮官!」
交河に呼ばれ、血走は振り返る。
「見知らぬ男が本陣に侵入!」
「いや、見たことあるでしょ。僕だよ、君の団長と戦った」
確かに、見覚えがあった。
「ああ、よく覚えてるよ。切羽詰まってたのに邪魔してきてさぁ…」
そう。数時間前、瀕死の赤亡を助けようとした際に妨害してきた、あの青年だったのだ。
〈指揮官、どうします?〉
青年に聞こえないように耳打ちする交河。
「どうするもこうするも、団長で互角なんだから私達に勝てるわけ無いでしょ?」
〈ならば尚更、ここで逃がせば被害の拡大は免れない。眩奈さんや、それに類する猛者たちの助っ人に頼み、時間稼ぎに務めるべきです〉
「…まぁ、ここで私達が逃げたら、メンツ丸潰れだしね…よし」
血走は息を荒くしながら青年に向き合った。
「へぇ…やっぱ君可愛いねぇ、僕と付き合うってんなら、君たちの団長を開放してもいいよ?」
「開放できる能力があるの?まぁ、そうだとしてもゴメンだね。罪競い、その中でも指折りのクズどもと付き合うなんてさ」
「ずいぶん余裕みたいだね、でも―――」
「走る斬撃」
青年の服が破れる。
「それは、宣戦布告と受け取ってもいいかい?」
青年の体温が上がっていく。
「どうぞ、ご自由に」
挑発する交河に続いて、血走は周囲に血刃をばら撒きリングへと変化させた。
「私達が勝てるなんて思ってもないけどさ、邪魔だけはしないでくれるかな…!」




