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刃血鬼  作者: Omsick
五章 [死生朱雀]
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「祈るしかない、彼らの勝利を」

「主催者が遅れないでよ」

 ポニーテールの女性、橙亡速華(スーファ)が言う。

「悪かった。だがさっきも言った通り、やむを得ない事情があったのだ」

「許してやれ。俺等が遅刻したときに、一度でも彼が怒ったことがあるか?」

 擁護するのは糸目の男性、欺偽迷眼(めいがん)

「関係ない。遅刻は遅刻だ」

「チッ…無能はテメェだろうがよ」

 先ほど心做に対して話題を逸らすなと述べた天竹(あまたけ)二葵にき、無能呼ばわりされた谷崎たにざき嵐舞らんぶも続く。

「私が貴様を無能と言った理由は、今から話すこの議題にある」

 心做はそう言って、卓を叩いた。

「何故、この地域に四柱がいる…?茜亡円火は谷崎、貴様の管轄にいたはずだろうが…!」

「いっ…」

 気迫に仰け反る谷崎。

「この会議の出席人数が5人なのは、有力者が少ないからだ。他の5区はもはや罪狩りが罪狩りとして働いていない」

 S県R市には全部で10の区が存在している。国内最強クラスの心做を擁するN区を中心として、それぞれの区の最強戦力が現在集まっていた。

「貴様は総戦力が貧弱なこの地域に奴が来るまで、何一つも対策しなかっただろう!?」

「うるせェな!じゃあテメェが倒しゃいいだろうが!その強さは何のためにあるんだよ?」

「知っていれば未然に防げた!失われた命はもう戻らない…それに今は私の強さの話ではない。貴様の職務怠慢の話をしているんだ。成務票ではなく共同作戦(オペラレコムナ)で受ければ済む話だろう?貴様一人では勝てなくとも、複数人で挑めば確実に殺せたはず!」

「挑むには、俺達は弱すぎるんだよ…テメェが思ってるより奴は——災禍の炎(ディザスターフレイム)は強い」

 肩を落とす谷崎。

「…会議は終了だ。一刻も早く奴らを——」

「待て」

 迷眼が、心做を引き止めた。

「どうした?」

「[調査隊]から連絡が入った。連続爆殺事件の犯人、もといその組織が判明した」

「そうか…だが今そんなことは—」

「関係ある。先程連中は[白虎十字軍]と手を組み、N区に侵攻を始めたそうだ」

「…何だと?」

 心做の顔が曇る。

「もう一つ。お前は急ぐべきだが、そうも行かない事情が発生した」

 迷眼はしかめっ面で、顔を押さえる。

「鬼神府全体が、巨大な樹で覆われている。そして、鬼神府内では刃術を発動できない」

 迷眼は、ゆっくりと言い放った。

「すこぶる頑丈だそうだ。恐らくは[四柱]最強の、草木を操る者の仕業と思われる」

 全員の顔に緊張が走り、冷や汗が流れた。

「事件の原因である[爆賛會(ばくさんかい)]、刃血鬼狩りの盟団[白虎十字軍]、そしてチートの集まり[四柱]に、俺等は関与することができない。[赤連]や、他の区の盟団の人員だけで倒すしかなくなった」

「面倒なことになってしまった」

「ねえ嘘でしょ?」

「クソッ…こんなことになるなら…」

 一人ひとりが思い思いに、言葉を口走る。

「幸いにも指示は出せる。祈るしかない、彼らの勝利を」

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