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刃血鬼  作者: Omsick
四章 [鳴亡兵団]
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「じゃ、さようなら」

おぼつかない瞬間移動アンステーブルムーヴムーヴ…能力名からわかるだろ?」

 そう言うと瞬沢は系糸の視界から消えた。

(こういう場合、一番多いケースは背後。さっき背中を切られた時は水平切りだったから…しゃがむ!)

 系糸は血刃の軌道を読んで躱し、連血糸刃の間合いまで距離を詰める。

「なんで避けられるんだよ!」

 瞬沢は、系糸が水平に薙ぎ払った連血糸刃を間一髪で回避し、一瞬の硬直を見計らって蹴りを入れた。

(うざってぇガキだ!大人しく殺されてりゃいいのによ…!)

 系糸に向かって真っすぐ伸びてきた足を別の血刃でガードし、弾き飛ばす。系糸は更にもう一本血刃を取り出し、打ち鳴らした。

(金属音ッ…あ"あ"ぁぁクソガキがッ!!)

 不快な音に瞬沢が耳を塞いだタイミングで、二本の血刃をまとめて瞬沢に投擲する。

「…あーキチぃ…だがなァ!テメエの策は分かりきってんだよ」

 このタイミングで再び瞬間移動。血刃はすり抜け、信号機の柱に突き刺さった。

(ああもう!条件とか無いの?血刃の位置にテレポートするとか!)

 困惑しながら連血糸刃を振り回し、追撃に備える系糸。成務票が示す距離は30m、しかし周囲を確認しても誰もいない。

(…待てよ)

 成務票は20mを示した。

(どんどん近づいている以上、逃走の線はありえない。平面上に居るなら気付くけど…)

 系糸は解答を導き出した。示されている瞬沢の位置は5m。

(違う、世界は平面じゃない…立体だ。警戒すべきは上!)

 高速で振り回していた連血糸刃の血刃部分を、上からの強襲を仕掛けてきた瞬沢に、投石器のように放り投げる。

「おいおい、伸びんのかよそれ!」

「ああ、僕に血が流れている限りはね」

 傷口から伸びる糸は、当然ながら系糸の血液から生成されている。傷口を本体から切り離しでもしない限り、糸は伸ばすも留めるも、そして巻き取るも自由。文字通り、糸は彼の手足なのだ。

「でも…当たるわけねえんだよッ!」

 ギリギリのところで瞬間移動され、後頭部に蹴撃を撃ち込む。

(今だ…!)

 系糸は、前方に伸びていた連血糸刃を巻き取って引き戻し、持ち上げた。血刃は弧を描いて瞬沢の足に引っ掛かり、そのまま遠心力で巻き付いた。

(このガキ…!)

 糸を少し伸ばし、背負投げ。自身の手首を切り落とした後、血刃を杭のように地面に打ち込み手首を地面に固定した。

「さてと、これであんたは動けないよ」

「どうだろうな…?こっちには瞬間移動があるんだぜ」

 不敵な笑みを浮かべる瞬沢。しかし、系糸は怯まずに言う。

「いや、今から目潰れるんだから、動けるわけないでしょ」

「はぁ?何言ってやが――」

 血刃の切っ先を瞬沢の目に向け、手を離す。更に系糸はそれを、足で打ち込んだ。

 ぐさり、と。

「〜〜〜!!!」

 血刃は深く深く刺さり込み、貫通。瞬沢は声にならない悲鳴を上げ、悶えている。

「この血刃、決定打に欠けるんだよね。だからさ」

 目をえぐりながら血刃を引き抜き、系糸は丁寧に瞬沢を起こした。

「嫌だ…嫌だ…!!!〜〜〜!!」

「へえ、自分が殺されそうになったら命乞いするの?醜いね」

 血刃を取り出して、先程瞬沢に刺した物と繋げる。糸をゆっくりと首にかけて、後ろで交差させる。

「あんたが殺したのは同業じゃない、罪のない一般人だ」

 思い切り系糸は糸を引っ張った。

「じゃ、さようなら」

 血しぶきはスプリンクラーのように舞い、周囲の草木を赤く濡らした。

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