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刃血鬼  作者: Omsick
三章 罪狩り
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初任務(仮)

 成務票の機能がうまく働き、赤亡はものの数分で、それらしき人物を捕捉することができた。

(1.手の平に傷をつけ)

 頭の中で唱えながら、右手の平を浅く切る。

(2.血刃を引き抜き)

 流れるようにこなす赤亡。

(3.振りかぶって…)

 狙いは目の前の男に定まっている。

(4.全力で投擲!)

 勢いよく飛んだ血刃は、男の体に突き刺さった。

「痛った…何?誰?」

「あれ?」

 混乱する赤亡。

 今のところ彼がが遭遇した罪競いは、屈強だったり性格に難があったりしていたが、目の前の男は、そのどちらも当てはまらない。

 直ぐに激怒することは無く、身体の大きさは平均程度。温厚そうな雰囲気。

(…人違いか…?)

「あんたか?僕に血刃を刺したのは」

 詰め寄ってくる男。

(…罪競いのフリをして凌ぐか?新人アピールすれば最悪どうにか…)

「…えと、あの、最近刃血鬼になったばか――」

 ぐさり。

「ぎっ…」

 横腹に深く刺さる血刃。

「煩わしいんだよ、しっかり言えや」

「…間違ってたら謝るつもりだったんだけど、刺されてるしいいかな」

「あ?」

牙抜(きばぬき)、で合ってるかい?」

「…まさか」

「否定しないってことは、やっぱりそうか」

 痛みに堪え、なるべくそれを隠しながら、できる限りの威圧をする赤亡。

「勝手がわからなくてね…僕は罪狩り。[赤連]所属の――」

([赤連]…あの二人がいる盟団だと?このガキが?)

 聞こえた瞬間、なんの躊躇いもなく逃走する牙抜。

「…好都合。背中に刺さった血刃を引き抜けば――」

 糸を繋ぎ、握りしめて引っ張る。

 牙抜の動きが一瞬だけ止まり、直後に激しく吹き出す鮮やかな血飛沫。牙抜は、その場に倒れ込んだ。

「んー、これで完了…なのかな」

 無事に遂行出来たことを喜ぶ赤亡。彼の関心は、既に別のところに向いていた。

「刺さった刃物って、引き抜いたら出血が増えるんじゃなかったっけ。でもなー、痛いんだよなーこれ」

 抜くか抜かないか。結果を考えて葛藤する赤亡。

「…ク…ソ…」

「…生きてた?あの出血量じゃ無理だと思ったんだけど」

「たす…け…」

「…見張っておこ――うと思ったんだけど、そんな必要もないかな」

「仲間の叫びは俺の叫び。俺の盟団(ファミリー)に手を出したな?」

 背後より、赤亡は、首に刃を押し当てられていた。

(どっから来たんだよこの人…物音も気配もなかったのに)

「答えろ、お前は誰だ?」

 赤亡は後ろを振り向けないが、血刃を握る手と体温――すなわち、沸血していることを悟る。

(映画でしか見たことないよ…何これ、尋問のそれじゃん。耐えれるかな)

「君は彼のなk――」

「お前は誰だ?」

「えー、と。[赤連]所属、赤亡系糸…あの、早く助け――」

「[赤連]?ああ、あの盟団か」

(まるで聞かないなこの人。助けに来たんじゃないの?牙抜さん死ぬよ?)

 赤亡は、殺人じゃ無いから問題ないと言う意識を持ってはいるのだが、とはいえ自分の手で生命を奪うのは些か抵抗があった。

「僕は成務票に従っただけです。僕は危害を加えるつもりはありません。お互い穏便に済ましませんか?」

「済まねえよ。俺を怒らせといてよく言うぜ」

 話が噛み合わない。

「あなた、何しに来たんです?助けに来たんじゃ無いんですか?」

「助け?お前は何を言っているんだ、牙抜はもう助からない」

 男こそ何を言っているのか。放っておけば、牙抜は苦しんで死ぬこととなる。

「まだ息は全然ありますけど…仇を取りに来た、って訳ですね」

「その通りだ。んじゃ、死んでもら――」

 直前で赤亡は男を後ろに突き飛ばし、自身の指を切り落とした。

「多分今の僕なら…捕縛血糸(ほばくけっし)!」

 血刃がある程度離れたところで糸を繋ぎ、ボーラの如く男に巻きつける。動きを止めたところで、刃血鬼のパワーを利用して上に跳ね上げた。

「そんで…叩きつける!」

 空中に舞い上がった男を地面へ、そしてジャイアントスイングの如く、立て続けにビルへとぶつける。

「…ふーっ…こんなもんかな」

 男はすでに気を失っていた。

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