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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
24 美少女探偵アカシテリカ編!
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574 殺気の主の正体は

「ムノーデス刑事!アカシテリカは、大丈夫!?」


「うん、大丈夫ぅ!何とかねぇーーー!」


 ジメジメとかび臭く、真っ暗な地下道にて。

 焦りながらそう尋ねた私に対して、この小太りのおっさんはいつも通りのんびりだ。

 ニコニコ笑いながら、そう答えた。


 思わずほっと、胸をなでおろす。


 ......でも。


 思わず、首を傾げる。




「お前、良く、私を見つけられた」


「あはは、たまたま帝国時代に作られた、地下道の地図を持っていてねぇ!しらみつぶしに探さなきゃって思ってたらぁ、いきなり見つけちゃったってわけぇ!ボクって、超ラッキーだよねぇ!」


「しらみつぶし?」


「そうそう、しらみつぶしぃ!」


「......一人で?」


「まさかぁ!警察官総動員で、キミのことを探してたんだよぉ?ボクのパパは、偉い人なんだぁ!いっぱい人も動かせるってわけぇ!」


「............」


 私は無言のまま、耳を澄ます。

 私のファンタジー聴覚は、この近くから人間大の生き物の足音を、捉えていない。

 改めて【魔力察糸】の制御に集中するも。

 ......やはり人間は、この近くにはいない。


 一人も。




 強烈な、違和感。




<エミー>


 オマケ様が静かに私の名前を呼び、警戒を促す。

 でも、さすがにこれは、言われずとも、だ。




「............」


 私はムノーデス刑事を、じっと見つめた。

 目の前のムノーデス刑事には、今まで見てきたムノーデス刑事と違いはないように思える。

 スン、と鼻を動かし、ファンタジー嗅覚で匂いを嗅ぐ。

 こちらにも、違和感はない。

 おそらく、目の前のムノーデス刑事は、本当にムノーデス刑事。

 偽物ではない。




「さ!こんな真っ暗なところ、長居するのはごめんだよぉ?エミーちゃん、早く外に出よう?アカシテリカちゃんが、待ってるよぉ?」


「待て」


 のんびりと喋りながら、こちらに近づいて来ようとするムノーデス刑事を、私は後ずさりながら止めた。


「......どうしたのぉ?」


 ほんの少し間を置いて、ニコニコしながら首を傾げる、人当たりの良さそうなおっさん。




 私は、気づいた。

 気づいてしまった。

 違和感を覚える原因が、他にもあることに。


「私、今、サングラスも帽子も、していない」


「......そうだねぇ」


「なのに、お前、すぐに私だとわかった。なんで?」


「そりゃあ......声が聞こえたしぃ?『誰だ!?』ってぇ」


「私は、黒髪黒目」


「............」


「私は、呪い子」


「............」


「それをお前は今、初めて知ったはず。なのに顔色一つ変えない。なんで?」


「......ボクはそういうの、気にしない方だからねぇ!」


 私が警戒心を露わにして投げかける問いかけを、ムノーデス刑事は飄々とかわしていく。


<他にも、『実はこっそりと、エミーが黒髪黒目であることを晒している場面を見た』、『市場での騒ぎを事前に調べて知っていた』など、いくつも言い訳はできますね>


 ......アカシテリカのようには、いかないね。

 でも。


 こいつは......なんか怪しい。


 周囲に人がいないのだって、もしかしたら偶然かもしれない。

 でも。


 なんだか、怪しいんだ。


 しばらく続いた町暮らしで鈍っていた勘が、急速に鋭くなっていくのを感じる。

 ぼんやりと私を包んでいた、温く穏やかな......何か、空気のようなものが、冷えてはりつめていくような感覚。

 それは、とても残念なことではあるけど。

 私が生きていくには、間違いなく、必要なこと。


 とにかく、ダメだ。


 今のこいつを、信じちゃダメだ!




「そのポケットの中、何が入ってる?」


 少しずつ、少しずつ後ずさりながら問いかける。

 私はムノーデス刑事が、ずっと右手をポケットにつっこんだままであることが、気になったんだ。


「イカだよぉ?」


「イカも、入ってるかもね。でも他にも、入ってるかも。ポケット、裏返して見せて」


「............」




 私は、決して警戒心を解かなかった。

 その様子を見て。


「はああ......」


 ムノーデス刑事はため息をつきながら、がっくりとうつむいて肩を落とした。

 そうしてから、顔をあげる。


 すると、その表情は。


 それまでの、ニコニコ笑顔はどこへやら。




 ぞっとする程の......無表情。




「勘が良くて、本当、嫌になっちゃうな」


 そしてムノーデス刑事は冷たい声でそうつぶやきながら、ポケットから何かを取り出した。

 それは、深い紫色をした......宝石のような球体だった。


「それは......?」


 私がそう、問いかけた。

 次の瞬間!




「!!」




 ムノーデス刑事は、私を忌々し気に睨みつけながら、強烈な殺気を放ち始めた!


<こ、この感じは......!>


 私は、この殺気に覚えがあった!

 より詳細に言えば、殺気の乗る魔力の質に、覚えがある!

 最近で言えば、博物館の宝物庫から出た後......廊下で微かに感じたのは、この殺気だった!


 そして、それだけじゃない。

 私は以前から、何者かの視線を感じていた。

 決して、友好的なものではない視線だ。

 それと同時に......博物館で感じたものと、同質に思える殺気も!

 つまり......!




「ここ最近......ずっと私とアカシテリカを観察していたのは、お前かムノーデス!?」




 私は腰を落とし拳を構え、戦闘態勢を整えてから、叫んだ!




「ご名答......は、は、は」


 それまで隠していた己の魔力を威圧的に放出しながら......ムノーデス刑事は私の問いかけに頷き、感情の乗らない、乾いた笑い声をあげた!


「より正確に言えば......ただ観察していたわけじゃない。キミがアカシテリカちゃんと離れる隙を、うかがっていたのさ」

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― 新着の感想 ―
[一言] ムノーデス刑事が最初に出てきたときはあまりに酷い名前でびっくりしちゃったけど、まさかこの名前で黒幕だなんて……! なんという叙述トリック! というかこれは、叙述トリック、なのか?
[良い点]  (´⊙ω⊙`)(´⊙ω⊙`)(´⊙ω⊙`)これまでむらべ先生の名付けはほぼその人物がどういった人物で背景はこんな感じだよとパーペキに書き表していたので1200%ムノーデス刑事はシリアスな…
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