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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
24 美少女探偵アカシテリカ編!
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565 【美少女探偵アカシテリカ!】旧帝都フロゼンド博物館殺人事件3

「よぉーし!これで、一件落着だねぇ!今回もお見事でした、アカシテリカちゃん!あーーー、お腹空いたぁ!」




 エミーがジミーヤックを殴り飛ばし......真犯人がぐったりと動かなくなったのを確認してから。

 ムノーデス刑事はポケットからイカを取り出しそれを齧りながら、おどけるように言った。


「......まだ、あなたのお仕事は残っているでしょう。ジミーヤックさんの犯行動機が、不明瞭です。その取り調べは、警察の皆さんのお仕事だと思いますが、何にせよまずは......」


 そんなムノーデス刑事を呆れて睨みながらアカシテリカはため息をつき、そして。


「遅くなりましたが......ガーイシャーさんの、ご冥福を祈りましょう」


 そう言ってガーイシャー副館長の遺体に黙祷を捧げた。


 ラキガター館長も、黙って目をつぶる。

 一筋、涙がこぼれる。

 ヤルキネックは、黙祷しながら静かにため息をついた。


 周囲にいた警察官たちも、同じく一斉に黙祷を捧げた。

 ムノーデス刑事はその様をキョロキョロと確認して、同じような姿勢をとった。


 エミーも同じくキョロキョロしてから、黙祷の動作を真似た。




 女子更衣室前の廊下は......厳かな静寂に包まれた。


 しかしながら。


 そんな......祈りの空間に。




「......戻ってこいッ!『マーダーディスク』ッ!!」




 そんな絶叫が、響きわたったのだ!

 そして、間髪入れず!


 チュイイイイイーーーーーーンッ!!


 甲高い音を鳴らしながら壁に刺さっていた虹色の円盤が高速回転を始め......空中へと飛び出してふわりと浮かんだかと思うと、廊下突き当りの方に向かって宙を滑るように移動し始めた。

 その円盤の向かう先に、立っているのは......何とか壁からその身をはがし、再び立ちあがったジミーヤックだ!


「ケッ......ケケケッ!油断、したなッ!オレ様は......オレ様たちは、倒れねぇ!理想の帝国を、取り戻すまではッ!!」


 ジミーヤックは空になった回復魔法薬の瓶を投げ捨てると、口元の血の跡をゴシリと拳で拭い去り、狂ったように笑った!

 『マーダーディスク』はそんなジミーヤックの周囲に浮かびながら、まるで彼を守るかのように旋回している!


「ちょっと、手加減しすぎた......」


 エミーは無表情に、しかし悔し気な口調で、そうつぶやいた。




「オレ様『たち』、そして『理想の帝国』と、きましたか......もしかしなくてもあなた、帝政復古主義者だったと、言うわけですね」


「その通りだッ!オレ様の真の名は、ジミーヤック・トモイキヤ!悪しき体制派を斬り裂く正義の刃、トモイキヤ侯爵であるッ!!」


 死者への祈りを邪魔する無法者を睨みつけながら、アカシテリカはその正体を素早く看破した。

 一方のジミーヤックは恥ずかしげもなく、名乗りをあげる。


「トモイキヤ、か......人を殺しておいて、何が正義の刃だ、悪政領主の末裔......!」


 激しい怒りを押し殺しながら、ラキガター館長は低く良く通る声で、ジミーヤックを罵った。

 もともと筋骨隆々であったその肉体は、怒りに呼応してかさらにパンプアップし、パツンと音をたててボタンが弾け飛ぶ!


「黙れ体制派の犬ッ!!尊き方々に、正しく玉座へとお戻りいただくッ!それを正義と言わずして何と呼ぶッ!!」


「貴様らはッ!!貴族としての利権“だけ”を取り戻し、甘い汁を吸いたいだけではないかッ!!」


「黙れ体制派の犬ッ!!侯爵として、当然の利益を享受することの、何が悪いッ!!なぜ侯爵であるはずのオレ様が、冒険者だの警備員だのせねばならんッ!!こんな世の中など......おかしいッ!!」


「おかしいのは貴様だ、無能領主の末裔ッ!!」


「黙れ体制派の犬ッ!!」


 ラキガター館長とジミーヤックの罵りあいは一向に収まる気配がなく、また議論が交わる気配もない!

 それを見てアカシテリカは、皮肉気に微笑んでから。


「......旧皇室、スゲーワ家の人間も、あなたたち帝政復古主義者の皆さんには、非常に迷惑しているんですけどね」


 そう、つぶやいた。




「黙れ美少女探偵ッ!!それは体制派が自らの統治に正当性を持たせるために作りあげた、まやかしであるッ!!捏造された、お言葉なのだッ!!」


 その言葉を聞き、ジミーヤックは即座にいきりたち、アカシテリカを睨みつけた!


「いかに美少女探偵と言えど、所詮は小娘ッ!!その目は曇り、真実が何も、見えていないッ!!」


「......あなたの犯行は、見抜きましたが?」


「............」


 ジミーヤックは一瞬で論破され、黙った。

 しかし、すぐにアカシテリカをバカにするように、いやらしく笑った。


「ケケケ......いや、見抜いていない。全ては」


 そして人差し指をピンと上に向かって伸ばして、周囲を旋回していた虹色の円盤を、中心部の穴に指を刺しこむ形で回収した。


「貴様はこの魔盤『マーダーディスク』を、魔武器であると推測したようだが......正確に言えば、そうではない」


「何ですって?」


「『魔武器としても使える』というのが、正解だッ!!超古代魔導文明の遺物は、頑丈だからなッ!!ケケケケケケッ!!」




 ......そう言って不気味に笑うと、ジミーヤックは突然アカシテリカたちに背を向け、廊下を走り出した!


「追いましょう!」


 アカシテリカは即座にそう判断し、自らもジミーヤックを追って駆けだした。




「............」


 その数歩先を先行する形で、エミーも走り出す。

 不意に虹色殺人円盤による奇襲が行われても、アカシテリカを守りきるための位置取りである。


(殺してしまえば、楽なのに)


 正直に言うと、殺伐とした人生を歩んできているエミーとしては、そう思わないでもないのだ。

 ジミーヤックは確かな実力を持つ戦士ではあるが、事実として、彼程度であればエミーは、その気になれば瞬く間に八つ裂きにすることができるだろう。




 しかしアカシテリカは、探偵だ。


 探偵は、殺戮を求めない。


 相手を過剰に傷つけることも、だめだ。




 エミーにとってはその匙加減が非常に難しく、故にこそこの度の戦闘において、彼女は常に後手に回らざるを得ない状況に陥っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  読者も読んでるうちにエミーさんと同じレベルの蛮性に至ってしまったのか『プチっとやれば早いのになー』なんて思ってたら文明社会では“アカン”と言う事をそのエミーさんの内心で表されては後手後手…
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