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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
22 始まりの大草原と三人の女編!
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500 巨大ユムシと三人の女3

 グランドアーマードユムシは、じっと魔力を回復させながら、イライラとしていた。


 攻撃を加えてもなお、死ぬでもなく逃げるでもなく、周りをうろちょろと鬱陶しく動く、小さな生き物たちに。


 特に、あの一番小さくて黒いのは、むかつく。

 こちらが黙っているのを良いことに、殴るわ蹴るわと好き放題だ。

 しかも一番小さい癖に、あれの攻撃は、ちょっとだけ痛い。


 ......考えていると、さらにイライラとしてきた。


「......ユ、ギャア!」


 ちょうど、その時だ。

 グランドアーマードユムシは、己の魔力が概ね回復したことを自覚した。


「ユギャア......」


 同時に、それまで抑えていた原始的な殺意が全身からあふれ出す。

 今こそ、殺戮の時だ。

 皆、ぷちっと潰してやる。


「ユギャアアアアーーーーーーッ!!」


 彼はその殺意に突き動かされ、威圧的に鎌首をもたげ、絶叫を放った!


 すると......それと同時に!




「らあああああーーーッ!!」




 一番小さくて黒いのが、こちらに向かって駆け寄って来た!


「ユギャアッ!!」


 真っ向勝負か!?

 望むところよ!!


 グランドアーマードユムシは周囲にコドロキゾ鉱石の欠片を浮かばせて、黒いのに向けて、先ほどと比べて弾速が二倍以上向上した【魔鉱石弾】を一斉に射撃した!


 ダガガガガガッ!!


「らッ、らッ......らああッ!!」


 しかし黒いのは、ジグザグと不規則に進路を変更しながら走り抜け、【魔鉱石弾】の狙いを絞らせない!

 全ての攻撃をかわした黒いのは瞬く間にグランドアーマードユムシの近くにまで到達し!


「らあああああッ!!」


 大ジャンプ!


 そして!




 ......グランドアーマードユムシの頭部に音もなく着地し。


 そこに、ぺたりと。


 うつぶせになって......はりついた。




「ユギャ?」


 てっきり殴られるのかと思っていたグランドアーマードユムシは、その衝撃がないことにまず困惑した。

 そして次に、この黒いのの意図がわからず、困惑した。


 密着すれば、攻撃されないとでも思ったか?

 バカめ。


 そしてそう嘲笑いながら、黒いのに向けて、次なる【魔鉱石弾】射出の準備を始めた。


 ......その時だった。




 ピリッ。




 痒みとも、痛みともとれる、とても小さな刺激が。

 彼の全身に、走ったのだ。




「ユ、ユギャッ?」


 正体不明のその刺激に動揺し、グランドアーマードユムシは身じろぎをした。


 すると、その小さな動きだけで。


 彼の身を守る、鉱石の鎧が......ボロボロとはがれ、零れ落ち始めたではないか!


「ユギャアアアアーーーーーーッ!?」


 訳のわからぬ、この事態!

 グランドアーマードユムシは、混乱と羞恥のあまり、絶叫した!




◇ ◇ ◇




 この時、彼の体に何が起きていたのか。

 エミーは一体、何をしたのか。


 その答えは......【剥離】である。


 エミーはかつてマーツ男爵家でメイド見習いをしている時に習得した異能、【剥離】を使用したのだ。


 通常は汚れを浮かせて落とすだけの、家事に役立つこの異能だが。

 膨大な魔力量を誇るエミーが、全力で使えば、どうなるか。


 その答えが、先程の結果だ。


 ......巨大ユムシの鎧を、はがすことができるのだ!




 とは言え、これは簡単な行いではない。

 グランドアーマードユムシは家の床や壁とは違って、生きている。

 しかも彼も、膨大な魔力持ちだ。

 本能的に、必死になって魔力を操作し、エミーの【剥離】に抵抗する!


「ぐ......ううう......!」


 そんな彼に己の魔力を注ぎこみ【剥離】の効果を無理やり発現させることは、エミーにとっても重労働だ。

 彼女は額に玉のような汗を浮かべ、歯を食いしばり唸りながら、必死になって【剥離】を発動し続けた。




「ユギャアアアアッ!」


 しかもこのグランドアーマードユムシ、すぐに鎧がボロボロとはがれていく原因がエミーであることに、気づいた。

 故に、物理的にも必死に抵抗する!

 頭をブンブンと振り回し、エミーを振り落とそうとする!


「う、う、う、ああああああ......!!」


 しかしエミーは、はがれない!

 その理由、いつもであれば【紙魚】ではりついているからだが、今回は違う。

 【紙魚】とは真逆の作用を発現する【剥離】を全力で使用するために、エミーは今回、純粋に物理的な力技で巨大ユムシにはりついていた。

 つまり、ただただ全力でもって、単純にしがみついていた!


 しかしその全力が、規格外なのだ。


 振り回されたくらいでは、彼女は決して吹き飛ばされない!


 ボロボロッ!


 その代わりに、はがれたコドロキゾ鉱石の欠片が、宙を舞う!




「ユギャアアアアッ!!」


 次にグランドアーマードユムシは、【魔鉱石弾】を用いて、自分ごとエミーを射撃し始めた。

 彼自身は、未だ鎧は残っているため、この程度痛くも痒くもない。

 しかし、この黒いのにとっては、違うはずだ。

 殺せずとも、何やら得体の知れない術の行使に集中している今ならば、ダメージはあるはず!


 ダガガガガガッ!!


 そんな算段のもと放たれた【魔鉱石弾】が、しがみついているために動けないエミーの体に、次々と命中する!


「うぐ、あああ、ああああああ......!!」


 しかしやはり、エミーはその手を、離さないのだ!

 常人であれば、一撃食らえば体が弾け飛び死ぬような【魔鉱石弾】を何十とその背中に受けながら、呻きながらも、【剥離】の魔力を注ぎ続けるのだ!


 ボロボロ、ボロボロッ!


 さらなるコドロキゾ鉱石が、グランドアーマードユムシの体から、はがれ落ちた!




「ユギャアアアアッ!?」


 グランドアーマードユムシは、ついにはこの黒いのに恐怖を感じ、滅茶苦茶に暴れ始めた!

 ごろごろ、ごろごろと大地を転がって、黒いのを押し潰そうとした!


「あああ、あああ......らあああああーーーーーーッ!!」


 しかし、潰れない!

 黒いのは、巨大なグランドアーマードユムシの質量でもってのしかかっても!

 決して、潰れない!


 丈夫過ぎる!!


 そして彼が暴れれば、暴れるほど!


 ボロボロ、ボロボロ、ボロボロと!


 彼の鎧が、はがれ落ちていくのだ!


 はがれ落ちた鉱石の欠片を再度はりつけようとしても、それもうまくいかない。

 何故なら現在のグランドアーマードユムシの体表は、エミーの【剥離】の力を発現し続ける魔力で、覆われているからだ。

 エミーが彼の体から離れれば、彼の鎧は瞬時に復活する。

 しかし、エミーが、はがれない!


 そして、ついに。


 ......ついに!




 グランドアーマードユムシは......丸裸になった。




 激しく発光する、その本体が。


 満点の星空の下に、晒された!




「ユギャアアアアーーーーーーッ!?」




 恐怖!

 怒り!

 羞恥!


 ごちゃまぜになった感情が、彼にこの日一番の絶叫を発せさせた!




「ア!?」




 そして、この時。


 彼は、ようやく。


 黒いのが、彼の鎧をはがしている間、すっかりその存在を忘れていた残りの小さな生き物のことを、思い出した。


 何故なら、彼の魔力的視界に。




 その全身からあふれ出す魔力によって黄金色に光り輝く、シメガマモの姿が映ったからだ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 500話おめでとうございます。
[良い点]  500回目の大台ありがとうございまーす♪\(^▽^)/弛まず歩み続けたからこその偉大なるマイルストンさすがですむらべ先生!! [気になる点]  まさか蟲に羞恥心があるとは思わず笑ってしま…
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