プロローグ
投稿しました。
「謎の少女『姫川 雪菜』編」です
「おぅい、斉藤」
帰り際、担任の桜木 鈴香に呼び止められた。
「なんですか? 」
「あー、その、なんだ・・・・『姫川』の事なんだけどさ」
『姫川 雪菜』
同じ生徒会役員で唯一の同学年の少女。
口数が少なく、あまり人と関わらない。
この前泣いてる姿を見られてるから気まずいんだよな〜。
あれから一度も喋ってないし。
「雪ちゃんがどうかしたんですか? 」
「あの娘、少しクラスで浮いちゃってるだろ? 」
「まぁ、和服ですしね」
「いや、三年生とかに鎧着て登校してる奴もいるからそれは構わないんだけどさ」
「なにそれ見たい! 」
鎧とか男のロマンじゃん!!
「お前だって鎧持ってるだろ」
「えっ!? どこどこ!? 」
「ほれ」
むんずっと股間を掴まれた。
「きゃー! せんせいえっちー!! 」
「何言ってんだ、お前が初期装備の鎧で我慢してるから先生が新しいゴム製の鎧をだな・・・・」
「あ、雪ちゃんの話続けてもらえます? 」
この人こんなんだからいつまでも独身なんだろうな。
「あぁそうそう、それでな? あの娘、もう少しクラスに馴染める様にしてくれないかな?? 」
「えぇっ!? 」
「無理か? 」
「なんで僕が・・・・」
「だって同じ生徒会だろ? 」
いや、何その理屈?
もうちょいがんばろうぜ??
「金太とかは? 」
「あぁ、あいつな。一回話しかけてるの見たけど一言も返事返さずに帰って行ったな。金太は真っ白に燃え尽きてたよ」
「金太負けるな! 」
「どうした急に『キン○マ蹴るな』って、私蹴ってないだろ」
この人はすぐ下ネタに変換する。
「まぁ、良いですよ。雪ちゃん可愛いし」
「ほぅ? 」
「美人だしスタイル良いし着物似合うし、なんか、こう、バインバイーンって、わかります? 」
「私もかなりのバインバイーンだけど? 」
「それは垂れ気味」
「テメェこの野郎ッ!? 」
しまった!
「垂れ乳」は地雷だったか!!
担任に教卓付近で裸絞めされる5月中旬。
背中に当たる柔らかな2つの丘を感じつつ、死期を悟る。
「先生」
突然、一人の女の子の声が聞こえて来た。
目を向けると、そこには件の『姫川 雪菜』が立っていた。
「私、いつまで待てばいいですか? 」
「あぁ、そうだったそうだった。待たせてたんだよな」
え、自分で待たせといて忘れてたの?
ひどい教師だな。
「よっし、姫川、斉藤。お前ら今日一緒に帰れ」
・・・・え?
「ちょちょちょ、え、なんで? 」
「え? だって、嬉しいだろ?? こんな美少女と帰れて」
「そりゃあ、もう。でも、いいんですかい? 」
ちらっと雪ちゃんの方を見る。
すると、聞いているのかいないのか、ずっと無表情で聞いていた。
「姫川、良いよな? 」
「はい」
「良いんだ・・・・」
「じゃあ、頼んだぞ? あ、エッチな事はしても良いけどちゃんと避妊しろよ? 」
「わかってるって」
「するの!? 」
しないよ?
「ん〜、じゃあ、どうする? 帰る?? 」
「うん」
正直意外だ。
彼女、噂では毎日告白されてるらしいからな。
結構気難しい娘だからな。断ると思ってた。
「よ〜し、じゃあかえろー! 」
「うん」
この娘、「うん」しか言わないな。
「雪ちゃん好きなご飯は? 」
「あいす」
「趣味は? 」
「ないしょ」
「特技は? 」
「ないしょ」
「雪ちゃん他に一緒に帰りたい子いる? 」
「いない」
「僕の事どう思ってる? 」
「・・・・」
冗談で聞いてみたら真顔で見つめられた。
な、なんだろう?
僕まずい事聞いたかな?
「斉藤くん、自分が主人公だったら、どう思う? 」
「え? どうゆうこと?? 」
僕にはその質問の意味がわからなかった。
う〜ん、「主人公だったら」?
「僕は、そうゆうの向いてないんじゃないかな?」
僕は負け犬だ。
僕は何もできない。
僕はそれを理解している。
「そっか」
雪ちゃんは少し残念そうに俯くと、またいつも通りの無表情に戻っていた。
僕はまだ知らなかった。
この時の僕は、きっと浮かれていたんだと思う。
この少女が、とんでもない秘密を抱えていた事を。
そして、自分が今まで感じた事も無い恐怖に襲われる事をーーーー
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