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物語異能の負け犬男子  作者: 柴犬男
ジキルとハイドと姉と弟
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エピローグ

副会長編投稿しました。

『プルートー』は、帰る家が無いらしく、とりあえず我が家に連れて来る事にした。


【私、ここにいていいのか? 】

「いや、ここにいなきゃダメだ。常に僕の視界の中にいろ」

【え、えぇっ!? 無茶言うな!! 】

「冗談だよ、冗談」

【お、おう、そうなのか・・・・】


『プルートー』は、話してみると案外からかいがいのある可愛い女の子だった。


【わ、私はどこで寝ればいいのだ? 】

「よし、僕と一緒に寝よう」

【うげ、お前犬臭いから嫌だぞ・・・・】

「は? 逆らうのか貴様」

【ヒッ!? も、ももか! 助けて!! 】

「はぁ・・・・はぁ・・・・かわいいねこちゃん、わんちゃん・・・・♡ 」

【うわ! こいつの方が危険か!! 】

「「さぁ、どっちを選ぶ? 」」

【う、うぐぅ・・・・】


うん、可愛い。

可愛い女の子って困らせたくなるよね。


【ひ、陽で・・・・】

「ぃよっしゃーーーーッ!!!! 」

「くっそォォォォォオッ!!!! 」


奇声をあげる僕達に『プルートー』がビクッと震える。


「なんで!? なんでわたしじゃダメなの!? 」

【陽は、やさしい。でも、ももかは、怖い】

「来世で会いましょう」

「やめろかいちょーっ! 警察に疑われるのはきっと僕だッ!! 」


『プルートー』の言葉に傷付いたかいちょーがカッターを持ってお風呂場に向かおうとしたので必死に止めた。


不安は残るが、きっと僕の生活に潤いを与えてくれるに違いない。


・・・・くれるかなぁ?


☆☆☆


学校に着くと、何事も無かったかの様に日常が続いていた


どこを探しても、誰に尋ねても『伏見 翔』と言う人間が存在しないかの様な態度を取られた。


金太に「『伏見 翔』って、誰っスか・・・・? 」と聞かれた時はさすがにキツかった。


翔は、決して目立つ方の人間では無かった。


パッとしないメガネ姿に常に「努力をせずにモテる方法」を研究する少年。

その姿はもはや清々しくも思えていた。


その少年が、『死んだ』。


それなのに、世界は何事も無かったかの様に回っている。


僕は、その日の授業は「体調が悪い」と言って教室を抜け出した。

嘘は吐いていない。

でも、保健室に行く気にもなれなかったので屋上でしゃがみ込み、空を眺めていた。


あぁ、平和だ。


空はこんなにも青く、澄み渡っている。


それなのに、この空の下、理由の無い悪意によってたくさんの人が殺され、忘れられていく。


これが現実だった。


幸せな時間の中で、忘れかけていたのに。


改めて理解させられた。


僕の所為で、たくさんの人が死んでいた。


僕に関わった所為で。


僕が何をしたと言うのだ?


気付くと、僕の目からは涙が流れていた。


「さいとうくん・・・・? 」


名前を呼ばれ、振り返ると姫川 雪菜が立っていた。


「やぁ、雪菜ちゃん。まだ授業中だよ? 不良さんになっちゃうよ?? 」

「それは、さいとうくんも一緒でしょ? 」

「あはは、それもそうか」


ここで話が終わってしまい、沈黙が続く。


「ねぇ」


意外にも、先に話しかけてきたのは雪菜ちゃんだった。


「なに? 」

「どうして泣いてたの? 」

「・・・・」


答えられない。


答えても、きっとわからない。


「もしかして、『伏見くん』の事・・・・? 」


え?


「雪菜ちゃん、翔の事、覚えてる、の? 」

「うん、クラスメイトだもの。あたりまえじゃない」


よかった。


そうか、あいつの事を覚えてる奴はちゃんといた。


それがとても嬉しかった。


悔しいけれど、僕はまた泣いてしまった。

些細な抵抗に顔を膝に埋めながら。


そんな僕を見て、雪菜ちゃんがポンポンと頭を撫でているのを感じた。



☆☆☆


私は、酷い事をした。


私は人を殺した。


いや、食べ尽くした。


本来なら罰せられるべき人間。


いや、猫だ。


そんな私を彼は生かした。


私は彼に生かされた。


私は誓おう。


彼を守る。


私は守ろう。


彼の未来を。


私は彼に殺される。


それなら、最後は彼の為に死のう。


彼を苦しめる全ての悪意を


私が食い尽くそう。


「にゃあちゃ〜ん? はぁ、はぁ・・・・ご飯でちゅよ〜?? どこでちゅか〜?? 」


・・・・とりあえず、この場を生き延びよう。


迫り来るももかから逃げつつ、そう誓う私であった。


☆☆☆


私の妹の仇はわかった。


私は斉藤 月夜が憎い。


確かに昔はよくしてもらっていた。


だけど、あいつのやった事は許されない事だ。


私はきっと奴を許さないだろう。


陽くんには悪いけれど、あいつは必ず私が倒す。


ごめんね、志姫ちゃん。


こんな事しても、貴女は喜ばないと思う。


でも、気が済まないの。


あいつを許せる程、私は出来た人間じゃないのよ?


「強く、ならなくちゃ。」


斉藤 月夜は、必ず陽くんを狙うだろう。


陽くんを、精神的に、肉体的にどこまでも追い詰めようとするだろう。


でもそうはさせない。


志姫ちゃんの様な目には合わせない。


見ていて、志姫ちゃん。


私、必ず彼を救うわ。


☆☆☆


「陽くんおはよう。あら? こんにちはかな? まぁいいか、今日もいい天気ね〜。調子はどう? 朝ご飯は食べた? ティッシュとハンカチは持った?? どこに行くの? おトイレ? 一人で行ける? ん? ん?? 」


あの日からも詩織さんのお世話癖は続行している。

いや、まぁ悪い事ではないんだけど


「詩織さん、どこまで着いてくる気ですか? 」

「ちゃんとおしっこ出たか確認してあげないと! 残尿感なんて許さないわ!! 」

「なるほど、帰ってください」


さすがにトイレには着いてこないでくれ・・・・。


お世話癖、加速してないか?


「あぁ、ワンコくん、ここにいたんだ? 」

「なんでかいちょーが入ってくるんですかね? 」

「生徒会長だし? 」

「いや、ダメでしょ」


ほら、周りの男子が萎縮してるじゃん。

やめてあげてよぅ。


【ひ、陽! なんか、お留守番してたらな!? 黒い虫捕まえた!! すごくない!? めっちゃ早かったんだよ!? すごくない!? 】


トイレの窓がガラッと開いて家で留守番してるはずの『プルートー』が入ってくる。


ねぇ、ここ男子トイレだよ?

もうちょい自重しようぜ??


そんな二人と一匹を苦笑いを浮かべながら見つめる。


僕は、この日常が好きだ。


楽しい日常はきっとこれからも続く。


でも、この毎日は「誰かが苦しんだ」と言う前提で送られている事を忘れてはならない。


父さん


母さん


志姫ちゃん



僕はたくさんの人を失っていた。


だからせめて、この幸せな時間を守る為に生きる。


「おしっこしながらかっこつけた語りしてるのってめちゃくちゃシュールだね」

「そこは言わないでおこうぜ? 」



☆☆☆














お待たせ


ようやく始まるね


『ひなくん』

とりあえず解説を

志姫ちゃんは元々「少し二面性のある恋する女の子」でした。

『ハイド』とも口喧嘩はするものの仲は悪くはありませんでした。

しかし、月夜に目を付けられた事で精神的に追い詰められ自ら死を選びました。


『ハイド』は基本的には「人の悪意」から生まれた存在なので、志姫の感じる気持ちを歪んで捉えてしまいます。

そして、志姫が死ぬ間際の「本当は陽と結ばれたかった」と言う思いを歪ませ、「陽が振り向いてくれなかったから自分は死んだ」と考えました。

そして志姫の死体から抜き取られた『栞』は月夜に盗まれ、悪用されました。


翔くんは、元々「陽の日常に存在する程々の距離感の友人」と言う立場でした。

しかし、月夜に目を付けられた事で殺害され、『ハイド』の栞を差し込まれ暴れ出しました。


月夜の事ですが。

彼女の能力は『プルートー』ではありません。『プルートー』もなんらかの事件から月夜に関わる事になってしまい、協力していました。その話はまた後ほど投稿するかもしれません。


最後に、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

まだまだ至らない部分もありますがこれからも読み続けてくださるとありがたいです。

次は謎多き少女「姫川 雪菜」についてを書く予定です。

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