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物語異能の負け犬男子  作者: 柴犬男
ジキルとハイドと姉と弟
24/38

3話 前

投稿しました。

少し短めです。よろしくお願いします。

詩織さんの事で悩みながら授業課題を解いていると、お姉ちゃんが部屋にひょこっと入ってきた。


「ひーくーん、ご飯まだ〜? お姉ちゃんお腹空いた〜〜」


我が家のお姉さんはどうしてこう腹ペコ魔人なのだろう?


「お姉ちゃんさっきご飯食べたばっかりでしょう? 」

「あれぇ? そうだったかな?? 」

「うん、僕が学校行く前にも聞いてたよ。」

「う〜〜ん? 晩御飯食べたかなぁ?? 」


『学校行く前』だから朝御飯だろうに。

あの人朝から何も食べてないのか。

いいや、黙ってよう。


しばらくすると、今度はかいちょーが部屋にひょこっと入ってきた。カレーと納豆を持って。


「ワンコくん聞いてくれ。カレーにな? 納豆をぶち込むだろう? ・・・・美味い」


なんでこの人わざわざ僕の部屋でカレー食ってんだ・・・・?

あぁ、昨日作ったんだっけ?

一晩寝かすと美味いよね、カレー。


「先輩その納豆カレーちゃんと全部食べてくださいね? 」

「うん、もちろんだよ。なんかね、あれ思い出すね。小学校の給食。」

「学校カレー? 」

「そう、一緒にさ、揚げ豆が出てくるだろう? あれも全部カレーにぶち込んでたんだ、私。誰よりも早くおかわりする為に。あれ思い出した。ほれ、食べてみ?」


先輩にスプーンを差し出されたので食べてみる。


「あぁ、意外とイケるね。」

「お、間接キス」

「やったね」

「いぇーい」

「てか、何回もキスしてるから間接キスぐらいじゃドキドキしないね」

「それな」


まったく、間接キスでドキドキしてた頃の僕のぴゅあハートを返せ。


「ひーくーん、お姉ちゃんお風呂入るよ〜? 」


え、なんで報告した?


「ひーくんも入る? 」


今度はお姉ちゃんがバスタオル姿でひょこっと顔を出してきた。


「お姉ちゃん太った? 」

「う、ぐぅ・・・・」

「早く入ってきなさい? 」

「は〜い・・・・」


全く、このぐうたら姉さんは。


「ワンコくんのお義姉さんってさ、何者なの? 」

「今『お義姉さん』って言いませんでした? 」

「言ってないよ?? 」


あれ? おかしいな??


「一応どっかの製薬会社で働いてるらしいんですけど、どうだか・・・・」

「なんか、胡散臭いよね」


え、人の姉に『胡散臭い』とか言う? 普通??


まぁ、確かに胡散臭いと思う。


帰って来てからずっと寝てるし、起きたらテレビ見てるし、美人なのにずっとスウェットだし、『弟妹大好き同盟』とかの会長やってるらしいし、なにより、


ーーーー僕の姉だって証拠が何1つ無い。


顔だって似てない。性格も似てない。いくら離れて暮らしてたからって、家中探しても写真の一枚も無い。戸籍も調べてみたけれど、なぜか僕以外の家族全員が記名されていなかった。


僕が記憶が曖昧だからなのかもしれない。


でも、この感覚はなんだろう?


家族なのに、まるで『別の生き物』の様な。


『アリス』とはまた違った恐ろしさを感じる。


「気をつけてね」


いつになく真面目な顔でかいちょーが呟く。


「君は、『嘘吐き』だから。」


言葉の意味はよくわからなかったけれど、僕はとりあえず心に留めておくことにした。


☆☆☆


シャーッと水が勢いよく流れる音が響く。

女性がシャワーを浴びているのだ。


「〜〜〜♪ 」


機嫌がいいのか女は鼻歌を歌っていた。

すると、湯気が一ヶ所に集まり始め、猫の形へと変化していく。


【えらく機嫌が良いのね? 】

「あら、いたの? プルートー」


女は、猫を『プルートー』と呼んだ。


【あの実験動物の所為? 】

「えぇ! あの子は素晴らしいわ!! 『あの方』達に接触したと言うのに、まともな生活を送っている!! こんなの、普通じゃありえないわ!! 」


女が突然叫ぶので黒猫は驚き一歩たじろぐ。


【随分と気に入っているのね。『もう1匹』の方はいいの? 】

「そうね、『もう1匹』の方は、少し厄介だから関わりたく無いのよ。」


女が舌を出し、あからさまに嫌悪感をアピールする。


【あら珍しい。貴女は面倒事には積極的に関わっていく性格だと思っていたのに】

「う〜ん、面倒事は好きよ? でも、『あの子』、少し従順過ぎるのよね〜・・・・」

【あぁ、理解したわ。それってーーーー】


女と猫は顔を見合い、ニタァっと笑って叫ぶ。


「【つまらない】」


クスクスと、どちらともなく微笑み出す。


「さぁ、待っててね、ひーくん。『優しいお姉さん』は今日でお終い。明日からーーーー」



女ーー『斉藤 月夜』がキュッとシャワーの蛇口を捻る。


「ーーーー楽しい楽しい『講義(殺戮)』のお時間よ? ♪」

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