3話 前
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少し短めです。よろしくお願いします。
詩織さんの事で悩みながら授業課題を解いていると、お姉ちゃんが部屋にひょこっと入ってきた。
「ひーくーん、ご飯まだ〜? お姉ちゃんお腹空いた〜〜」
我が家のお姉さんはどうしてこう腹ペコ魔人なのだろう?
「お姉ちゃんさっきご飯食べたばっかりでしょう? 」
「あれぇ? そうだったかな?? 」
「うん、僕が学校行く前にも聞いてたよ。」
「う〜〜ん? 晩御飯食べたかなぁ?? 」
『学校行く前』だから朝御飯だろうに。
あの人朝から何も食べてないのか。
いいや、黙ってよう。
しばらくすると、今度はかいちょーが部屋にひょこっと入ってきた。カレーと納豆を持って。
「ワンコくん聞いてくれ。カレーにな? 納豆をぶち込むだろう? ・・・・美味い」
なんでこの人わざわざ僕の部屋でカレー食ってんだ・・・・?
あぁ、昨日作ったんだっけ?
一晩寝かすと美味いよね、カレー。
「先輩その納豆カレーちゃんと全部食べてくださいね? 」
「うん、もちろんだよ。なんかね、あれ思い出すね。小学校の給食。」
「学校カレー? 」
「そう、一緒にさ、揚げ豆が出てくるだろう? あれも全部カレーにぶち込んでたんだ、私。誰よりも早くおかわりする為に。あれ思い出した。ほれ、食べてみ?」
先輩にスプーンを差し出されたので食べてみる。
「あぁ、意外とイケるね。」
「お、間接キス」
「やったね」
「いぇーい」
「てか、何回もキスしてるから間接キスぐらいじゃドキドキしないね」
「それな」
まったく、間接キスでドキドキしてた頃の僕のぴゅあハートを返せ。
「ひーくーん、お姉ちゃんお風呂入るよ〜? 」
え、なんで報告した?
「ひーくんも入る? 」
今度はお姉ちゃんがバスタオル姿でひょこっと顔を出してきた。
「お姉ちゃん太った? 」
「う、ぐぅ・・・・」
「早く入ってきなさい? 」
「は〜い・・・・」
全く、このぐうたら姉さんは。
「ワンコくんのお義姉さんってさ、何者なの? 」
「今『お義姉さん』って言いませんでした? 」
「言ってないよ?? 」
あれ? おかしいな??
「一応どっかの製薬会社で働いてるらしいんですけど、どうだか・・・・」
「なんか、胡散臭いよね」
え、人の姉に『胡散臭い』とか言う? 普通??
まぁ、確かに胡散臭いと思う。
帰って来てからずっと寝てるし、起きたらテレビ見てるし、美人なのにずっとスウェットだし、『弟妹大好き同盟』とかの会長やってるらしいし、なにより、
ーーーー僕の姉だって証拠が何1つ無い。
顔だって似てない。性格も似てない。いくら離れて暮らしてたからって、家中探しても写真の一枚も無い。戸籍も調べてみたけれど、なぜか僕以外の家族全員が記名されていなかった。
僕が記憶が曖昧だからなのかもしれない。
でも、この感覚はなんだろう?
家族なのに、まるで『別の生き物』の様な。
『アリス』とはまた違った恐ろしさを感じる。
「気をつけてね」
いつになく真面目な顔でかいちょーが呟く。
「君は、『嘘吐き』だから。」
言葉の意味はよくわからなかったけれど、僕はとりあえず心に留めておくことにした。
☆☆☆
シャーッと水が勢いよく流れる音が響く。
女性がシャワーを浴びているのだ。
「〜〜〜♪ 」
機嫌がいいのか女は鼻歌を歌っていた。
すると、湯気が一ヶ所に集まり始め、猫の形へと変化していく。
【えらく機嫌が良いのね? 】
「あら、いたの? プルートー」
女は、猫を『プルートー』と呼んだ。
【あの実験動物の所為? 】
「えぇ! あの子は素晴らしいわ!! 『あの方』達に接触したと言うのに、まともな生活を送っている!! こんなの、普通じゃありえないわ!! 」
女が突然叫ぶので黒猫は驚き一歩たじろぐ。
【随分と気に入っているのね。『もう1匹』の方はいいの? 】
「そうね、『もう1匹』の方は、少し厄介だから関わりたく無いのよ。」
女が舌を出し、あからさまに嫌悪感をアピールする。
【あら珍しい。貴女は面倒事には積極的に関わっていく性格だと思っていたのに】
「う〜ん、面倒事は好きよ? でも、『あの子』、少し従順過ぎるのよね〜・・・・」
【あぁ、理解したわ。それってーーーー】
女と猫は顔を見合い、ニタァっと笑って叫ぶ。
「【つまらない】」
クスクスと、どちらともなく微笑み出す。
「さぁ、待っててね、ひーくん。『優しいお姉さん』は今日でお終い。明日からーーーー」
女ーー『斉藤 月夜』がキュッとシャワーの蛇口を捻る。
「ーーーー楽しい楽しい『講義(殺戮)』のお時間よ? ♪」
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