モフモフは誰のモノの巻
ジャスティスは全身に魔法を受け止め、黒き魔女ににじり寄る。
「な、何だ! く、来るな!」
「黒き魔女よ……いや、クレアよ。本当はわかっているはずだ。悪しき心も、善なる心もお前自身だということを……」
「う、うるさい。それ以上近付くと命はないぞ」
「いや、お前には出来ないはずだ」
ジャスティスは、悪しきクレアをそっと抱き締めた。
「な、何をする離せ」
ジャスティスは、悪しきクレアの言葉を無視し、自らの腕に収め唇を重ねた。
「う……うぐ……や……め……て」
ジャスティスの抱き締める力は、より一層強くなる。
唇を重ねることにより、次第に悪しきクレアの力は弱まりジャスティスに身を委ね始めた。
「ジャスティス……いえ、ジェイム。貴方の言う通りよ……あたしが間違っていた」
悪しきクレアはそう言うと、ジャスティスの懐にいたハムスターになったクレアを抱え込んだ。
すると、突然ロザリオが光だし、悪しきクレアとハムスターのクレアは融合されていった。
一つになったクレアは、気を失うように倒れ込む。
それをジャスティスは、優しく再び抱き締めた。
「あたし……」
「どうやら、もとに戻ったようだな……」
「ジェイム……ごめんなさい……あたし……」
「何も言うな……人は誰でも悪しき心を持っているものだ」
ジャスティス……いや、ジェイムはそう言うと再びクレアに口付けをした。
絡み付く舌は、交わるように濃厚なハーモニーを打ち立てた。
「クレア……愛している」
「ジェイム……あたしも」
二人は永遠を感じれるほど、愛を確かめあった。
そして……。
穏やかな光がベスタニャを包み込み、姿を消していた人々が戻ってきたのである。
勿論、石化していたナップとメルルももとに戻ったのは言うまでもない。
こうしてベスタニャ王国は、何事もなかったかのように平穏な日々が戻ってきたのである。
それと、同時にクレアの冒険も終わりを告げた。
「姫様、お待ち下さい」
「ジル、悔しかったら捕まえてみなさいよ」
いや、まだ終わっていないのかも知れない。
その後、クレアとジェイムがどうなったかって?
それはまた、別の物語で語るとしましょう。
おしまい。




