会いたいのは誰? の巻
石碑の前に泣き崩れるクレアの頭上に、一筋の光が差す。
クレアは泣くのを止め、その光を見上げた。
「クレア……泣いているのか?」
懐かしい声の主。
ジーナだ。
体は半分透けて見えるが、紛れもなくジーナ本人だ。
「ジーナ、ジーナなの?」
「あぁ。久しぶりだな。元気にしていたか?」
「あ、あたしはいつだって元気だよ」
クレアは泣いていたことを悟られぬように、気丈に振る舞った。
「なら、良かった。所で、ベスタニャに何か起きたのか? 人の気配が感じられないが……」
「実は……」
クレアはこれまでの経緯をジーナに語った。
ジーナはフワリと地面に降りると、クレアの頭に手をかざし、
「クレア、そのロザリオに向かって祈るんだ」
と、言った。
クレアは言われるがまま、ジルバーグから受け取ったロザリオを握り締め祈った。
するとロザリオは一段と輝きを増し、蒼く澄んだオーラを纏った。
「これで聖なる魔法も使える筈だ。空間追放された民や王を戻すには魔力が足りないが、石化したナップ達を元に戻すくらいは出来る筈だ」
「本当に~ありがとうジーナ」
クレアは喜びジーナに抱きついた。
しかし、クレアの体はジーナをすり抜け虚しく両腕が交差した。
「クレア、俺は死んだ身だ。触れることは出来ない……悲しまないでくれ」
「べ、別に悲しんでなんかいないし……」
「そうか……そうならいいんだ。クレア、皆を頼んだぞ。さぁ、俺は天に帰らないといけない……元気でな……」
「ジ、ジーナ――っ!」
ジーナは煙のように、光の中に消えていった。
クレアはジーナの消えた石碑に『ありがとう』と呟くと、メルルの待つ精霊の泉へと向かった。
◇◇◇◇◇◇
一方、ジェイムとナップは依然として、彷徨っていた。
先へと進んではいるが、同じ場所をグルグルと回っているかのようにも思える。
「ここは無限回廊なのか?」
「そんな予感がするね。でもジェイム、クレアがきっとオイラ達を助けてくれるよ」
「そう願いたいものだな」
ジェイムはそう答えると、再び歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
「メルル、ただいま~メルル? メルル?」
「ムニャムニャ……」
こんな時だというのに、メルルは昼寝をしていた。
クレアはメルルを起こさないように、ジェイムとナップを外にそっと運び出した。
「さて……ジェイム、ナップ。戻ってきてね……ふぬん」
クレアは指先一点に集中し、石化や状態異常を浄化するヒール(状態回復魔法)を唱えた。
要領は、水の魔法となんら変わらない。
クレアの魔力は、より強いものになっていた。
「お願い――っ!」
石化したジェイムとナップは、生気を帯始める。
◇◇◇◇◇◇
「な、なんだなんだ?」
「ナップ、どうやら俺達は生き返れるようだ」
「本当に?」
ジェイムとナップは強い重力に引っ張られるように、飛ばされた。
◇◇◇◇◇◇
「うう……」
ジェイムとナップの呪いは解け、目を覚ました。
「ジェイム、ナップ! 生き返ったのね?」
「クレア、すまなかった」
「わぁ、クレアだ~。久しぶり~」
クレアは二人の石化された呪いを解くと、その場にへたれみ言った。
「良かった……」
と。




