急げ! ジェイムの元への巻
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一方、ジェイムはカジノの街ゴッドブレスに到着していた。
予定より早く到着した為、弾丸の舎弟は行き着けの酒場で一杯つけていた。
ジェイムはというと、馬車の荷台で薄暗くなっていく空を眺めていた。
逃げようと思えば逃げれたのだが、もはやそんな気力もない程に衰弱しきっていたのである。
「あぁ……俺もとうとう死ぬのか…」
ジェイムが気を失いそうな程、生死の狭間を彷徨っていたその瞬間、街は慌ただしく動き出した。
「火事だ――っ! 逃げろ」
どうやら出火元は、弾丸の舎弟が一杯つけていた酒場からのようだ。
瞬く間に酒場は火の粉を上げ、どす黒い煙に包まれていった。
「助けてくれ――っ!」
火柱が上がる中、助けを呼ぶ弾丸の舎弟の声がした。
野次馬達は、好き勝手に『アイツは運が悪かった』などと無責任なことをいい放つ。
「助けてやりたいのは山々だが、体が言うことを聞かない……」
ジェイムはただただ野次馬と同様に、燃え盛る炎を見守るしかなかった。
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一方、クレア達は鬼のような速さでゴッドブレスに向かっていた。
馬車馬であるアルファジャスパーの馬力と、クレアの使用する魔法の融合が織り成す偉業である。
通常一日近く掛かる道程を、僅か一時間程で駆け抜けた。
「クレアお嬢、何やらゴッドブレスが赤く燃えてますぜ」
馬車を操る門番、この男、名前を『レッツ』と言う。
道中、意気投合し、クレアをお嬢と呼んでいた。
「レッツ、ただならぬ予感がするわ。急いで」
「あいあいさ――っ!」
レッツは手綱を握り締め、アルファジャスパーに鞭を入れる。
ゴッドブレスに近付くにつれ、熱風が押し寄せた。
「レッツ、止めて。あたしが鎮火させてみせるわ」
「はいよ」
レッツが馬車を止めると、クレアは飛び降りアクアの魔法を詠唱した。
「炎よ、怒りを鎮めよ。行け、全てを洗い流せ……アクア――っ!」
クレアは魔力を解き放ち、燃え盛る炎を鎮火させた。
「ふぅ……これくらい楽勝でしょ」
「お嬢、さすがです」
レッツがクレアに労いの言葉を描けると、鎮火した酒場から頼りない声が聞こえた。
「助けてくれ――っ!」
その聞き覚えのある声に、レッツは反応した。
「ラッツ? ラッツなのか?」
「その声は、レッツ。助けてくれ――っ! 俺はここだ」
辛うじて難を逃れた弾丸の舎弟『ラッツ』が、声を上げる。
「大丈夫か? ラッツ」
「何とか助かったぜ。ありがとよ、レッツ」
「礼を言うなら、クレアお嬢に言うんだな」
「クレアお嬢? 誰だ、そいつは?」
「そいつとは何よ! アンタなんか死ねば良かったのよ」
「いてぇぇ」
クレアはラッツに毒を吐きながら、右足をかじった。
「ハムスターが喋りやがった……」
「猫耳バンドをしてるからな。それよりラッツ、ジェイムというペルシャ猫を知らないか?」
「ペルシャ猫? あぁ、確か馬車の荷台にいたな」
「ラッツ! そこに案内しなさいよ」
「へいへい。しかし、お前モフモフしてんな」
「お前じゃない。クレアよ」
「はい、クレア」
かくしてラッツの災難を救ったクレア一行は、ジェイムの待つ馬車へと向うことになった。




