最強のある意味敗者
階段を上り2階へ。斎藤によると、この階には4つの部屋があるとのこと。
「まずは、111号室だ」
その時ホミカは初めて部屋番号がゾロ目に整っていることを知った。
「どんな人なんですか?」
人となりを知っていれば、ファーストコンタクトも円滑にいくだろうというのがホミカの持論である。
「いや、悪い人じゃないから大丈夫だよ」
情報が最低限過ぎるわ!と思っても声に出さない。
なんだかんだで到着。チャイムを鳴らす。
「こんにちはー。引っ越」
最後まで言わないうちにオープン・ザ・セサミ。中からは20代前半と思われる女性がつっかけを履いて現れた。スぺオペによくありそうな軍服のような不思議な服装である。
「引っ越してきたのか? おおかた低家賃に釣られたってとこか」
見た目はスタイルの良い美人だが、口調はやや男っぽい。
「ハカナさんこんちは。こっちは剣ホミカさんだ。仲良くしてやってな」
斎藤が声を掛ける。先生かとツッコミたくなったのは秘密。
「引っ越してきました剣ホミカです。よろしくお願いします」
「私は朝霧儚。ハカナっちとでも呼んでくれ」
ハカナさんと呼ぼうとホミカは心に決めた。
ハカナはホミカをちょいちょいと手招きする。
「まぁ、何かの縁だ。ちょっと寄ってきな」
押しに弱いホミカは斎藤もろともハカナの部屋へ。
30分後。やっと2人は儚から解放された。
「大家さん」
「何だい?」
「あの人なんなんですか!」
「いや……。普通の人だよ」
「何で普通の人がリアルな武器の模型をあんなに持ってるんですか! 合コンの連敗の愚痴とか言われても知らないし! しかもゴキブリが出ると叫びながら暴れるし! 私はどさくさ紛れに4発殴られましたよ! サンドバッグですか! 私はサンドバッグですか! えぐりこむようにですか!」
息継ぎ無しでホミカはまくしたてた。
実は模型ではないのだが、斎藤は面倒なので黙っていることにした。
意外なツッコミ属性に驚きながら、斎藤は次の部屋へとホミカを促した。




