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多忙な男
続いてやって来たのは333号室。しかし、斎藤は華麗にスルーして444号室を目指す。気になってホミカは尋ねた。
「あのう」
「ん、どうした?」
う
「ここには挨拶しなくても……?」
「いや、この部屋の主はしばらく戻って来ないんだ」
どういうことだろう。すると斎藤は真剣な表情になる。シリアス展開を予測。
「ホミカさん。君は秘密が守れるタイプかい?」
「え?あ、はい」
「実はここにはアリテレ選手の三木さんが住んでいるんだ」
「えぇ!?」
ちなみにアリテレとは8年前に生まれたフレッシュなスポーツである。
「確か三木選手って全国大会準優勝で、世界大会でもベスト4で……」
「おっ、よく知ってるね。そうそう。彼はその後にプロ入りしたんだ。シナプスもいい選手を取ったもんだ」
何を隠そうホミカはアリテレ狂である。スタジアムで観戦するくらい。
「三木さんはいつ戻ってくるんですか?」
「うーん、それは分からないんだよ。何しろ忙しい人だからね」
もし会えたらサインを貰おうと心に決め、ホミカは444号室へ。




