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短詩集:瞬きする波たち
□瞬きする波たち
花きざすころ
扉の奥に
戀ひこがれ
少年は心をそそぐ
優雅な義務に
くちびるを
もとめて
香をはなつ
若き華
しづかなる餌食よ
刺青もつ少年は
うるみくるものもてあまし
吐息をひとつ
夢さわがしく
桜咲く夜
半透明の嘆きを抱き
幻燈の街を歩む
棄てたはずの戀をさがして
わたしはゆつくり喰はれていく
遠くで薔薇が咲いたらしい
雨が降る降る地球のうへで
片足あげて回りだす
なにゆゑそれがたのしいか
くるくる回る子どもたち
思ひだせないわたしたち
狗の影がひとつ
大河を泳ぎ渡つていく
遠く光る一点にむかつて
あれもおまへなのか
おまへもわたしなのか
瞬きする波たち 了




